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人事デューデリジェンス(人事DD) | RSM汐留パートナーズ

人事デューデリジェンス(人事DD)

人事デューデリジェンスは、M&Aや組織再編等の局面において対象企業に属する「人」に関連する定性的な性格の項目を調査することをいいます。具体的には、経営理念・戦略、組織と従業員構成、制度の状況、福利厚生と雇用条件、法令遵守、人材・組織風土アセスメント等について調査を行うことで、経営資源としての「人」にフォーカスして、M&Aや組織再編の成功をサポートします。

人事DDの必要性とその目的

人事デューデリジェンス(人事DD)は、特にM&A(合併・買収)や組織再編の際に非常に重要な役割を果たします。このプロセスは、組織が大きな変化を迎える局面でのリスクを管理し、ディールの成功を確実なものにするために不可欠です。以下、人事DDの必要性と目的について詳しく説明します。

人事DDの必要性

・M&Aや組織再編の局面での重要性
M&Aや組織再編は、従業員、経営構造、企業文化に大きな変化をもたらす可能性があります。人事DDは、これらの変化を理解し、適切に管理するために非常に重要なプロセスです。

・リスク評価と管理
組織の人的資源に関連するリスクを特定し、これを体系的に評価します。具体的には、従業員のスキルセット、労働法違反のリスク、給与体系の不一致などが含まれます。

・文化的適合性の評価
異なる企業文化が衝突することは、M&Aの失敗の一因になることがあります。人事DDのプロセスを通じて、文化的な適合性を評価し、M&Aや組織再編後の統合における調和を図ります。

人事DDの目的

・組織の人的資源の評価
従業員のスキル、経験、業績などを評価します。これは、対象会社の組織の能力と将来の成長可能性を理解するためにも役立ちます。

・法的コンプライアンスの確認
労働法や規制遵守を確認し、将来的な法的問題のリスクを低減します。

・統合計画の策定
統合後の組織構造、人事方針、報酬体系などについてプランニングします。これにより、スムーズな統合と統合後の効率的な運営が可能になります。

人事DDは、M&Aや組織再編の成功を左右する重要なプロセスです。従業員と組織の両方の観点からリスクを把握して評価し、適切な計画を立てることで、変革を成功に導くための基盤を築きます。効果的な人事DDは、企業の長期的な成功と持続可能性に大きく貢献します。

人事DDと労務DDの違い

次に、よく頂く質問として「人事DDと労務DDの違い」についてご紹介します。

まず、労務DDの特徴と目的についてですが、労務DDは、企業が過去から現在に至るまでの労務コンプライアンスをどの程度遵守してきたかを検証する過程です。具体的には、未払い残業代、労働基準法の遵守、従業員との労働契約の遵守状況など、主に定量的な情報を基に分析します。これらの情報は、企業が負っている潜在的な負債やリスクを明らかにし、財務上の評価に直接影響を与えます。

一方で、人事DDは、現在から将来にわたる企業の人事マネジメントに関する課題を特定し、特にポストマージャーインテグレーション(PMI)のプロセスにおいて、組織や人材の面での適切な統合計画を策定することに焦点を当てています。人事DDの主要な目的は、リスクの特定、人材および組織の価値評価、そして人事PMIの実施に向けた情報を分析し提供することです。人事DDでは、従業員の士気や心情、統合に伴うコストや文化の違いなど、定性的な側面が強調されます。

人事DDは時に「HRDD(Human Resources Due Diligence)」とも表記され、組織の文化、リーダーシップ、人材の能力やポテンシャルなど、より人的要素に重点を置きます。これに対し労務DDは、具体的な数値やデータを基にした分析に重きを置いています。

人事DDと労務DDは、それぞれ企業の異なる側面を照らし出します。M&Aの成功には、これら2つのデューデリジェンスを適切に実施し、得られた情報を総合的に分析することが重要です。これにより、予期せぬリスクを最小限に抑え、企業価値を最大化することができます。

