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池田 孝太 Kota Ikeda

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池田 孝太 Kota Ikeda

アシスタントマネージャー  / 申請取次行政書士

古物商許可制度の基礎知識:営業形態・対象品目・申請手続の全体像

2025年4月17日

皆さまの中には、ご自身で使っていた衣類や電化製品などのいわゆる中古品をオークションやそのような売買を仲介するアプリを利用し売った経験をお持ちの方がいるかと思います。2023年のリユース市場規模は前年比7.8%増の3兆1227億円でした。市場の拡大は今後も続く見込みで、2030年には4兆円規模になると試算しているところもあります。拡大を続けるリユース市場ですが、アプリを利用した個人の売買など広く一般消費者にも浸透しております。中古品の売買を含む取引にはどのような規制があるのでしょうか?この記事では中古品の売買をはじめとする古物営業を開始するための古物商の許可についてご説明いたします。

古物営業を開始する為には、古物商の許可を取得することが必要です。手続きとしては古物営業を行う営業所の所在地を管轄の警察署に必要な書類を準備して申請することとなりますが、そもそも古物営業とはどういう取引か? 大きく分けると以下の3種類に分類されます。

  1. 古物を自ら又は他人の委託を受けて、売買又は交換をする営業(古物商)
  2. 古物商間での古物の売買又は古物の交換のための市場を経営する営業(古物市場主)
  3. 古物の売買をしようとする者のあっせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他政令で定めるものに限る。)により行う営業(古物競りあっせん業)

一般的に中古車ビジネスを始めたい、日本国内で買い取った古着を海外で販売したいなどのケースは1の古物商に該当します。

また2の古物市場主とは古物商許可を得ている業者を対象に、古物市場という名の取引場所提供していて、その取引を管理している者をいい、一般消費者が利用するフリーマーケットは古物市場ではありません。

次に、古物営業法でいう「古物」とは何か? 大きく分けると以下の3種類を指します。

  1. 一度使用された物品
  2. 使用されない物品で、使用のために取り引きされたもの
  3. これらの物品に幾分の手入れをしたもの

1の一度使用された物品は代表的な古物であり、皆さん想像ができると思います。2は意外に思う方もいるかもしれません。つまり例え新品であっても、使用する目的で購入し、一度も使用していない状態のものは古物に該当します。3は本来の性質を変化させないまま、補修や修理を行ったものをいいます。

これら古物は具体的に古物営業法施行規則で次の13品目に区別されています。

一 美術品類(書画、彫刻、工芸品等)
二 衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)
三 時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等)
四 自動車(その部分品を含む。)
五 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む。)
六 自転車類(その部分品を含む。)
七 写真機類(写真機、光学器等)
八 事務機器類(レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等)
九 機械工具類(電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等)
十 道具類(家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等)
十一 皮革・ゴム製品類(カバン、靴等)
十二 書籍
十三 金券類(商品券、乗車券及び郵便切手並びに古物営業法施行令(平成七年政令第三百二十六号)第一条各号に規定する証票その他の物をいう。)

許可が必要かどうかを判断するためにはまず扱うものが古物であるか、営業が古物商などに該当するかチェックします。古物商又は古物市場主は営業所又は古物市場ごとに管理者を選任しなければなりません。管理者になるためには資格は不要ですが未成年者や欠格事由に該当する者はなれません。並行して、役員(個人許可申請の場合は本人)が欠格事由に該当しないか確認も必要です。その点を確認し問題なければ必要な書類を集めて管轄の警察署に申請をします。余談ですが古物担当の方は、各警察署に1名か2名の場合が多いです。提出する予定日が立ったら、事前に警察にアポイントを取ることをお勧めします。アポイントをしないで申請に行くと、古物担当者が不在の場合、受付できない可能性も考えられるからです。

無事に申請が受け付けられた後、許可証の交付までに要する審査期間は都道府県によって異なりますが概ね40日から60日くらいです。許可が出ると警察署から連絡を頂くので、許可証を受け取り手続きは完了します。以上が古物の概要と許可取得のおおままかな流れの説明となります。次の記事では許可取得時の条件や注意すべき点を詳細に説明してまいります。

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