香港滞在ビザの種類や概要について
2023年4月25日
日本人が香港を訪問する場合は通常、自動的に90日間の訪問ビザが発行されます。しかし、このビザは就業が許可されていません。また、香港に90日以上滞在するためにはビザを取得しなければいけません。
そこで、旅行者や留学生以外の日本人が香港で会社を設立したり、香港法人に就業する場合には、就業可能なビザを申請することとなります。
なお、一般就業政策の就業可能なビザの発行には明確な審査基準があります。このような基準を設けることで政府は香港住民の雇用の確保と経済の環境保全を図っています。
ビザにはたくさんの種類があり、自分の目的にあったビザを取得する必要があります。本日は香港に滞在するためのビザの種類や概要についてご紹介します。
香港滞在ビザの概要
香港のビザの種類には、就労ビザや投資ビザのように香港において報酬を得て仕事をすることが可能なビザと、訪問ビザや学生ビザのように就業が不可能なビザとがあります。香港に会社を設立して、ビザのことを検討される場合には、就労可能なビザについて一通りの知識を身につけておく必要があります。
香港の就業関連のビザの申請には申請者自身のステータスだけでなく、受け入れ先の香港法人自体も審査対象となっているといえます。資本金がある程度の金額であるか、日本の関係法人では社歴や実績があるか、経営者は事業に関して十分な知見を有しているかなど、様々な審査項目があります。
香港で就業が可能なビザについて
以下では、香港で仕事をすることが可能なものとして代表的な「就労ビザ」と「投資ビザ」についてご紹介します。通常日本人が香港法人を設立して、ビザを取得して香港で働きたいという場合には、この2つのビザについて検討することとなります。
①香港の就労ビザ
就労ビザは、原則として香港法人へ赴任・転勤するか、香港法人に就業する際に必要になります。ただし、就労ビザを取得することは少し大変な作業です。就労ビザを発行するための条件は厳密に決められていますので、要件を満たしていない場合には就労ビザを発行してもらいたいと思っていても簡単にはいきません。その理由としては、もし簡単に就労ビザを発行してしまえば、香港に住んでいる住民の就業確保が難しくなってしまうからです。
そのため、就労ビザを申請し取得するためには、その申請者が香港政府から見て有益になるような人物であり、なおかつ、専門的な技術や経験を有していることが絶対的な条件になります。
②香港の投資ビザ
次に投資ビザについてですが、このビザは就労ビザよりも取得が難しいのが現状です。投資ビザを取得したいのであれば香港にある法人の株主として就業しなければなりません。ただし株主となれば社会的にも大きな責任を背負うことになるのでその申請者が信用する人物に値するのかどうかという点について香港入国管理局は審査を行います。
加えて、いかに申請人が香港の経済に貢献できるかを示すためにいくつかの書類の作成・提出が必要になります。例えば事業計画書や投資計画書を具体的かつ現実的な内容にて作成する必要があります。
その他のビザについて
ここまでは、日本人にとっても香港法人運営上知っておくべき、「就労ビザ」と「投資ビザ」の2つについてご説明させていただきました。以下では、その他のビザとして代表的な「扶養家族ビザ」、「トラベルパス」、「無条件ビザ」、「研修ビザ」、「学生ビザ」、「ワーキングホリデー」についてご紹介します。
①扶養家族ビザ
まず扶養家族ビザについてですが、家族内に就労ビザや研修ビザを保持している人がいれば申請することができます。なお、扶養家族ビザを取得すれば就労することもできるのでかなり便利です。
②トラベルパス
次にトラベルパスについてですが、このビザの有効期間は3年間と比較的長いのですが、一回の滞在は2カ月以内にしなければなりません。したがって、長期的に滞在をしたいと考えている方には向いていないビザだといえます。
③無条件ビザ
次に無条件ビザについてですが、このビザは香港に継続して7年以上滞在していなければ申請ができません。したがって、このビザを取得する前に就業ビザなどの長期滞在を許可されたビザを保持している必要があります。そのことから、このビザの取得はかなり難易度が高いといえます。
④研修ビザ
次に研修ビザについてですが、このビザの申請資格は香港企業や研究機関での研修やスキルの習得目的とする最長12か月の短期のビザで、研修受け入れ先の企業などの研修計画書が必要とされています。これは研修やスキルを取得するために香港への入国が必要な場合に申請するもので、香港でなければ習得できない業務上の研修を目的とする外国人が申請者となります。したがって、このビザを申請する人は比較的少ないです。
⑤学生ビザ
次に学生ビザについてですが、このビザは香港での就学を希望している人が申請するビザです。このビザでは就業はできませんが、長期滞在をすることができ、比較的取得難易度は低いです。
⑥ワーキングホリデー
最後にワーキングホリデーについてですが、このビザは18歳から30歳未満の人限定で申請することができます。このビザの良いところは、香港内で何をしてもいいというところです。お金が欲しければ働いてもいいですし、勉強をしたければ学校に通うことも問題ありません。ただし滞在期間は最長1年間です。
ビザの発給に関する香港入国管理局の審査
①就労ビザ
就労ビザの発給条件は、申請者が香港にとって有益な人物であって、香港にはない業務上の知識や技術、経験を有する者に限定されています。審査は申請者本人の業務経験や知識、職位、業績の推移や香港人の現地人材の雇用の有無なども含まれていますので、専門職と管理職以外の外国人が香港で就労ビザを取得することは難しいといえます。一般就業政策の主な就労ビザの期限は1年間であり、その後延長することが可能です。
②投資ビザ
投資ビザは香港法人の株主として就業する外国人が取得するビザです。投資ビザは、会社設立という投資形態に限定されますが、投資移民制度(CIES)という香港の有価証券と金融資産に投資経験のある投資家に居住権が与えられる制度とは異なっています。
投資ビザは社会的責任が重く、就労ビザよりも審査基準が厳しくなり、申請に当たっては所定の申請書類の提出が必要です。申請書類には、香港に居住権を持つビザスポンサーが必要で、事業計画書や投資計画書、雇用に関する書類など、香港への経済的貢献を証明する書類が必要となります。
そして、毎年の投資ビザの更新申請時に決算書の提出が義務付けられています。投資ビザの更新は、初年度に提出した事業計画の進捗状況や決算内容を審査して決定される1年更新を原則としています。
香港で就労ビザを取得せず就業した場合の罰則等
もし、外国人が就労ビザを取得せず就業した場合には不法就労となり罰則が適用されます。不法就労は密入国や売春などの犯罪の温床になると考えられております。
したがって、アルバイトやお手伝いといった簡単な就労といえども、労働者と雇い主が罰金刑だけでなく禁固刑に処されることもある重罪です。したがって、香港で就業したり現地採用されたりする場合には就労ビザの取得は大前提とお考えいただければと思います。
このようにビザには沢山の種類がありますので、自分の目的に合わせてしっかりと準備をして申請をすることで取得しやすくなります。不法就労の罪は重く、ビザに関しては決しておろそかにしてはならない項目であることに留意していただければと思います。