汐留パートナーズグループ 沖縄事務所のブログ

国の障害者雇用水増しの再発防止策と障害種雇用促進法の改正動向

◆国の障害者雇用率は1.22%

厚生労働省は、昨年6月時点の国の機関(行政・立法・司法の43機関)の障害者雇用状況を公表しました。障害者雇用率は1.22%で、国の法定雇用率(2.5%)を達成した機関はわずか8機関でした。昨年、中央省庁が長年にわたり雇用率を水増ししていたことが発覚したため、法定雇用率を大きく下回っていることが判明したものです。また、雇用障害者数は3,902.5人(短時間労働者は0.5人分とする)で、行政機関では3,875人が不足していることが明らかになりました。
一方、都道府県の機関での障害者雇用率は2.44%で、雇用障害者数は8,244.5人でした。法定雇用率をわずかに下回るだけで、国との格差が浮き彫りになりました。
なお、毎年、同時期に公表になる民間企業の障害者雇用状況については、3月にずれ込むことになっています。

◆再発防止策は?

障害者雇用の水増し問題を受け、政府は昨年10月、再発防止策や今後の雇用確保策の基本方針をまとめました。再発防止策には、各機関で働く障害者の名簿の作成、障害者手帳の写しなどの保存や関係書類等のチェック機能の強化等を盛り込み、雇用確保策として、障害者の働きやすさを考慮し、フレックスタイム制や早出遅出勤務を利用できるようにして勤務時間を柔軟化する方針を固めました。
また、政府は年末までに障害者を約4,000人雇用し法定雇用率を達成する目標を掲げました。さらに、人事院は2月に国家公務員試験を実施し、障害者の常勤職員を採用することを明らかにしました。

◆障害者雇用促進法の改正動向

政府は、障害者雇用促進法の改正案として、厚生労働省が国の機関や自治体に立入り検査できる権限を新設し、水増し問題の再発を防ぐとしています。
また、積極的に障害者を雇う中小企業を認証する制度の創設や、法定雇用率に算定されない週20時間未満で働く障害者を雇用する企業に対し給付金を支給することなどを検討しており、今通常国会に改正案を提出し早期導入を目指すとしています。

悪質なクレームはハラスメント! 企業向け対策指針、策定へ

◆悪質クレームはハラスメント

顧客や取引先から従業員への悪質なクレーム(「クレームハラスメント」「カスタマーハラスメント」などとも。以下「悪質クレーム」といいます)が社会問題となっています。企業向けの悪質クレーム対応マニュアルがベストセラーとなっていますし、報道を目にする機会も増えています。

◆悪質クレームに関する調査結果

UAゼンセン「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査分析結果」(2018年9月公表)によると、「業務中に来店客から迷惑行為に遭遇した」従業員は70.1%とのことです。迷惑行為の内訳(複数回答)では、「暴言」が最多の66.5%で、以下「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」(39.1%)、「権威的(説教)態度」(36.4%)などとなっています。
注目すべきは、迷惑行為を受けた従業員の91.3%がストレスを感じているほか、「精神疾患になった」という回答もあった点です。同調査は、対象に離職した人が含まれていないため、悪質クレームにより精神疾患を患ったり離職したりした人は潜在的に少なくないとしています。悪質クレームには、従業員を疲弊させ、休職や離職をさせてしまうリスクがあるということです。

◆厚労省も悪質クレーム対策を議論中

こうした中、厚生労働省は11月、悪質クレームを「職場のパワハラに類するもの」と位置づけ、企業が取り組むべき対策を指針にまとめる方針を明らかにしました。セクハラ・パワハラ対策の法制化などとあわせて労働政策審議会で議論し、来年の通常国会に関連法改正案を提出する見通しです。

◆悪質クレームから従業員を守るには

では、企業としてどのような対策・取組みが考えられるでしょうか。この点について、上記調査では「迷惑行為への対応を円滑にする企業の相談体制の整備」が最多の40.8%(複数回答)となっています。悪質クレームに対峙する多くの従業員は、セクハラやパワハラなどの対策と同様、自社が親身に相談にのってくれることを望んでいるといえます。悪質クレーム対応を現場まかせとするのではなく、企業として従業員をサポートする姿勢が大切です。

