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長谷川 祐哉 Yuya Hasegawa

この記事の著者

長谷川 祐哉 Yuya Hasegawa

パートナー  / 税理士

事案例:租税条約について

2017年1月20日

Q.当社では自社のコンテンツを海外に提供することにより収益化に成功しつつあります。取引を行う前には、租税条約について確認する必要があると聞きました。租税条約とは何でしょうか?

A.二重課税の調整、脱税及び租税回避への対応等を通じ、二国間の健全な投資・ 経済交流の促進に資するものであり、日本は平成24 年4 月末現在、64 カ国・地域で53 条約を締結しています。

租税条約の概要

租税条約には、OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)加盟国を中心にしたOECD モデル租税条約があり、OECD 加盟国を中心に、租税条約を締結する際のひな型となっています。日本もこれに沿った規定を採用しています。

OECD

モデル租税条約の主な内容 二重課税の調整源泉地国(所得が生ずる国)の課税できる所得の範囲を確定しています。事業所得は、支店等の活動により得た所得のみに課税されます。投資所得(配当、利子、使用料)は、税率の上限を設定しています。

脱税及び租税回避への対応

税務当局間の納税者情報(銀行機密を含む)の交換が行われます。通常、源泉地国で課税された租税を自国の租税から控除する方法(外国税額控除)または源泉地国で生じた所得を課税の対象から除外する方法(所得免除)によって二重課税の排除を行っており、日本では、外国税額控除方法を採用しています。

租税条約のメリット

租税条約のメリットとしては、海外進出する企業は外国への投資や事業から得た利益に対する二重課税を避けることができる点や、税制面で不当な扱いを受けた時に両国間で設けられた協議機関へ申し立てを行うことができる点などが挙げられます。

また、政府は二ヵ国間での投資を促進させることにより事業の拡大がなされるなどの期待をしています。さらに、配当や利子への課税が軽減される点もメリットとして挙げられます。

租税条約適用のための手続

日本から海外に対して利子や配当、使用料などを支払う場合には、原則として20%の源泉所得税が課税され、支払者がその源泉徴収義務を負うことになります。しかし、租税条約の適用によって、海外への支払に対する源泉所得税の減免が認められることがあります。

減免の申請を行うには、「租税条約に関する届出書」を対象となる所得の支払の前までに、支払者の納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

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