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新設された在留資格「特定技能」が建設業に従事する外国人労働者に与える影響-従来からの在留資格「技能実習」との相違点

新設された在留資格「特定技能」が建設業に従事する外国人労働者に与える影響-従来からの在留資格「技能実習」との相違点

外国人雇用・イミグレーション, 建設業
2026年1月30日

建設業界における深刻な労働力不足を背景に、2019年に創設された在留資格「特定技能」。特に建設分野においては、従来の「技能実習」制度に加え、新たな外国人材活用の柱として定着しつつあります。

さらに、2024年には建設分野における特定技能の対象業務が大幅に統合・拡充されるなど、制度のアップデートが続いています。本記事では、特定技能が建設業界に与える影響と、技能実習制度との主要な相違点について、最新の情報に基づき解説します。

特定技能制度は、国内の人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。

これまで建設分野の特定技能は、細かい区分(土木、建築、ライフライン・設備など)に分かれていましたが、実務上の柔軟性を高めるため、現在「建設」という一つの区分に統合されています。

これにより、以前よりも現場での多能工的な働き方が認められやすくなり、企業側の活用しやすさが向上したと考えられます。具体的な業務内容には、土木、建築、屋根吹き、内装仕上げ、電気通信など、建設現場における広範な作業が含まれます。

建設会社が外国人材を雇用する際、候補となる「特定技能1号」と「技能実習」には、その目的や運用において大きな違いがあります。

比較項目技能実習特定技能
制度の目的労働力の確保(深刻な人手不足への対応)国際貢献・技能移転(途上国への技術伝承)
在留期間通算最大5年通算最大5年(1号〜3号の合計)
技能水準試験(技能・日本語)による確認、または技能実習2号修了特になし(入国時は未経験が前提)
転職の可否同一職種内であれば可能原則として不可
家族の帯同原則不可不可
受入枠の制限建設分野は別途「受入計画」による制限あり企業の常勤職員数に応じた人数枠あり
国土交通省の審査建設特定技能受入計画の認定が必要不要

技能実習と異なり、特定技能は「同一の業務区分内での転職」が認められています。労働者にとっては、より良い労働条件を求めて移籍できる権利がある一方、企業にとっては、処遇改善や職場環境の整備を通じたリテンション(定着支援)が、これまで以上に重要な課題になると考えられます。

建設分野での特定技能の活用には、他の分野(外食や介護など)にはない独自の規制が存在します。

特定技能外国人を雇用する建設業者は、出入国在留管理庁への申請前に、国土交通省に対して「建設特定技能受入計画」の申請を行い、認定を受ける必要があります。この認定がなければ、在留資格の申請自体が受理されません。

建設分野では、外国人労働者の月給制が原則とされています。また、日本人と同等以上の報酬を支払うことに加え、公共工事の「公共工事設計労務単価」等を参考に、不当に低い賃金とならないよう厳格なチェックが行われます。

建設分野の受入企業は、「一般社団法人建設技能人材機構(JAC)」に加入するか、JACを構成する建設業者団体に所属する必要があります。これにより、受入負担金の支払い義務等が発生します。

2024年6月、技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を創設する改正法が成立しました。

この新制度は、3年間の育成期間を経て「特定技能1号」の水準まで引き上げることを目的としています。今後、建設業界における外国人材活用の流れは、現行の技能実習から育成就労へ、そして特定技能へのスムーズな移行を軸としたものに再編される見込みです。施行は2027年4月1日から運用開始予定であり、長期的な採用計画を立てる上では、これらの法改正を注視する必要があります。

特定技能の創設は、建設業界にとって、即戦力に近い技能を持つ外国人材を「労働力」として正式に確保できる大きな転換点となりました。

  • 特定技能の創設は、建設業界にとって、即戦力に近い技能を持つ外国人材を「労働力」として正式に確保できる大きな転換点となりました。
  • 柔軟性: 業務区分の統合により、現場での幅広い作業が可能になった。
  • 管理の厳格性: 国土交通省の認定やJACへの加入など、独自の事務手続きが必要。

技能実習制度が抱えていた「実態は労働力なのに建前は研修」という矛盾が解消されつつある一方、転職の自由という新たな側面にも向き合う必要があります。法令を遵守し、適切な労務管理を行うことが、長期的な人材確保の鍵になるといえるでしょう。

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