私立高校の教員の労務管理の実情と学校の働き方改革の動向

◆4割強が36協定未締結

公益社団法人「私学経営研究会」は、昨年6~7月に全国の私立高校の約8割にあたる約1,100校を対象に「私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査」を実施し(うち332校が回答)、その結果、4割強の151校が36協定を結んでいなかったことが明らかになりました。さらに、直近5年間で78校が労働基準監督者の立ち入り調査を受け、24校が是正勧告・指導を受けていたことが判明しました。
また、出勤簿に教員の出勤時刻を記入していない高校は208校、退勤時刻は67校に及びました。今回の調査は、今までは勤務実態が見えにくかった私立高校の教職員の労務管理について、十分に把握されていないという現状が初めて明らかになりました。

◆公立校の教員の違いとは?

私立校の教員は、民間企業の社員と同様に労働時間や残業代について、労働基準法が適用されます。つまり、労使間で協定を結ばず法定労働時間を超えて残業や深夜労働、休日出勤した場合は労働基準法違反となります。
今回の調査では、177校が「調整手当」といういわゆるみなし残業代として一定金額を支給している現状も明らかになりました。公立校では、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」に基づき、残業代を支払わない代わりに、基本給の4%の支給(「教職調整額」)をすることが認められています。
そのため、多くの私立校では、公立校にならって残業代の代わりに「調整手当」として一定の金額を支払っているのですが、残業時間がその手当の相当分を超えた場合は違法となります。

◆学校の働き方改革についての議論が進行中

現在、中央教育審議会では、給特法の改正を含めた学校の働き方改革について議論をしています。12月6日に示された指針案では、教員の残業の上限を原則月45時間、年間360時間を超えないようにすると明記しました。これは民間企業の時間外労働の上限を定めた働き方改革関連法に沿った内容であり、また、いじめ問題への対応など特別な事情があっても月100時間未満、年720時間までとする制限を設けました。パブリックコメントを踏まえて年明けにも指針案を正式決定するとしています。

外国人実習生に関する監督指導と技能実習制度の見直し

◆外国人実習生に関する監督指導

入国管理法の改正に伴い、外国人技能実習制度等の見直しが行われます。日本の労働人口は、少子化や人口減少により、2030年までに最大で約900万人弱、2060年までには3,000万人弱も減少するといわれており、今回の入管法の見直しは、政府が労働力不足への対応としての在留資格見直しに大きく踏み出すことを意味しています。
「技能実習」について、外国人実習生を受け入れる企業に対して行われた全国の労働局や労働基準監督署による監督指導の状況を、厚生労働省が公表しています。

◆監督対象事業場・違反事業場は年々増加

平成29年は、実習実施者(企業)に対して5,966件の監督指導が実施され、4,226件(70.8%)で労働基準関係法令違反が認められました。主な違反としては、
・労働時間(26.2%) ・安全基準(19.7%)
・割増賃金の支払(15.8%) ・就業規則(9.2%)
・労働条件の明示(9.1%)
などとなっています。重大・悪質な労働基準関係法令違反により34件が送検されています。技能実習生の増加に伴って、監督・指導にも力が入れられ、その数も増加が予想されます。

◆違反の申告・通報もより活発に?

技能実習生から労働基準監督署などに対して労働基準関係法令違反の状況が申告されることもあります。技能実習生同士のつながりにより、賃金や割増賃金の不払いがある等の情報は広まりやすいと思われます。また、こうした申告は、労働基準監督署に対するものだけではなく、出入国管理機関(各地の入国管理局)に対しても行われ、それが労働局・監督署へ通報されて監督等につながるケースもあります。技能実習制度の違反等に対するペナルティとして、実習生の受入れの停止等が行われますので、企業活動に大きく影響します。

◆改正に伴う情報収集を

新しい制度が始まれば、それに伴って企業への監督等も厳しくなることが予想されます。また、労基法・安衛法関連だけでなく、技能実習制度自体に定められている報告や手続きについても、新制度の下で見直しが行われると思われます。外国人雇用・技能実習生の受入れなどを検討する企業は情報に注意しておきましょう。
【厚生労働省「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(平成29年)」】
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/besshi.pdf(別ウインドウで開きます)

