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池田 孝太 Kota Ikeda

この記事の著者

池田 孝太 Kota Ikeda

アシスタントマネージャー  / 申請取次行政書士

古物営業許可申請に必要な要件と欠格事由に関する実務上の注意事項

2025年4月18日

前回の記事は古物営業法におけるそれぞれの定義と許可取得のおおまかな流れの説明でしたが、今回は許可取得に必要な事項や注意すべき点に焦点を当ててより詳細に説明してまいります。

【許可取得に必要な事項と注意点】

主たる営業所を設けること

古物営業を実際に行う拠点を主たる営業所と定める必要があります。その営業所は賃貸でも自己所有の物件でも構いません。注意点として管轄の警察署によっては営業所の使用権原を確認するため、賃貸なら賃貸借契約書の写し、自己所有なら登記簿などを求めることもローカルルールとしてあるようです。

営業所ごとに常勤の管理者を設置すること

管理者とは古物営業取引を行う上でのいわゆる責任者を指します。役員との兼務は可能です。管理者は特に資格は必要ありませんが常勤である必要があるので通勤圏内に居住していなければなりません。また複数の営業所を兼務することも原則できません。注意点として複数の営業所が物理的に近い場合は1人の管理者で複数の営業所を管理することが認められうる場合もあります。このケースは事前に管轄の警察署に相談が必要です。

欠格事由に該当しないこと

欠格事由とは要求されている資格を欠くことを言います。古物営業法で定める欠格事由に役員や管理者が該当しないか確認する必要があります。具体的には以下のものが欠格事由の例としてあげられます。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
    破産者は、一部の資格や職業が制限されるため、古物商の許可を受けることができません。復権とは破産者でなくなることです。
  • 禁固刑や一定の罰金刑などを受けた者
    禁固とは身柄を拘束されることです。日本の刑罰は重い順に死刑、懲役、禁固、拘留、罰金、科料となっており。禁固刑以上の刑を受けた場合は欠格事由になります。ちなみに懲役は労役義務があり、禁固には労役義務はありません。拘留も身柄を拘束される刑罰ですが30日未満で、禁固と懲役は1か月以上です。また一定の刑法の窃盗、古物営業法に規定される罰金は結核地涌になります。
  • 暴力団員又はその関係者
    暴力団員や過去に暴力団員であって5年を経過していない者など現に暴力団員に該当しないものも欠格事由に該当する場合があります。また、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律による命令や指示を受けた者も欠格事由に該当します。
  • 住居の定まらない者
    常時住所がない者は責任追及などが困難になることから欠格事由に該当します。
  • 古物商許可を取り消された者
    法人が古物商の許可が取り消されたときは、5年間は許可を取得できません。
  • 心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者
    精神機能のにより古物商又は古物市場主の業務を適正に実施するにあたって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者を役員と管理者の中で1人でも該当すると許可は受けることができませんので注意が必要です。この欠格事由に該当しないことを誓約する誓約書を役員と管理者は提出します。なお、外国人が役員や管理者になる場合で誓約書に記載の日本語を理解できない場合、誓約書を外国語に翻訳をしてその翻訳した誓約書を必要書類とすることもあります。このケースは事前に管轄の警察署に相談が必要です。

外国人が管理者になる場合

外国人の方でも管理者になることは可能です。前述のとおり前提として欠格事由に該当しないことが必要です。許可申請時に必要な書類について、役員全員と管理者は『身分証明書』という書類が必要となります。ただし外国人の方はこの書類を役所で取得すことができませんので不要です。なお、『身分証明書』とはパスポートなどの本人確認書類という意味ではありません。「破産宣告の通知を受けていない」などを証明する書類を意味しますのでご注意ください。さて、外国人の方は『身分証明書』の代わりとなる書面が必要になるか否かについてですが、このケースも事前に管轄の警察署に 相談が必要です。必要な場合は「破産宣告の通知を受けていない」などの内容を盛り込んだ誓約書や外国人の署名証明書(署名が本人のものであることについて本国官憲が作成した証明書)などを求められることが多いです。

以上のように外国人の方が役員や管理者になるケースなど管轄の警察に事前相談が必要なことも多いです。警察署のホームページに記載されている書類だけでは申請が受け付けされないこともありますので、ご心配な方は専門家である行政書士へご相談ください。

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