ホーム/コラム/会計・税務/令和3年度税制改正②:住宅ローン控除の拡充・同族会社発行の社債利子等の総合課税化・短期退職手当等の課税強化の紹介
シェア
長谷川 祐哉 Yuya Hasegawa

この記事の著者

長谷川 祐哉 Yuya Hasegawa

パートナー  / 税理士

令和3年度税制改正②:住宅ローン控除の拡充・同族会社発行の社債利子等の総合課税化・短期退職手当等の課税強化の紹介

2021年3月20日

12月10日に「令和3年度税制改正大綱」が公表されました。新型コロナウイルスの様々な影響を受け、様々な税制改正が行われています。

前回の記事では「DX投資促進税制」「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」「繰越欠損金の控除上限の特例」の3つについて紹介しましたが、今回は「住宅ローン控除の拡充」「同族会社発行の社債利子等の総合課税化」「短期退職手当等の課税強化」の3つについて紹介します。

前回の記事はこちら

住宅ローン控除の拡充

控除期間13年間の住宅ローン控除の特例措置が延長されることになりました。
この措置は元々、消費税10%への引き上げに伴う反動減対策として導入されたものです。2以前の住宅ローン控除の期間は10年間でしたが、2019年より13年間に伸びました。この特例措置が延長されたのです。

延長後は、新築の場合は2021年9月末までに、それ以外の場合は2021年11月末までに提携契約を行い、2022年12月末までに入居した対象者が控除期間13年の特例を適用できます。

延長した部分に限り、合計取得金額が1,000万円以下の場合、床面積40〜50㎡の住宅も対象
となります(従来は床面積50㎡以上の住宅のみが対象でした)。これにより、床面積が40㎡台で控除対象にならなかった層も住宅ローン控除の特例措置が受けられます。住宅の購入を検討している方には非常に魅力的な税制改革といえます。

住宅ローン控除の拡充内容

対象特別特例取得
(対価又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等)
種類居住用家屋の新築分譲住宅・中古住宅の取得、増改築等
契約期間2020/10/1~2021/9/302020/12/1~2021/11/30
入居期間2021/1/1~2022/12/31

同族会社発行の社債利子等の総合課税化

同族会社発行の社債利子等に関するルールが変更となります。

社債利子は原則として、利子所得として源泉分離課税(所得税率15.315%+地方税率5%=20.315%)が適用されますが、同族会社が発行した社債の利子の場合、その同族会社の役員等が支払いを受けるものについては、総合課税の対象とされていました。

今回の改正においては「同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の判定の基礎となる株主でつまり法人と特殊の関係のある個人及びその親族等が支払いを受けるものについて、総合課税の対象とされる」ことが明記されました。

利子所得等の課税方法として、分離課税が廃止され、総合課税に変更されます。同族会社間で社債利子等が発生している場合は適切な対応が必要になるため、十分注意するようにしてください。

短期退職手当等の課税強化

短期退職手当等に関する課税の仕組みにも変更がありました。具体的には、5年以下の従業員に対する300万円超の部分に対する1/2課税の適応が廃止されます。

一部の企業では、給与を少なくする代わりに退職金額を多くし、従業員の税制負担を軽減するケースが見られたためです。

2013年以降は、勤続年数が5年以下の従業員等は退職所得課税の適応外とされていましたが、今回の税制改正を受け、5年以下の従業員であっても退職所得課税が適応されます。

多くの企業が当てはまる分野になるため、詳細についてしっかりと確認しておくとよいでしょう。

おわりに

本記事では、令和3年度税制改正で注目の「住宅ローン控除の拡充」「同族会社発行の社債利子等の総合課税化」「短期退職手当等の課税強化」について紹介しました。新型コロナの影響を受け、日本では様々な税制対策や一部仕様の変更が行われています。

正しい知識がなければ優遇政策を受けられなかったり、税制面でマイナスとなってしまったりすることがあり得ます。もし企業の税制等を見直し、適切化することで節税を図りたいとお考えでしたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