なお、労務DDについては、「労務デューデリジェンス(DD)」のサービスページにて、ご紹介しておりますので合わせてご覧ください。

人事デューデリジェンス(DD)の調査項目例

項目内容詳細
1経営理念・戦略会社のビジョン、ミッション、戦略的目標
2組織体制と従業員構成組織体制図、属性別の従業員構成、入退社数の推移、出向者数の推移
3雇用形態正社員、契約社員、パートタイム等の割合と条件
4制度の状況人事制度、評価制度、報酬体系
5福利厚生各種保健、退職金、社宅等の福利厚生の詳細
6教育・研修制度社員研修、資格支援、リーダーシップ開発プログラム
7労働関連の法令遵守状況労働基準法、健康と安全の規制遵守
8従業員満足度社内調査、フィードバック、退職者インタビュー
9労働組合との関係労働組合の有無、交渉状況、合意内容
10人事評価システム評価基準、実施周期、フィードバックプロセス
11能力開発とキャリアパス計画従業員の成長支援、昇進機会、キャリアパスの提供
12労働争議の歴史と現状過去の労働争議事件、現在の労働環境
13従業員に対するリスク管理ヘルスケア、メンタルヘルス、災害対策

1. 経営理念・戦略

企業の経営理念、ビジョン、ミッション、戦略目標などは、企業の長期的な方向性やコアとなる価値観を醸成します。これらは、企業が市場や社会においてどのような役割を果たしていくのか、どのような未来を目指しているのかを示します。ビジョンは、会社が望む理想の未来像を、ミッションはその理想を実現するための基本的な目的とも理解されます。戦略目標は、ビジョンとミッションを達成するために設定される具体的な選択策定における目標であり、しばしば業績の指標(KPI)としても用いられます。

2. 組織体制と従業員構成

組織体制図、属性別の従業員構成(年齢、性別、職種など)、入退社数の推移、出向者数の推移などから、組織の健全性と従業員の流動性について把握します。組織体制図は、会社内の階層や部門間の関係を明確にし、従業員の役割と責任範囲を理解するためにも重要です。従業員構成の分析では、多様性の度合いを把握し、特定の属性に偏りがないかについても確認します。入退社数の推移と出向者数の推移は、従業員の安定性と組織のリテンション力を評価するための重要な指標です。

3. 雇用形態

正社員、契約社員、パートタイム等の割合と雇用の条件を分析することで、雇用の柔軟性と安定性を評価できます。各雇用形態の比率や条件を理解することで、企業がどの程度労働市場の動向に対応しているか、また、従業員に対してどのような雇用の安全性とキャリアパスを提供しているかの分析も可能です。

4. 制度の状況

人事制度、評価制度、報酬体系は、従業員のモチベーションと公平性を保つための重要な要素です。人事制度の理解を通じて、昇進、異動などの基準とそのプロセスを評価します。評価制度については、従業員のパフォーマンス評価の方法と公正性を確認し、報酬体系については、給与、賞与、インセンティブなどが市場競争力を持っているかを分析します。

5. 福利厚生

各種保健、退職金、社宅等の福利厚生の情報は、従業員の福祉と満足度に直結してきます。これらの福利厚生がどの程度従業員のニーズに合致しているか、また、業界平均と比較して競争力があるかを検討します。

6. 教育・研修制度

社員研修、資格支援、リーダーシップ開発プログラムは、従業員のスキルアップとキャリアアップを支援します。これらのプログラムの内容、実施頻度、参加率などを評価し、従業員の能力開発・成長にどの程度貢献しているかを分析します。将来のリーダーやプロフェッショナルを育成するための施策についても重要です。

7. 労働関連の法令遵守状況

労働基準法をはじめとした法令の遵守は、法的リスクの管理と従業員の安全衛生確保のために必要不可欠です。労働時間、休憩・休暇、賃金、解雇規定など、労働に関わる法律の遵守状況を詳細に調査し、違反の有無やその対応策を評価します。また、職場の安全規制や健康に関する基準の遵守状況も重要で、従業員の福祉を保護するための措置やプログラムが適切に実施されているかを確認します。

8. 従業員満足度

社内調査、フィードバック、退職者インタビューを通じて、従業員のエンゲージメントと組織の健全性を把握します。従業員満足度の調査は、職場環境、仕事の内容、上司との関係、報酬や福利厚生に対する満足度など、多岐にわたる側面を含みます。これらのデータを分析することで、従業員のモチベーションと忠誠心、職場の雰囲気を理解し、改善策を立てることができます。