2019年度からの社会保障改革の原案が明らかに

◆3年ぶりに経済・財政再生計画を全面改定

12月6日、政府が年内に決定する経済・財政再生計画の原案が明らかになりました。
前回の策定から3年ぶりの全面改定で、今回は社会保障改革に関する項目が100近く盛り込まれるなど、大幅に増加しています。
工程表の作成は、今年6月に安倍首相が経済財政諮問会議に指示していたもので、10日の会議で案が示され、年内にも決定されます。

◆1年で雇用改革を断行

まず、2019年度は何歳になっても働ける「生涯現役」の社会づくりに取り組むと明記しています。これまで65歳以上への継続雇用年齢の引上げについて検討されてきましたが、それを踏まえて改革を進めることが盛り込まれています。11月26日の会議資料によれば、混乱が生じないよう、65歳までの現行法制度は改正を検討せず、65歳以上への継続雇用につき「一定のルールの下で各社の自由度がある法制を検討する」とされています。
さらに、高齢者や女性の就労拡大を促すため、短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大を図ることも盛り込まれています。

◆3年間で社会保障改革を

高齢者雇用の拡大と併せて、年金受給開始年齢を柔軟に選べるようにする改革、在職老齢年金制度の見直しを進めることも盛り込まれました。
さらに、マクロ経済スライドの仕組みや高所得者の年金給付の在り方についても検証するとしています。上記会議資料によれば、「年金支給開始年齢の引上げは行うべきではない」とし、「年金受給開始の時期を自分で選択できる範囲は拡大を検討する」としています。また、継続雇用年齢の引上げとともに、来夏に決定予定の実行計画において具体的制度化の方針を決定し、厚生労働省の労働政策審議会の審議を経て法律案提出を検討するとしています。

◆「人生100年時代」を見据え健康寿命を延ばす取組みも強化

政府は、中長期での社会保障費の削減に向け、健康寿命を延ばす取組みも強化します。健診や保健指導の実施率を引き上げ、メタボリックシンドローム該当者やその予備軍を2022年度までに08年度比で25%減らすことを目指すとしています。

「チームの雰囲気」が働く人の満足度やモチベーションにどう影響しているか?

ビジネスマンは、今の職場に満足しているのでしょうか。また、「チームの雰囲気」が働く人の満足度やモチベーションにどう影響しているのでしょうか。(株)日本能率協会総合研究所が行ったアンケート調査(第9回「ビジネスパーソン1000人調査」【理想のチーム編】、調査期間:2018年9月28日~2018年10月9日)からみていきます。

◆あなたは現在所属しているチームの雰囲気に満足していますか?

現在の職場のチームの雰囲気に「満足」(とても満足:10.9%、やや満足:43.6%)としている人は半数を超えました。ただ、20代、60代の約6割が満足している一方、50代、非正規職員では、過半数が満足していないという結果です。
満足している理由としては、「困ったときに助け合うから」(39.6%)、「自分なりに創意工夫で仕事を進めることができるから」(27.2%)、「互いに情報を共有したり学びあったりしているから」(22.2%)、「期待されている役割が明確であるから」(18.2%)が挙がっています。一方、満足していない理由としては、「フェアな評価がなされていない」(24.0%)、「困ったときにも互いに助け合うことがない」(21.8%)、「互いに本音を話せない」(21.3%)が挙がっています。
現在のチームに満足している人と満足していない人で比較すると、「職場のチームリーダーは、チームの雰囲気を良くすることができているか」について、満足していると回答する人は「できている」と6割が回答したのに対し、満足していない人は「できていない」との回答が5割を超えました。このように、チームの雰囲気に満足している人は、良好な人間関係を魅力と感じる傾向が強くあるようです。

◆上司から言われて嫌だと思う一言は?

「あなたが、上司から言われて嫌だと思う一言は何ですか」という質問について、1位に挙がったのは、「使えないな」(33.8%)。その他、2位に「そんなこともできないのか?」(32.6%)、3位に「余計なことをするな」(23.4%)となりました。次いで、「上が言っているんだから、やれ」(21.5%)、「やる気があるのか?」(16.5%)、「自分で考えろ」(11.5%)、「聞いてないぞ」(10.8%)となっています。

◆上司から言われてやる気がでる一言は?

