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景井 俊丞 Shunsuke Kagei

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景井 俊丞 Shunsuke Kagei

パートナー  / 申請取次行政書士

住宅宿泊事業法(新法民泊)の概要と「民泊」に係る論点~届出、営業日数の制限及び住宅を提供する3者の役割体制~

2023年11月8日

住宅宿泊事業法の概要とは

住宅宿泊事業法いわゆる新法民泊に関する法律は、平成30年施行された法律であり制定の背景としては大きく分けて次の3つ、①近年、民泊サービスが日本でも急速に普及。②多様化する宿泊ニーズや逼迫する宿泊需要への対応。③公衆衛生の確保、地域住民とのトラブル防止、無許可で旅館業を営む違法民泊への対応があげられますが、その他健全な民泊の普及を図るため、民泊に関する一定のルールを定める必要性が出てきたことも法整備の一因と言えます。。そもそも「民泊」とは、法律上で定義されていませんが、住宅宿泊事業法の民泊サービスとは住宅の全部又は一部を使用して、宿泊サービスを提供するものとすると考えられています。また民泊と言っても「旅館業法(簡易宿所営業)」、「国家戦略特別区域法の旅館業法の特例(特区民泊)」、「住宅宿泊事業法(新法民泊)」と種類が別れていて、次の比較表(大阪府作成のものを抜粋:参照元)のとおり根拠法令がそれぞれ異なり、宿泊日数や客室の床面積など基準も異なります。

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住宅宿泊事業法の民泊とは

ここでは「住宅宿泊事業法(新法民泊)」についてポイントを3つに絞り具体的に説明していきます。

①新法民泊は旅館業法上に規定する営業者以外の者が人を宿泊させる事業を行いたい方(住宅宿泊事業者)向けに届出制として創設された制度です。届出先は原則住宅の所在地を管轄する都道府県知事となり住宅宿泊事業者の監督機関となります。
ただし、政令市、中核市、特別区は都道府県に代わり監督(届出受理含む)・条例制定措置を処理できるものとなっています。

②民泊の営業日数に制限があることが特徴であり、宿泊させる日数は上限が年間180日以内と定められています。これは1年の過半は居住の用に供されていることを想定していることから日数制限を設けています。また年間宿泊数の算定方法は4月1日正午から翌年4月1日の正午までを算定期間と定めています。

③住宅を提供する「住宅宿泊事業者」に加え「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」(以下、これらの事業者をまとめてここでは3者といいます)の役割体制についてです。この3者についてそれぞれ簡単に説明しますと、まず「住宅宿泊事業者」については「家主居住型」と「家主不在型」にさらに分かれるのですが、個人の生活の本拠である(原則住民票がある)住宅であり、住宅提供日に提供者も泊まっている住宅の場合は、「家主居住型」といいます。一方、個人の生活の本拠でない、又は個人の生活の本拠であっても住宅提供日に提供者が泊まっていない住宅である場合は、「家主不在型」といいます。「家主不在型」の場合と届出住宅の居室数が5室超の場合は、次に説明する「住宅宿泊管理業者」に管理の委託を義務付けています。管理委託の対象となるものは衛生確保措置、騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付けなどが挙げられます。一方、「家主居住型」の場合はこれらの対応を住宅宿泊事業者自身が行っていく必要があります。最後に、「住宅宿泊仲介業者」とは「住宅宿泊事業者」から物件情報の提供を受け、宿泊申込者からは希望する物件の予約・支払決済業務の対応を請け負う者です。3者の基本的な枠組みがわかる次の図(観光庁作成のものを抜粋:参照元)で各事業者の位置づけはイメージしやすいと思います。

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住宅宿泊事業の届出

前述のとおり住宅宿泊事業を営む旨の届出をする方法については、原則住宅の所在地を管轄する都道府県知事を届出先として行うものとなりますが、 届出にあたっては、観光庁の民泊制度ポータルサイトからオンラインで申請するシステムを利用して行うことを原則とします。また届出の際の添付書類として、主に次のものを省令で規定しています。①住宅の図面、②登記事項証明書、③住宅が賃貸物件である場合、転貸の承諾書、④住宅が区分所有建物である場合、管理規約の写し等の提出が必要となります。最後に、関連する話として「住宅宿泊管理業者」及び「住宅宿泊仲介業者」についてですが、それぞれの業を営もうとする者は、「住宅宿泊管理業者」は国土交通大臣の登録が、「住宅宿泊仲介業者」は観光庁の登録がそれぞれ必要となり監督を受けることとなります。また3者それぞれは業務上課せられている履行義務を果たしていない場合などは、住宅宿泊事業法に罰則が設けられており、健全な民泊の普及を目的としてこうした一定のルールを定めています。

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