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森 祐子 Yuko Mori

この記事の著者

森 祐子 Yuko Mori

コンサルタント  / 申請取次行政書士

日本に進出した中国企業3社と中国で人気の銀聯カードの概要

2023年4月13日

昨今、日本進出が非常に活発になっているのが中国企業です。中でもインターネットやゲーム関連企業の日本進出は急速に増加しており、最先端のテクノロジーが比較的安い価格で楽しめるとあって、多くの日本人ファンを獲得しています。中国企業の日本進出は今後ますます進むと考えてよいでしょう。

本記事では、日本へ進出を果たした中国企業を紹介するとともに、中国企業が世界に進出することで注目が集まる「銀聯カード」についても紹介します。

弊社では外資系企業の日本進出に関するトータルサポートを提供しています。もし日本進出に関してお困りのことがございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

中国企業にとって日本進出が狙い目である理由は?

海外進出をしたい中国企業にとって、日本進出は非常に狙い目であるといえます。その理由として、地理的条件、言語的条件、文化的条件などが整っていることが挙げられます。

まず地理的条件として中国から日本までは物理的距離が非常に近く、人材の移動や物資の移動に関する費用を抑えることができます。

次に言語的条件として、日本語と中国語はもちろん異なる言語ですが、同じ漢字を利用しているということもあり、言語を介したコミュニケーションが比較的容易にできます。

最後に文化的条件として、日本は歴史的に見ても中国からさまざまな影響を受けており、私生活の中に自然に取り入れられている文化も多くあります。海外進出の際には、文化や人々の考え方を考慮したマーケティングである「ローカライズ」が非常に重要になりますが「日本-中国間」であれば、このローカライズが比較的容易に行えます。

これらの理由から日本は中国企業が海外進出するのに非常に優れた国といえるため、昨今中国企業の日本進出が相次いでいます。今後もこの傾向はさらに続くと考えてよいでしょう。

日本進出を果たした中国企業の紹介

では早速、日本進出を果たした注目の中国企業3選を紹介します。

(1)ByteDance

「ByteDance」と聞いてもわからない人が多いと思いますが、「TikTok」を運営している会社といえば身近に感じるかと思います。ByteDanceはTikTokやBuzzVideo、Toitiao(日本非対応)といった人気アプリの開発・運営を行っている会社です。

ByteDanceは2018年に資金調達を行っていますが、その際の時価総額は約8兆5,000億円と試算されるなど、世界的に見ても非常に大きな企業です。売上に関してもここ数年で劇的に増加しており、中国を代表する企業の1つとして認知されています。

日本法人を東京都新宿区に設けており、従業員は100名を超えると言われています。ITエンジニアやデザイナー、ビデオディレクターなどを積極的に採用していることからもわかる通り、IT分野に特化したサービスを提供しています。

今後より大きく成長することも考えられるため、注目したい中国企業の1つです。

(2)Kingsoft

続いて紹介するのが、インターネット分野で日本に進出した中国企業としてはもっとも古いといわれている「Kingsoft」です。1994年に北京に設立されたPCソフトの会社で、マイクロソフトのオフィス製品に似た商品を提供。値段が手頃であることから、世界で多くのファンを獲得しています。

日本には2005年に「Kingsoft Japan」を立ち上げました。Kingsoft JapanはKingsoft社の日本子会社ではなく、本社と日本現地のパートナーが一緒に作った会社だと言われています。現在では100名程度の従業員が勤務しており、日本人に対してPCソフトの提供やサポートを行っています。

日本に非常に早い時期に進出し、成功を収めた例の1つといえるため、今後日本進出をしたいと考えている中国企業にとっては参考にできることも多いと思います。

(3)NetEase

最後に紹介するのが、ゲームソフト分野で大きな成功を収めている「NetEase」です。中国では昨今、ゲーム開発に非常に力を入れており、NetEaseもそのうちの1つです。多くの人気アプリを配信してきましたが、2017年に配信された「荒野行動」は中でもダントツの売上を達成し、多くの日本人ゲーマーを魅了しました。

NetEaseが日本進出に成功した理由の1つとして、徹底的なローカライズが挙げられます。日本語に翻訳するのはもちろんのこと、東京決戦という地図を作り日本人の関心を高めることに尽力。東京タワーや渋谷でバトルロイヤルができるとあって、多くの日本人が熱狂しました。

ゲームが世界的ブームになるタイミングで日本進出を果たし、徹底的なローカライズによって日本人ファンを獲得したNetEaseの戦略は、これから日本進出を考えている中国企業にとって学びが多いと思います。

中国企業の進出によって注目が集まる銀聯カードとは?

銀聯カードとは「中国国内で圧倒的なシェアを誇るデビットカードの機能を持ったカード」のことをいいます。

最近では日本国内でも「銀聯」マークのついた百貨店やショッピングセンターをよく見かけるようになりましたが、これは「爆買中国人」をターゲットにした戦略の一つでもあります。そもそも中国人が日本に旅行する際、一定金額以上の人民元の持ち出しは規制がかかっています。つまり、海外旅行に行く際には現金だけでは金額的に足りないというのが現状です。

日本に来る中国人が増加するにつれて日本に進出する中国企業が増加しますが、日本進出した中国企業が増加すればするほど銀聯カードを目にする機会も増えることでしょう。

クレジットカードと銀聯カードの違い

日本人の感覚であれば、クレジットカードで買い物をすれば良いのにと思うかも知れません。しかし中国では、クレジットカードを作成できない人が大勢います。これは「クレジット=信用」を基にした借金であることに起因しています。今でこそ先進国の仲間入りを果たした中国ですが、数年前までは発展途上国でした。

そんな中、クレジットカードを持てるのはごく一部の富裕層に限られていました。経済が発展した今もなお、与信によるクレジットカードの発行よりも、預金残高を上限としたデビットカード、つまり銀聯カードの利用が主流となっているのが中国の実態です。

銀聯カードの利便性

上述の通り、最近多くの日本企業も銀聯カード対応に積極的です。これは、中国人の爆買の恩恵にあやかるためです。実際、銀聯カードの加盟店は急拡大しており、いたるところで銀聯マークを目にします。

さらに、一部の企業ではこの銀聯カードを使った優待特典を実施して、中国人観光客の囲い込みを実施しています。決済として銀聯カードを使えるだけでなく、そのカードに優待特典を提供することで、他社との差別化を図ろうとしています。

また、銀聯カードはデビットカードですので、中国の口座に預金があれば高額な商品でも決済可能となります。銀聯カードの上位ステータスを持っている顧客にはヘリコプターが買えるような会報誌が送られ、いまだ中国バブルを反映しているような印象を受けます。

今後の銀聯カードの広がり

直近では円高局面になり、中国人による爆買も陰りを見せているような報道もありますが、一部の富裕層たちの購買行動には異様さを感じるものがあります。中国企業が日本、そして世界へ進出していくにつれて、銀聯カード対応のカウンターを見かけることも増えると思います。中国ビジネスに関わる方であれば、銀聯カードのことは知っておくとよいでしょう。

おわりに

今回は、日本に進出した中国企業の紹介と、中国企業が世界に進出することで広がると考えられる銀聯カードについて紹介しました。中国にとって日本は比較的進出のしやすい国です。しかし、日本のややこしい税制や手続きに対応することが企業の負担になることも多くあると思います。

弊社では、日本への進出に関するトータルサポートを提供しております。もし中国企業の日本進出に関して不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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