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前川 研吾 Kengo Maekawa

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前川 研吾 Kengo Maekawa

ファウンダー&CEO  / 公認会計士(日本・米国) , 税理士 , 行政書士 , 経営学修士(EMBA)

ADRによるNASDAQ(ナスダック)上場事例:シーラテクノロジーズ

2023年11月30日

日本企業がADRによってNASDAQ上場した事例として、シーラテクノロジーズを取り上げて深堀りしていきたいと思います。会社概要・上場概要から申請書類の提出スケジュール、上場時の財務数値などについてまとめています。

会社概要

NASDAQに上場したシーラテクノロジーズの会社概要は次の通りです。

商号株式会社シーラテクノロジーズ
所在地東京都渋谷区広尾1-1-39 恵比寿プライムスクエア 7F
事業内容資産運用プラットフォーム「利回りくん」を中心としたプロップテック事業、利回りくんAIの開発
資本金1,102,789,087円
役員代表取締役会長 グループ 執行役員CEO 杉本 宏之

「テクノロジーとスマートな資産運用を活用し、100年寿命時代において世界中の不動産投資を民主化し、人々の生活をサポートし豊かにすること」をミッションに掲げ、主に3つの事業に取り組んでいます。

  • 利回りくん事業:個人を対象にした資産管理プラットフォーム「利回りくん」を運営しています。不動産クラウドファンディングや不動産の売買、自社で建設した太陽光発電所の販売などを促進しています。
  • 利回りくんプロ事業: 法人投資家、機関投資家、および富裕層を対象とした資産管理プラットフォーム「利回りくんプロ」を運営しています。自社開発の物件や他社の幅広い物件を展示し、これらの物件を投資家に仲介しています。
  • 資産運用事業:不動産のリース、仲介、管理、太陽光発電所の運用および保守など、資産管理に関わっています。賃貸物件の管理、建物のメンテナンス、太陽光発電設備の運用および保守、自社所有の太陽光発電所から得られる賃貸収入および電力販売の管理などが含まれます。また、2022年6月30日現在、仮想通貨およびマイニング機器市場の悪化を受け、マイニング機器事業からの撤退を決定しました。

上場概要

シーラテクノロジーズは2023年3月にNASDAQ Capital Marketへ上場しました。上場の方法としては、ADR(米国預託証券)の発行によるものになります。預託銀行としてはThe Bank of New York Mellonが担当しています。

ティッカーシンボルは「SYT」の予定で、発行される株数は1,875,000株になります。(アンダーライターがオーバーアロットメントオプションを完全に行使する場合は最大2,156,250 株)。なお、IPO前の普通株式は239,489株でした。

資金の用途は、他社の取得(M&A)、運転資金、一般企業目的に充てられる見込みと上場申請書類には記載されています。また、IPO完了後12ヶ月間は、会社・取締役および役員全員、発行された証券(または普通株式に転換可能な証券)を代理人の事前の書面による同意なしに売却しないことに同意しています。

配当ポリシーについては、将来の普通株式の配当は取締役会の裁量に依存し、過去には配当を行ったことがありますが、今後も行うかどうかは未定とのことです。

なお、上場の際の外部関係会社は以下の通りです。

  • 証券会社:Boustead Securities, LLC
  • 弁護士法人:Anthony L.G., PLLC
  • 監査法人:MaloneBailey, LLP

上場申請書類の提出スケジュール

シーラテクノロジーズの上場申請書類の提出スケジュールは以下の通りです。

日付内容
2022/9/26DRS(上場申請書類のドラフト)を提出
2022/10/20提出したDRSに対するSECのコメントレターを受領
2022/11/16F-1(上場申請書類)を提出
2022/12/1提出したF-1に対するSECのコメントレターを受領
2022/12/6F-1のコメント箇所を修正し再度提出
2022/12/14提出したF-1に対するSECのコメントレター再度受領
2022/12/15F-1のコメント箇所を修正し再度提出
~~省略~
2023/3/13提出したF-1に対するSECのコメントレター再度受領
2023/3/16F-1のコメント箇所を修正し再度提出
2023/3/30上場申請書類が承認
2023/3/31424B4 Prospectus(目論見書)が発行

出典:EDGARを基に作成

このように最初に書類を提出してから約6か月間SECとやり取りを行い、複数回にわたって申請書類修正し、上場が承認されました。

上場時の財務数値

シーラテクノロジーズが提出した上場申請書類F-1に記載されている上場時の財務数値は次の通りです。

科目2021年12月期
総資産21,463,979千円
純資産5,582,336千円
売上高16,665,382千円
当期純利益277,489千円

出典:SYLA TECHNOLOGIES CO., LTD.-F-1

上場の背景

シーラテクノロジーズは、「世界中の不動産投資を民主化する。人生100年時代をテクノロジーと資産運用で豊かに。」というミッションに基づき、プロップテック企業としての成長とグローバル展開を目指し、米国Nasdaq Capital Marketへの上場を申請し承認されました。

今後は、主力事業である不動産クラウドファンディングサービスを通じて世界トップを目指し、シーラテクノロジーズの不動産開発力とテクノロジー技術を駆使して、グローバルなサービス提供を展開し、世界中の不動産投資の民主化を推進していく計画です。

その他

NASDAQに上場されているシーラテクノロジーズの株式は、ADR(米国預託証券)としてSBI証券・マネックス証券・楽天証券などの日本国内の証券会社を通じて購入することができます。

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