一方、やる気がでる一言として挙がったのは、1位「ありがとう」(35.1%)、2位「よくやった」(23.9%)、3位「頑張ってるね」(19.8%)です。他には、「いいアイデアだ」(17.5%)、「おつかれさま」(17.4%)、「あなたにしかできない」(17.1%)、「期待しているよ」(16.0%)が続きました。上司による感謝とねぎらいの声かけが従業員のモチベーションアップにつながるようです。

【一般社団法人日本能率協会「第9回「ビジネスパーソン1000人調査」【理想のチーム編】」】
https://jma-news.com/wp-content/uploads/2018/11/845fa87cf4eec1440988e2087a54a9e1.pdf(別ウインドウで開きます)

平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果より

◆平成30年「高年齢者の雇用状況」

厚生労働省が平成30年「高齢者の雇用状況」(6月1日現在)を公表しました。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)では65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務づけており、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。今回の集計結果は、この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業15万6,989社の状況をまとめたものです。

◆定年の引上げによる措置を講じる企業が微増

調査によると、65歳まで雇用確保措置のある企業は全体で99.8%となっています。内訳としては、「定年制の廃止」が2.6%(変動なし)、「定年の引上げ」が18.1%(1.0ポイント増加)、「継続雇用制度の導入」が79.3%(1.0ポイント減少)となっており、定年制度よりも継続雇用制度により雇用確保措置を講じる企業の比率が圧倒的に高い状況が読み取れますが、わずかながら定年の引上げを講じる企業が増加している様子も読み取れます。また、65歳を定年とする企業は全体で16.1%(0.8ポイント増加)、中小企業で16.8%、大企業で9.4%となっています。

◆66歳以上働ける制度のある企業は約28%

66歳以上働ける制度のある企業は全体で27.6%(中小企業28.2%、大企業21.8%)に上っています。希望者全員が働ける制度に限ると10.6%になります(中小企業11.4%、大企業3.5%)。また、70歳以上働ける制度のある企業は全体で25.8%(中小企業26.5%、大企業20.1%)、定年制の廃止企業は2.6%(中小企業2.9%、大企業0.5%)となっており、人手不足が深刻な中小企業では特に、高齢者の雇用に関する意欲が高いことがうかがえます。

◆政府は70歳まで雇用継続へ法改正を検討

政府は11月26日に行われた未来投資会議で、雇用の継続を企業に求める年齢を現在の65歳から70歳へ引き上げるために高年齢者雇用安定法の改正を目指すとしています。雇用継続は定年延長や再雇用制度の導入だけでなく、別の企業で働き続けるといった他の選択肢を盛り込むことも検討するとしています。高年齢者の雇用に関する措置については、さらなる検討が必要でしょう。

【厚生労働省「平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000182200_00002.html(別ウインドウで開きます)

1月の税務と労務の手続[提出先・納付先]

10日

源泉徴収税額(※)・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
※ただし、6ヵ月ごとの納付の特例を受けている場合には、30年7月から12月までの
徴収分を1月20日までに納付
雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>[労働基準監督署]

31日

法定調書<源泉徴収票・報酬等支払調書・同合計表>の提出[税務署]
給与支払報告書の提出<1月1日現在のもの>[市区町村]
固定資産税の償却資産に関する申告[市区町村]
個人の道府県民税・市町村民税の納付<第4期分>[郵便局または銀行]
労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、10月~12月分>[労働基準監督署]
健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
労働保険料納付<延納第3期分>
労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>
[公共職業安定所]
固定資産税に係る住宅用地の申告[市区町村]

本年最初の給料の支払を受ける日の前日まで
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出[給与の支払者(所轄税務署)]
本年分所得税源泉徴収簿の書換え[給与の支払者]

賃上げ、過去最高を更新~厚生労働省の平成30年調査結果から

◆賃上げは過去最高を更新

厚生労働省が先月27日、平成30年の「賃金引上げ等の実態に関する調査結果」を公表しました。調査対象企業数は3,543社で、うち有効回答企業数は1,779社。有効回答率は50.2%でした。
これによると、定期昇給やベアによる1人平均の賃上げ額は月額5,675円で、前年から48円増え、比較可能な1999年以降で過去最高を2年連続で更新しました。賃上げ率としては2.0%で、前年比で横ばいでした。

