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松橋 亮太 Ryota Matsuhashi

この記事の著者

松橋 亮太 Ryota Matsuhashi

パートナー  / 税理士

外形標準課税の導入経緯と算出方法の詳細・対象法人について

2023年10月4日

外形標準課税は、要件を満たした企業に対して課税される法人事業税です。本記事では、外形標準課税について詳しく説明すると共に、課税額の算出方法等について紹介します。

外形標準課税とは?

外形標準課税は、原則資本金が1億円を超える法人に対し、「付加価値割」及び「資本割」という外形基準によって法人事業税を課税する制度を指します。法人事業税は「所得割」「付加価値割」「資本割」の3つからなりますが、そのうちの付加価値割および資本割の部分は法人の所得以外を課税標準として課税されます。地方税法の改正により、平成16年4月1日以後に開始する事業年度から取扱いが開始されました。

外形標準税導入の経緯

以前の法人事業税は原則として法人の所得のみでした。よって、どんな大企業であったとしても、赤字であった場合には事業税の支払いが免除され、これが度々問題になることがありました。企業は活動を行うにあたり、地方自治体から様々な公共・行政サービスを享受しています。たとえ事業が赤字だったとしても、企業は地方行政からサービスを受けていることに変わりはありません。外形標準課税を設定することで、公共・行政サービスを享受する企業から確実に税を回収できるように変更することになりました。

付加価値割について

付加価値割の課税標準は「付加価値額」=「収益配分額」±「単年度損益」です。「収益配分額」とは「報酬給与額(給与・賞与・手当・退職金等の合計額)」、「純支払利子(支払利子から受取利子を差し引いた額)」、「純支払賃借料(支払賃借料から受取賃借料を差し引いた額)」の合計で計算されます。単年度損益に欠損金が生じた場合は「収益配分額」から「単年度損益」を差し引きます。

資本割について

資本割の課税標準は「資本金等の額」です。「資本金等の額」とは、法人税法に規定する資本金等の額(又は連結個別資本金等の額)に無償増減資がある場合の加減算をした金額と、資本金及び資本準備金の合算額又は出資金の金額とを比較して大きい金額をいいます。よって一般に「資本金」及び「資本準備金」に組織再編等、自己株式取得、資本の払戻し等の一定の調整を行った金額と考えられます。

外形標準課税の対象法人

外形標準課税の対象法人は、所得に課税される法人で事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人です。ただし、公共法人等、特別法人、人格のない社団等、みなし課税法人、投資法人、特定目的会社、一般社団法人及び一般財団法人は課税対象ではありません。

中間申告について

外形標準課税の対象法人は、法人税において中間申告義務がなくとも、事業年度の期間が6月を超えるときは法人事業税について中間申告を行う義務を負います。予定申告又は仮決算に基づく中間申告のどちらかの方法によって実施します。連結法人については予定申告のみ利用可能です。

おわりに

本記事では、外形標準課税について紹介しました。導入の経緯を理解すると共に、申告漏れがないように正しく報告しましょう。もし税制等に関してお困りでしたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。あなたの悩みをしっかりとヒアリングした後、最適なサービスを提供させていただきます。

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