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黒住 准 Jun Kurozumi

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黒住 准 Jun Kurozumi

インターナショナルコンタクトパートナー  / 公認会計士(米国)

海外進出コンサル会社の種類と得意領域

2023年4月17日

海外進出を検討する際に利用するコンサルティング会社やコンサルタントについて、コンサルティングファームの種類やサービスの特徴についてご紹介させていただきます。また、数あるコンサルティングファームの中から、自社にマッチした最適なコンサルティングファームの選び方ついてもご紹介させていただきます。

海外進出支援コンサルについて

各コンサルティング会社が海外進出に関するどの分野に精通し、具体的にどのようなサービスを提供しているのかについて把握しておくことが必要です。まず、海外進出に関するコンサルティング会社を下記の7つに分類したいと思います。

(1)市場調査系
(2)会社設立・法務系
(3)ビザ・移住系
(4)会計・税務系
(5)人事・労務系
(6)不動産系
(7)経営戦略系

各タイプの特色について

(1) 市場調査系コンサルティング会社

海外進出をする場合には、まず”商品・サービスは現地に受け入れられるのだろうか”、“競合他社にはどういったところがあるのだろうか”という点について関心があるかと思います。そのような場合には、市場調査系・マーケティング系のコンサルティング会社に依頼しましょう。

市場調査とは、消費者の需要を調査して分析し、人々に求められる商品やサービスを選定することです。コンサルティング会社の中でも、現地に移住した日本人が運営している会社や、日本から調査を行う会社など、様々です。

製品・サービスの現地での展開にあたり、許認可が必要になってくる場合もありますので、そういった事情に詳しいコンサルタントに相談することを推奨いたします。

(2) 会社設立・法務系コンサルティング会社

海外進出が決定しましたら、法人の設立などを代行しているコンサルティング会社を選定します。現在はインターネット上で自分で設立手続を完結できてしまう国もありますが、確実性を考えるならば代行している会社へ依頼することが堅実でしょう。また、海外では現地の法律事務所が法人設立代行サービスを行っていることが一般的です。

(3) ビザ・移住系コンサルティング会社

将来的な移住も視野にいれて、海外進出を検討されている方もいらっしゃると思います。移住に必要な要件や、ビザ取得の難易度については国によって様々です。億単位の資金が必要となる国の一方、日本人であればビザがなくても1年間ほど滞在できる国もあります。

各国のビザを取得する場合には、ビザ&移住系コンサルティング会社に相談されることを推奨いたします。こちらも企業派遣ビザの専門家や、富裕層の移住の専門家など、会社によって様々な特色があります。

(4) 会計・税務系コンサルティング会社

法人を運営していくためには、財務会計・税務の外部サポートを利用するか、会計税務業務に精通した人材を雇用する必要があります。設立直後の人材採用は条件や文化それぞれの面でハードルが高いので、まずは海外と日本の両方の税金を理解した上で経理・財務業務、節税対策等のコンサルティングを提供している、会計・税務コンサルティング会社を利用するのが得策でしょう。

日本国内では、「公認会計士」や「税理士」が一般的にはこのような会計税務サービスを提供しています。海外では「税理士」にあたる資格がない国もあり、その国の会計士が記帳から税務申告まで全て行っている場合もあります。

その他の会計税務系コンサルティング会社の領域としては、海外進出や事業拡大における現地の会社のM&A(事業買収・企業買収)を検討する場合のアドバイザリー業務などがあります。

(5) 人事・労務系コンサルティング会社

海外進出した後に、人材を採用する場合は人事・労務系のコンサルティング会社に依頼することとなります。「外国人1人あたりの雇用につき、現地人を〇人雇用すること」といったことが法律で決まっている国もあります。こちらでは、人材の採用・確保、雇用契約の締結、社会保険・労働保険の各種手続、給与計算、人事・制度設計など広範な業務を提供しています。採用業務を行わず、給与計算業務だけを必要とする場合は、(4)の会計・税務系コンサルティング会社が対応可能な場合もあります。

日本では、国家資格を有する社会保険労務士へ人事に関する手続を依頼することが一般的かと思いますが、海外ではこちらに相当する資格がある国はあまりありません。

(6) 不動産系コンサルティング会社

海外移住や出店において、不動産の契約・取得は欠かせません。現地の商慣習は日本と異なる点も多いため、海外においても日本語で相談し、詳細を確認しながら慎重に進めていくことができるのが一番です。日系の不動産賃貸仲介会社が進出している国や、現地在住の日本人が経営している会社があれば、そちらに依頼できれば安心だと思います。

また、現地では日本人といえども融資が難しい場合もありますので、一定額の現金を用意しておく必要があります。

(7) 事業系コンサルティング会社

事業コンサルティング会社は、事業戦略の立案から実行支援までを行います。戦略系コンサルティング会社ともいわれます。グローバルに展開する著名なコンサルティングファームには、マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company, Inc.)、ボストンコンサルティンググループ(BCG)、アクセンチュア(Accenture)などがあります。

ただ、一般的にはこういったコンサルティングファームの報酬は高額なため、コンサルティングファームに依頼するか、それとも自分たちの足で稼いだ情報を使い、人脈を広げながら事業を行っていくかという検討をする必要があるかもしれません。市場自体がそこまで大きくない国への進出の場合は、地道にコネクションを広げながら事業を成功されている企業が多いように感じます。

RSM汐留パートナーズについて

海外進出コンサルティングサービスを提供しているRSM汐留パートナーズ株式会社は、グローバルな視点から会計・ビジネスのアドバイザリーを提供する RSM Internationalの日本メンバーファームです。

RSM International は120の国に820以上の事務所を有している世界第6位の会計事務所グローバル・ネットワークです。64,000人を超すプロフェッショナルメンバーが属しており、監査、税務及びフィナンシャルアドバイザリーサービス等の各種高品質な専門サービスを独自のネットワークを通じて各国で提供しています。

業務内容としましては、主に本コラム(2)(3)(4)(5)の範囲を強みとしております。海外進出に関する会社設立手続から、その後の会計・税務、労務、法務サービス、その他ビジネスソリューションをご提供させていただきます。まずはお気軽にご連絡ください。

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