◆賃金改定の実施状況

平成30年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は0.4%(同0.2%)、「賃金の改定を実施しない」は5.9%(同6.3%)でした。

◆賃金の改定額

平成30年中の1人平均賃金の改定額(予定を含む)は5,675円(前年5,627円)で、「1人平均賃金の改定率」は2.0%(同2.0%)でした。また、企業規模別にみると、「1人平均賃金の改定額」は、5,000人以上の企業で7,109円(同6,896円)、1,000~4,999人で5,645円(同5,186円)、300~999人で5,247円(同5,916円)、100~299人で5,039円(同4,847円)という結果でした。300~999人規模の企業で改定額が前年を下回りましたが、それ以外では前年比プラスの改定水準となっています。
(注) 1人平均賃金は、所定内賃金(諸手当等を含むが、時間外・休日手当や深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当を含まない)の1人当たりの平均額。

◆定期昇給等の実施

平成30年中の賃金改定が未定以外の企業(賃金の改定を実施しまたは予定している企業および賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」企業割合は、管理職69.7%(前年69.0%)、一般職80.1%(同77.5%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇しました。また、定期昇給制度がある企業のうち、平成30年中にベースアップを「行った・行う」企業割合は、管理職24.2%(前年22.9%)、一般職29.8%(同26.8%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇しました。
人手不足と景気の上昇を反映し、賃金の上昇傾向は調査結果にも表れているようです。

【厚生労働省「平成30 年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」(PDF)】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/18/dl/10.pdf(別ウインドウで開きます)

「つながらない権利」って? 勤務時間外のメール対応を考えよう

◆「つながらない権利」とは

「つながらない権利」をご存知でしょうか。労働者が、勤務時間外や休暇中に、仕事上のメール等への対応を拒否できる権利のことです。アメリカ・ニューヨーク市で現在、「勤務時間外のメール等への返信を労働者に強いることを禁じる」条例案が審議されています(日本経済新聞10月29日夕刊)。

◆先行する各国、各社の例

つながらない権利の法制化で先行したのがフランスです。2017年、従業員50人以上の企業を対象に、時間外のメールの扱いを労使で協議するよう義務づけました。またイタリアでも、2017年に成立したいわゆるスマートワーカー(働く時間・場所を特定しない労働者)を保護する法律において、つながらない権利を雇用契約に明記するよう義務づけています。
また、企業の独自の施策として、ジョンソン・エンド・ジョンソン(午後10時以降のメール禁止)や、ダイムラー(長期休暇中の社内メールを受信拒否・自動削除)の例が知られています。日本企業でも、三菱ふそうトラック・バス(ダイムラーの子会社)が、同様の措置をとっています。

◆「つながらない権利」で労使トラブル予防

日本では現状、法令などで「つながらない権利」が定義されているわけではありません。
とはいえ、使用者側が、明確な社内ルールや指示に基づき「つながる」ことを求めた場合や、過剰に「つながっている」状態を把握しながらも黙認していた場合などは、労働から離れることが保障されていない待機等の時間(いわゆる手待時間)として、労働時間とみなされるおそれがあります。後々、時間外労働分の割増賃金を請求されるリスクや、労災発生時に認定基準における労働時間としてカウントされるリスク等々がありますので、ある程度「つながらない権利」を意識することは、労使トラブル予防の観点から有効です。

◆4割以上の労働者が、勤務時間外も「つながっている」

実態として、勤務時間外や休暇中にメール・電話・LINE等で「つながる」ことは珍しくありません。調査によれば、43.9%の労働者が、「勤務時間外に電話・メール等で仕事関係の連絡をとる」ことが「よくある」「ときどきある」とのことです(労働政策研究・研修機構「裁量労働制等の労働時間制度に関する時間調査」(厚労省抽出分))。
現代は、テレワークをはじめとする多様な働き方の浸透や、ICT技術の普及により、昔より「つながる」機会が増えている時代といえます。「つながる」ことが良い結果を生む場合もあるでしょう。自社の実態を踏まえた「つながり方」を模索するべきではないでしょうか。