ホーム/コラム/許認可(営業ライセンス)/古物商の論点~許可を取得する際の要件としての「主たる営業所」、「常勤の管理者」、「欠格事由」、外国人が管理者になる場合~
シェア
森 祐子 Yuko Mori

この記事の著者

森 祐子 Yuko Mori

コンサルタント  / 申請取次行政書士

古物商の論点~許可を取得する際の要件としての「主たる営業所」、「常勤の管理者」、「欠格事由」、外国人が管理者になる場合~

2023年9月28日

前回の記事は古物の定義と許可取得のおおままかな流れの説明でしたが、今回は許可取得時の条件や注意すべき点をピックアップして、より詳細に説明してまいります。

主たる営業所を設けること

古物営業を実際に行う拠点を主たる営業所と定める必要があります。その営業所は賃貸でも自己所有の物件でも構いません。注意点として管轄の警察署によっては営業所の使用権原を確認するため、賃貸なら賃貸借契約書の写し、自己所有なら登記簿などを求めることもローカルルールとしてあるようです。

営業所ごとに常勤の管理者を設置すること

管理者とは古物営業取引を行う上でのいわゆる責任者を指します。役員との兼務は可能です。管理者は常勤となりますので通勤圏内に居住していなければなりません。また複数の営業所を兼務することも原則できません。注意点として複数の営業所が物理的に近い場合は1人の管理者で複数の営業所を管理することが認められうる場合もあります。このケースは事前に管轄の警察署に相談が必要です。

欠格事由に該当しないこと

欠格事由とは要求されている資格を欠くことを言います。古物営業法で定める欠格事由に役員や管理者が該当しないか確認する必要があります。具体的には『暴力団員』、『住所の定まらない者』や『破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者』などに該当すると古物営業の許可を受けることができません。役員と管理者の中で1人でも該当すると許可は受けることができませんので注意が必要です。この欠格事由に該当しないことを誓約する誓約書を役員と管理者は提出します。

なお、外国人が役員や管理者になる場合で誓約書に記載の日本語を理解できない場合、誓約書を外国語に翻訳をしてその翻訳した誓約書を必要書類とすることもあります。このケースは事前に管轄の警察署に相談が必要です。

外国人が管理者になる場合

外国人の方でも管理者になることは可能です。前述のとおり前提として欠格事由に該当しないことが必要です。許可申請時に必要な書類について、役員全員と管理者は『身分証明書』という書類が必要となります。ただし外国人の方はこの書類を役所で取得すことができませんので不要です。なお、『身分証明書』とはパスポートなどの本人確認書類という意味ではありません。「破産宣告の通知を受けていない」などを証明する書類を意味しますのでご注意ください。さて、外国人の方は『身分証明書』の代わりとなる書面が必要になるか否かについてですが、このケースも事前に管轄の警察署に相談が必要です。必要な場合は「破産宣告の通知を受けていない」などの内容を盛り込んだ誓約書や外国人の署名証明書(署名が本人のものであることについて本国官憲が作成した証明書)などを求められることが多いです。

以上のように外国人の方が役員や管理者になるケースなど管轄の警察に事前相談が必要なことも多いです。警察署のホームページに記載されている書類だけでは申請が受け付けされないこともありますので、ご心配な方は専門家である行政書士へご相談ください。

お問い合わせ