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景井 俊丞 Shunsuke Kagei

この記事の著者

景井 俊丞 Shunsuke Kagei

パートナー  / 申請取次行政書士

外国人従業員を解雇する際のルールと外国人特有の留意点とは

2022年11月10日

外国人を雇用する際には、何か問題が生じたときに契約を打ち切る「解雇」についても考えておく必要があります。しかしながら、雇用時に解雇に関するルールを示しておらず、外国人ともめてしまう企業も多いと聞きます。

本記事では、外国人を雇う際に必ず考えておいてほしい解雇に関する一般的なルールと、外国人特有の留意点について紹介します。

日本人・外国人に共通する解雇のルール

日本人であっても、外国人であっても、解雇に関する大抵のルールは同じです。解雇を言い渡す際には、明確な基準に沿った理由の説明が必要です。また、雇用した際に解雇の条件を伝えるとともに、誰が見てもわかるような明確な理由や根拠を示す必要があります。

(1) 解雇事由の明示

就業規則と労働契約書(労働条件通知書)に、「どんなときに解雇されることがあるか」という解雇事由をあらかじめ示し、その事由に合致することが必要です。

(2) 客観的合理的理由と社会的相当性

(1)の方法で解雇事由を明示していても、必ず解雇できるとは限りません。労働契約法第16条によれば、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、労働者を解雇することができません。

たとえば「体調が悪く連絡できないまま無断欠勤した」といったやむを得ない理由がある場合や、単に「商品を壊した」「服装がだらしない」といった理由だけで解雇することはできません。したがって、解雇にあたっては慎重な対応が必要となります。

(3) 解雇するときは予告が必要

(2)に示す合理的な理由があっても、従業員の意思に反し、事業主の判断で解雇する時には、解雇する日の30日前に解雇の予告をしなければなりません。予告の日数が30日に満たない場合には、不足日数分の平均賃金を、解雇予告手当として支払う必要があります(労働基準法第20条)。これに違反すると、罰則が発生します。ただし、(3)の例外として、下記のような場合は解雇予告制度が適用されません。

 従業員が以下の場合
・使用期間中(使用期間の上限は14日)
・契約期間が2ヶ月以内

 従業員側に問題行為があった場合

あくまで(3)が適用にならないだけで、(1)(2)のルールは適用されることに注意して下さい。また、上表「イ」については、解雇前に労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。

解雇は上述のようなルールにのっとって行われる必要があり、これは日本人・外国人に共通するものです。また、以下の場合は不正解雇にならないとも言われますが、非常に複雑な部分のため、これらに当てはまる場合には社会保険労務士に相談することをおすすめします。
・会社の業績が極めて悪化している場合(リストラ)
・復職のめどが全然立たない長期の入院の場合
・勤務態度が社会通念を超えて極めて悪い場合
・重大な経歴の詐称があった場合
・重大な問題を引き起こし懲戒処分となった場合

外国人特有の解雇に関する留意点

外国人を雇用する場合には、上記のルールに加え、外国人特有の解雇に関するルールが適用されます。

(1)国籍による差別の禁止

国籍を理由とする解雇は労働基準法第3条により認められていません

(2)日本と外国の文化や雇用慣行のギャップ

解雇の正当性は国によって大きく感覚の異なる部分です。そのため項番1のような解雇のルールを就業規則に具体的な事例を交えて記載し、事前に説明しておくことが必要です。

また、外国人従業員本人が「自分はなぜ解雇されたのか」がわからずにトラブルにつながる場合もあります。解雇をするときはきちんと理由を説明することも必要です。

(3)解雇予告は早めに

外国人が新たな仕事を見つけるには時間がかかることがあります。そのため、事業主が解雇を決定した場合、その事実を早めに告げる必要があります。そうすることで今の職場を去る前に転職活動を行うことができ、新たな職場への転職がスムーズに行われるようになります。

(4)再就職の援助

解雇する外国人従業員が再就職を希望するときは、関連企業等へのあっせん、求人情報の提供等当該外国人従業員の在留資格に応じた再就職が可能となるよう、必要な援助を行うことも重要です。厚生労働省が定めた「外国人雇用管理指針」の中で事業主が努めるべきこととして、この再就職の援助が挙げられています。

(5)外国人雇用状況の届出

外国人従業員の離職の際には、氏名、在留資格などについて、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています(労働施策総合推進法第28条)。

解雇された外国人従業員の現実

解雇された外国人従業員が、引き続き日本で働くことを希望する場合、慣れない国で就職活動をすることになります。資格外活動の許可を受けることで、再就職までアルバイトで生活費を稼ぐことは可能ですが、1週について28時間以内の就労に制限されるため、非常に厳しい事態に追い込まれます。

会社の業績や、従業員の能力不足・成績不良などでどうしても解雇しなければいけない時はあると思いますが、解雇された外国人の立場や将来についても考慮し、ふさわしい決定を下すことが求められます。

解雇に伴うトラブルを避けるためにできること

「働きぶりを見てダメだったら、解雇すればよいだろう」など安易に雇用・解雇をした結果、それが事業主の評価となり、今後有能な外国人を雇いにくくなる事態に陥る可能性もあります。解雇に伴うトラブルを避けるために、外国人従業員とすれ違いや誤解が生じないよう相互理解に努めることが重要です。

外国人雇用に関してより詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。

外国人雇用と就労ビザ申請手続のよくある質問Q&A

おわりに

本記事では、外国人を解雇するときの注意点について紹介しました。日本人であっても外国人であっても、解雇に関しては多くの共通のルールが適用されます。もし会社がこれを守らずに解雇を実施した場合は処罰を科せられる場合があるため注意が必要です。また、外国人にのみ適用されるルールもあります。

外国人を採用する際には、同時に解雇に関する規定も作成し、採用時に本人の承諾を得る必要があります。もし、外国人の雇用や解雇に関してお困りでしたら、外国人雇用のトータルサポートを実施している弊社まで、お気軽にお問い合わせください。

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