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景井 俊丞 Shunsuke Kagei

この記事の著者

景井 俊丞 Shunsuke Kagei

パートナー  / 申請取次行政書士

旅館業の論点~種別毎の基準及び相違点、許可の申請手続きの流れと注意事項~

2023年11月7日

旅館業とは

旅館業法においては、「旅館業」とは、宿泊料又は室料を受け、人を宿泊させる営業のことをいい、「宿泊」とは、寝具を使用して旅館業の施設を利用することをいいます。

法の目的としては、旅館業の業務の適正な運営を確保すること等により、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もって公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的(旅館業法第一条)としています。

さて旅館業の種類には、「旅館・ホテル営業」、「簡易宿所営業」、「下宿営業」と3種類の種別(以前は「旅館営業」と「ホテル営業」と種類が別れていましたが統一されました)となっており設備の基準等も異なります。一方共通事項としては旅館業を経営する場合は、管轄の保健所長の許可が必要です。

種類のうち「旅館・ホテル営業」は言葉通りで一般の方も理解しやすいですが、聞き慣れない「簡易宿所営業」とは、例えばカプセルホテルをイメージして頂ければわかりやすいです。また、「下宿営業」は一月以上の期間を単位とする宿泊料を受ける宿泊施設を指しますが、現在ではほとんど需要がなく施設数も他と比べ少ないため本件では説明を割愛致します。

一方、新たなビジネスとして「民泊」がございます。法令上の明確な定義はありませんが、宿泊料を受け、人を宿泊させる営業のことをいい、外国人旅客の受け入れ先としてホテルなどに宿泊する場合と比較し、安価な費用で滞在でき需要が高まっています。また民泊と言っても「旅館業の許可を取得した民泊」、「特区民泊」、「住宅宿泊事業法に基づく民泊」と種類が別れていて、根拠法令がそれぞれ異なり、宿泊日数や客室の床面積など基準も異なります。そのため「旅館業」とは異なる扱いとなりますので、注意が必要です。

旅館業の種別ごとの主な基準

まず、東京都のHPにて旅館業の種別、基準や主な相違点などがまとめられた図がありますので、その図を基に補足致します。

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客室面積について「旅館・ホテル営業」の一客室の床面積については、原則7㎡以上が必要ですが、ベッドを設置する場合はベッドのスペース分を考慮し9㎡以上を必要としています。客室数については、「ホテル営業」は10室以上、「旅館営業」は5室以上を必要としてましたが、現在は法改正で最低客室数は撤廃されてます。一方「簡易宿所営業」は、1つの客室を多人数で共用することが想定されるため客室の延べ床面積は33㎡以上(宿泊者数10人未満:1人あたり3.3㎡以上)であることが基準で設けられています。もし階層式新台(つまり2段ベッド)を設ける場合は、上段と下段の間隔は、概ね1㎡以上であるという基準もあります。なお、基準については各自治体によって多少が違いがありますので注意が必要です。

申請手続きの流れとは

旅館業許可の申請手続きの流れを簡潔に説明致します。

(1)事前相談

保健所、消防署、建築審査課へ場所や構造設備等の図面を持参して相談

(2)許可申請

許可申請書類一式と手数料(ホテル・旅館業は30,600円又は簡易宿所営業・下宿営業は16,500円※市町村毎で異なります。)が必要です。なお、申請前に近隣住民への事前周知が必要なケースもあります。

(3)書類審査・中間検査・最終審査

旅館業営業許可申請内容と一致しているか、施設検査を行います。教育関係施設がある場合や施設の基準に適合するか否かの判断 が早めに必要な場合等に中間検査を実施します。竣工後は、宿泊できる準備が整った段階で最終的な審査を実施します。また関係機関への照会なども行われ、追加書類の提出が指示されることもあります。

(4)許可

書類審査及び検査により、基準に適合していることが確認されると、検査後、2週間位で保健所長より営業許可書が発行されます。許可されるまでは営業できません。

注意事項

(1)申請者要件

申請者が旅館業法第3条第2項各号の規定により、申請者(法人の場合は役員を含む)が3条各号のいずれかに該当する場合(例えば破産して復権を得ていない者や法律等に違反し刑に処せられ一定の期間を経ていない者など)は、申請があっても許可を与えない又は営業の許可後に許可の取消等を行う場合がありますので、申請手続き前に注意が必要です。

(2)「宿泊者名簿の取り扱い」について

営業開始後、法律で宿泊者名簿の備え付けが必要です。私たちがお客様としてホテルなどにチェックインする際にホテル側から宿泊者名簿に名前や住所の記載を求められると思います。宿泊者名簿は、感染症が発生したときや感染症患者が宿泊した ときに、その感染経路を調査するために宿泊者名簿を必要としています。要点は以下の通りです。

①記載内容について

  • 宿泊者の氏名、住所、職業
  • 宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人の場合は、その国籍及び旅券番号
  • 性別、年齢、前泊地、行先地、到着日時、出発日時、室名、連絡先電話番号

②警察や保健所職員から要求があったときは、これを提示しなければならない。

③保管期間は、3年間である。なお電子データでの保存も可。

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