商業登記関係 商号変更・本店移転・清算結了をしたときに、支店の変更登記も忘れずにしていますか?
2022年9月1日以降、支店の所在地における登記は不要となりました。
≫【2022年9月1日以降】支店の所在地における登記の廃止
そのため、本記事の一部は古い情報となりますのでご注意ください。
なお、支店を設置したときは、本店の所在地における支店の登記につき2022年9月1日以降も必要となります。
支店の登記簿
東京都中央区に本店があり、その支店が埼玉県さいたま市にある株式会社があったとします。
本店の登記簿には「支店の番号」と「支店所在場所」、そして支店の設置日と登記申請日が記載されます。
ところで、株式会社や合同会社に支店がある場合、本店の登記簿の他に、支店の登記簿というものが存在します。
支店の登記簿謄本は、どこの法務局でも手数料600円を納めることにより誰でも取得することができます(窓口請求の場合)。
このページでは、本店と支店の管轄法務局が異なることを前提としています。
支店の登記事項
支店の登記簿に記載される登記事項は、次のとおりです。
- 商号
- 本店
- 会社成立の年月日
- 支店(その所在地を管轄する登記所の管轄区域内にあるものに限る。)の所在場所
これらの事項に変更が生じた場合、支店の登記簿変更に係る登記申請も行う必要があります。
なお、「会社成立の年月日」については、原則として変更が生じませんので、その変更登記をする機会は無いかと思います。
支店の変更登記も申請を要するケース
支店の登記事項に変更が生じたときは、本店の登記簿変更に係る登記申請をすることはもちろんのこと、支店の登記簿変更に係る登記申請も行う必要があります。
支店の登記事項に「商号」がありますので、会社が商号を変更したときは、本店の登記簿の変更に加えて、支店の登記簿の変更も行います。
本支店一括申請を行うと、申請手続きは原則として1回で済みますので手間を少なくすることができます。
なお、支店の登記簿変更に係る登記申請は、その変更が生じてから3週間以内に行わなければなりません(会社法第930条3項 ※2022年9月1日付で削除)。
商号変更
株式会社は株主総会の特別決議で、合同会社は原則として総社員の同意により、その商号を変更することができます。
商号を変更したときは、変更が生じたときから2週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければなりません(会社法第915条1項)。
加えて、変更が生じたときから3週間以内に、その支店の所在地において、変更の登記を行う必要があります。
本店移転
同じ法務局の管轄内で本店移転するときは、株式会社は取締役会の決議等で、合同会社は原則として業務執行社員の決定により、その本店を移転することができます。
本店を移転したときは、移転したときから2週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければなりません。
加えて、本店移転の効力が生じたときから3週間以内に、その支店の所在地において、変更の登記を行う必要があります。
支店移転
株式会社は、取締役会の決議によって支店の所在場所を移転することができます。
支店を移転したときは、支店が移転したときから2週間以内に、その本店の所在地において、支店移転の登記をしなければなりません(会社法第915条1項)。
加えて、支店を移転をしたときから3週間以内に、その支店の所在地において、支店移転の登記を行う必要があります。
清算結了
株式会社は株主総会の特別決議で、合同会社は原則として総社員の同意により、清算結了をすることができます。
清算結了をしたときは、清算結了をしたときから2週間以内に、その本店の所在地において、清算結了の登記をしなければなりません(会社法第915条1項)。
加えて、清算結了をしたときから3週間以内に、その支店の所在地において、支店閉鎖の登記を行う必要があります。
合併による消滅
吸収合併や新設合併の消滅会社に支店があるときは、合併の効力が生じたときから3週間以内に、その支店の所在地において、支店閉鎖の登記を行う必要があります。
支店の登記簿は自動的に変更されない
例えば、商号を変更したときに、本店の変更登記を行えば自動的に支店の変更登記も行われる、という仕組みにはなっていません。
支店の変更登記も、当該会社が行わなければならず、また法務局の人もこちらから聞かないと教えてくれるわけではありません。
支店の変更登記も期間が定められており、それは前述のとおり変更が生じてから3週間以内です。
この期間を過ぎて登記申請をすると過料の対象となってしまいます。
2-3年前に変更が生じて本店における登記はしたけれど、支店における登記は忘れていた、、、という場合でも、過料覚悟で今から支店における登記申請をするしかありません。
登記懈怠の期間は長くなるほど、過料が課される可能性や過料の金額が上がるイメージがありますので、1日も早く登記申請をされることをお勧めします。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。