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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社の利益剰余金を資本金に組み入れる

資本金を増やす方法

資本金を増やす方法は主に次のような方法があります。

  1. 募集株式の発行
  2. 剰余金の資本組み入れ
  3. 合併、分割等の組織再編行為

資本剰余金は資本準備金とその他資本剰余金で構成され、利益剰余金は利益準備金とその他利益剰余金で構成されています。

募集株式の発行についてはこちら
≫募集株式発行(増資)の登記費用

組織再編行為についてはこちら
≫吸収合併の手続き
≫吸収分割の手続き

剰余金を資本金に組み入れる

資本金を増やしたいというニーズがあったときに、その一つの方法として「その他利益剰余金」を資本金に組み入れるという方法があります。

会社に剰余金があるのであれば、新たに出資をすることなく資本金を増やすことができます。

資本金とその他利益剰余金が次のような会社が、

  • 資本金   1,000万円
  • 利益剰余金 1,000万円

利益剰余金500万円を資本金に組み入れると次のようになります。

  • 資本金   1,500万円
  • 利益剰余金 500万円

この方法とは別に、新たにキャッシュを出資することなく、会社に対する金銭債権を出資して金銭債権を株式に替え資本金を増やす手続きはdebt equity swapと呼ばれており、こちらの記事をご参照ください。

≫DES、です。

その他利益剰余金を組み入れることができるか

資本金に組み入れることのできるその他の剰余金は「その他資本剰余金」だけでなく、「その他利益剰余金」も組み入れることができます(会社法第450条会社計算規則第25条)。

合同会社との違い

株式会社と異なり、合同会社においては「利益剰余金」を資本金に組み入れることができないとされています(会社計算規則第30条)。

≫合同会社の剰余金を資本金へ組み入れる

期中の利益を資本金に組み入れることができるか

期中に発生した利益(その他利益剰余金)を資本金に組み入れたいというニーズがあります。

しかし、資本金に組み入れることのできる剰余金は、確定した貸借対照表に計上されている剰余金に限られています。

確定した貸借対照表とは、定時株主総会で株主に承認された貸借対照表のことを指します。

つまり、期中に発生した利益を資本金に組み入れることはできません。これは、中間決算を行っても結論は同様とされています。

≫【相談事例】1期目の利益を、期中に資本金に組み入れてしまった。

その他利益剰余金ではなくその他資本剰余金であれば、期中に増加した分も資本金に組み入れることができます。

債権者保護手続きが必要か

資本金や資本準備金を減少させる場合と異なり、その他利益剰余金やその他資本剰余金を減少させるときは債権者保護手続きは不要です。

そのため、株主総会の決議をすればその日に効力を発生させることも可能です。
(資本金や資本準備金を減少させる場合も、事前に債権者保護手続きを行っておくことにより、株主総会の決議日と同日を効力発生日とすることが可能です。)

剰余金を資本金に組み入れる手続き

その他利益剰余金やその他資本剰余金を資本金へ組み入れる手続きは、株主総会の普通決議(≫株主総会とその決議要件)によって行います。

なお、定時株主総会に限らず、臨時株主総会でも行うことができます。

この手続きを行うときは株主総会において、

  • 減少する剰余金の額(増加する資本金の額)
  • その効力発生日

を決議します。

登記申請に必要となる書類

その他利益剰余金やその他資本剰余金を資本組み入れる登記申請に添付する書類は次のとおりです。

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 減少させる剰余金の額が計上されていたことの証明書
登録免許税

上記の登記申請にかかる登録免許税は、増加する資本金の金額に1000分の7を乗じた金額です。

資本金が1,000万円増えるときは、登録免許税は7万円となります。

税務署等への届出

資本金の額が増えたときは、税務署、県税事務所、市町村役場に異動届出書を提出します。

その他に、増加後の資本金の額によっては中小法人の特例が受けられなくなり、また消費税の免税事業者から外れてしまう可能性がありますので、事前に税理士に相談されることをお勧めします。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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