9. 労働組合との関係

労働組合の有無、交渉状況、合意内容について確認し、労使関係の安定性を評価します。労働組合との関係は、労使協議の履歴、合意事項の詳細、現在進行中の交渉や紛争の状況などを詳細に調べます。これにより、労使間のコミュニケーションの質や、将来的な労働紛争のリスクを評価することができます。

10. 人事評価システム

評価基準、実施周期、フィードバックプロセスは、効果的なパフォーマンス管理と従業員の成長を促進します。人事評価システムの分析には、評価の方法、目標設定の過程、パフォーマンスフィードバックの質と頻度などが含まれます。これらのシステムが公平で透明性があるか、そして従業員の能力開発とキャリア成長にどのように貢献しているかを検証します。

11. 能力開発とキャリアパス計画

従業員の成長支援、昇進機会、キャリアパスの提供は、従業員のキャリア発展と組織の将来性に繋がります。能力開発プログラムの範囲、参加率、その効果の評価や、キャリアパス計画の具体性、従業員のキャリア目標達成に対する支援の質を分析します。

12. 労働争議の歴史と現状

過去の労働争議事件、現在の労働環境について調査します。労使間の緊張関係とその解決策を理解するために、歴史的な争議の原因、解決されたかどうか、そして現在の労働環境における潜在的な紛争点を評価します。

13. 従業員に対するリスク管理

ヘルスケア、メンタルヘルス、災害対策は、従業員の健康と安全を確保し、緊急時の対応力を強化するものです。これには、健康管理プログラム、職場でのストレス管理、安全衛生対策、災害時の緊急避難計画など、従業員の安全と福祉を守るための施策の範囲と効果を評価します。

RSM汐留パートナーズの人事デューデリジェンス(DD)サービスの特徴

① M&Aや組織再編に精通したメンバーが多数在籍

RSM汐留パートナーズはこれまで数多くのM&Aや組織再編の案件に携わっております。財務関連のアドバイザリーサービスはもちろんのこと、M&Aや組織再編の局面における人事周りの課題の把握や改善提案を行える社会保険労務士等が多数在籍しております。必要に応じて公認会計士・税理士等と連携し人事デューデリジェンスサービスを提供します。

② フットワークが軽くスピード感をもったご支援が可能

RSM汐留パートナーズは、フットワークが軽く行動力のあるメンバーが集まっています。人事デューデリジェンスサービスにあたってスピードは極めて重要です。プロジェクトチームを結成し短期間で事前調査、実地調査、分析、レポーティングのプロセスについてスピード感をもってご支援することをお約束いたします。

③労務DDに加え人事DDもご提供可能

定性的な性格の項目についての調査が中心となる人事DDに加えて、定量的な性格の項目についての労務DDもご提供可能です。労務DDと人事DDを合わせて行うことにより自社あるいは対象会社の人事労務項目ついて多面的に検討を行うことが可能です。労務DDについては「労務デューデリジェンス(DD)」のサービスページにてご紹介しております。

④人事コンサルティングサービスとの連携によるワンストップサービスも可能

M&A等のシチューエーションにおいて人事デューデリジェンスをご依頼いただくクライアントは、その調査で把握された問題点の改善等に対して強い関心をお持ちです。そのようなクライアントに対して買収後のPMIと相まって人事労務DXコンサルティング、就業規則・規程作成支援、人事制度設計構築支援、人材採用・教育支援等のサービスをご提案させていただき、課題解決をご支援させて頂いております。

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人事デューデリジェンス(人事DD)の料金体系

人事デューデリジェンス(人事DD)の料金体系については想定業務範囲に基づく想定工数から算出した定額方式又はタイムチャージ方式にてお見積をさせていただいております。ご相談事項によっては、定額方式でのご支援が難しい場合もございますが、RSM汐留パートナーズはクライアントのご予算内で費用対効果抜群のサービスをご提供させていただくことをミッションとしています。まずはお気軽に当社コンサルタントまでご相談ください。