グループ通算制度導入の背景及び導入のメリット・デメリット
2023年10月6日
「グループ通算制度」とは、完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算および申告を行い、その中で、損益通算等の調整を行う制度です。
※これまでは「連結納税制度」と呼ばれていましたが、2020年の税制改正により「グループ通算制度」に改められました。2022年4月1日以後開始する事業年度から適用されることになっています。
※グループ通算制度は、国税の申告・納付にだけ採用が認められる制度であり、地方税(住民税・事業税)の申告・納付は、各法人ごとに行います。
グループ通算制度導入の背景および趣旨
【導入】
我が国の法人税法は、従来独立した個々の法人ごとに申告、納付する単体納税制度を採用してきましたが、近年の経済情勢の変化を踏まえ、主要先進国が既に導入している連結納税制度を平成14年8月の税制改正により創設しました。
【グループ通算制度の導入により期待できること】
- 企業グループを一体として考えることにより、実態に合った適切な課税が可能
- 組織再編成を促進することが可能
- 国内企業の競争力を強化
申告及び納税の流れ
【申告・納付】
グループ内の各法人が個別に法人税額の申告・納付を行います。
グループ通算制度導入のメリット・デメリット
グループ通算制度導入のメリット・デメリットとして以下があげられます。
【メリット】
通算グループ内に赤字法人と黒字法人が混在する場合、各会社間の課税所得を損益通算することが可能です。
含み損のある時価評価対象資産を保有する場合には、課税所得と相殺することが可能です(一部対象外)。
赤字法人であってもグループ内に黒字法人がある場合に、将来減算一時差異等のうち法人税相当分について繰延税金資産を計上することができる可能性が増えます。
通算親法人の繰越欠損金の期限切れ(最長9年)への対応策となりえます。
【デメリット】
子会社に関して、中小企業の特例等(交際費の損金不算入制度・貸倒引当金の法定繰入率・欠損金の繰戻し還付制度)は、通算グループ内に中小法人でない法人がいる場合は使用できなくなります。
一般的には、連結親法人の税務担当者の負担が増加します。
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