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黒住 准 Jun Kurozumi

この記事の著者

黒住 准 Jun Kurozumi

インターナショナルコンタクトパートナー  / 公認会計士(米国)

海外での法人銀行口座開設の手続概要・注意点について

2023年4月18日

日本企業の海外進出において、まずは会社設立の手続を最初に行い、その後に法人口座の開設といった形で進める場合が一般的でしょう。今回は、RSM汐留パートナーズの海外進出プロジェクトの経験をもとに、法人銀行口座開設の一般的な流れと注意点についてご紹介させていただきます。また、実際は進出先の国や業種等によりケースバイケースとなる点、どうかご了承ください。

提出書類について

例えば、日本の会社が現地法人を設立する場合、主に次のような書類を準備する必要があります。

(1)定款や納税番号の発行通知など、新設法人に関する書類
(2)親会社の決算書や履歴事項証明書(英訳したもの)
(3)代表者や取締役のパスポートの写し、住所証明

提出書類は国によって様々ですが、上記3つについては共通して必要となる印象です。また、最近はマネーロンダリング防止等のため、提出書類は増加傾向にあり、審査も厳格化しています。(2)については、さらに英訳後の書類へ代表者が署名したものを提出する必要がある場合や、日本において公証役場で公証を受けてから、設立先の国へ書類を提出する場合もあり、書類の準備に想定外に時間がかかってしまうこともあります。余裕をもったスケジュールで進めていくことが大切です。

法人口座開設の一般的な流れ

続いて、法人口座開設の一般的な流れについてご紹介いたします。時差や日程調整などの理由から、1~2か月程度はかかります。

(1)提出書類の準備

上記「1.提出書類について」をご確認ください。

(2)インタビュー

口座開設に関する面接(インタビュー)があります。インタビューでは、現地での事業内容の概要、売上見込み・経費の内容などについて確認されます。口座の署名権者の他に、現地での事業内容の詳細を把握している方の出席が必要となるでしょう。

インタビューの実施方法については、主に次のようなパターンに分けられます。なるべく負担のない方法を選びましょう。
・口座の署名権者が実際に現地へ渡航してインタビューを受ける必要がある国
・Skypeなどのツールを使用し、オンラインでインタビューを行うことが可能な国
・現地居住者の取締役などに委任し、インタビューが不要となる国

(3)デポジットの入金

インタビューが完了し、法人口座開設の審査に通りましたら、デポジット(口座最低維持金額)の入金です。海外では、口座維持や会社設立のために一定額を入金する必要がある国が多いです。また、法人設立手続の一環として、資本金の何割かを入金することが求められる国もあります。

口座開設の注意点

法人口座開設についての必要書類や一連の流れについてご紹介させていただきました。全体的に、マネーロンダリング防止の観点等から、口座開設の審査は年々厳しくなっているのが実際のところです。RSM汐留パートナーズでは、会社設立手続の一環として、現地のRSM Internationalの事務所と連携して口座開設サポートを行っておりますが、実際に審査がおりなかったこともあります。口座開設は決して簡単ではない点、どうかご留意いただければと思います。

RSM汐留パートナーズについて

海外進出コンサルティングサービスを提供しているRSM汐留パートナーズ株式会社は、グローバルな視点から会計・ビジネスのアドバイザリーを提供するRSM Internationalの日本メンバーファームです。

RSM International は120の国に820以上の事務所を有している世界第6位の会計事務所グローバル・ネットワークです。64,000人を超すプロフェッショナルメンバーが属しており、監査、税務及びフィナンシャルアドバイザリーサービス等の各種高品質な専門サービスを独自のネットワークを通じて各国で提供しています。

海外進出に関する会社設立手続(本コラムでご紹介した銀行法人口座開設サポートを含みます)から、その後の会計・税務、労務、法務サービス、その他ビジネスソリューションをご提供させていただきます。まずはお気軽にご連絡ください。

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