労務監査・ショートレビュー | RSM汐留パートナーズ
労務監査・ショートレビュー
労務監査やショートレビューと呼ばれるサービスは、クライアントの人事労務全般に関して、定性的な側面、定量的な側面、あるいはその両方にフォーカスして行う企業の健康診断のようなものです。IPO(株式公開)を目指すプロセスにおいてはショートレビューとして労務周りの課題把握を網羅的に実施します。なお、M&A(企業合併・買収)の局面におけるデューデリジェンスについては、「労務デューデリジェンス(DD)」のサービスページにてより詳細に解説をしておりますので合わせてご覧ください。
労務監査業務
近年労務分野に関する法改正はめまぐるしく行われており、多くの企業がその対応に追われておりますが、漏れなく対応していくことは非常に難しい状況にあります。一方で、生産労働人口が減少し続ける我が国において人的経営資源管理は非常に重要なテーマとなっております。RSM汐留パートナーズでは、企業の労務管理状況の実態が労働関係諸法令に合致しているかどうかについて調査を行うことで、企業に潜む労務リスクについて事前に把握し対応策を講じるための労務監査サービスを提供しております。
ショートレビュー業務
IPO(株式公開)を目指している会社がIPOを延期あるいは断念してしまう要因の1つに未払残業代、ハラスメント、管理監督者や裁量労働制に関する人事制度の妥当性等の労務関連の問題があげられます。IPO準備の過程で労務周りの課題把握を網羅的に実施することで、早い段階でIPOの障害となる労務リスクについて網羅的に把握すべくショートレビューをご活用いただいております。
IPO(株式上場)とショートレビュー
株式上場における人事労務の基本的視点
1. 組織的かつ戦略的な人事政策
株式上場においては、企業が持続可能な成長を遂げるために、組織的かつ戦略的な経営アプローチを採用していることが重要です。特に人事労務の分野では、企業が組織としての効率的な運営ができるかどうかについては重要な項目となります。具体的には、従業員のための就業、賃金、評価の各制度が適切に構築され、明確なルールとして文書化(規程化)されているかどうか、さらには採用方針や教育研修制度の整備状況が詳細に審査されます。
2. 人事異動及び人員計画の状況
従業員の異動状況、具体的には採用、従業員の退職の状況及び退職理由などに加えて、管理職の退職状況及びその背景についても詳細な審査が行われます。退職者数が多い企業は、安定した経営を行う上で問題があるとみなされることが多く、特に組織の運営に重要な役割を担う管理職の退職が多い場合には、組織全体に不安定な要素が存在していると判断されることがあります。組織的な経営において不可欠な管理職がしっかりと定着し、効果的なマネジメントを行える状態であるかが、重要なチェックポイントです。
3. 労務コンプライアンス
株式公開企業として求められるコンプライアンスの徹底は、特に労務面での遵守が強く重視されています。近年、人事労務関連の問題が顕在化する事案が多く見られることから、株式上場の審査過程でも労務コンプライアンスの遵守が特に重視されています。人事労務分野におけるコンプライアンス遵守の基準は厳しさを増しており、特に労働時間の適切な管理体制を確立することは、未払い残業代の発生防止や長時間労働の解消という観点からも非常に重要です。
労務コンプライアンスの視点
1. 利益計画への影響
未払い残業代などの労務問題は、株式上場の際に大きな障害になり得るため、これらが適切に管理されているかは極めて重要です。適正な労務管理体制は、上場に際しての投資家の信頼を得るために不可欠な要素であり、株式上場のための利益計画にも直接影響を及ぼします。
2. 業務管理体制
株式上場に際しては、組織の業務管理体制が徹底されている必要があります。コンプライアンスに関する不備は大いに問題視されるため、株式上場に向けた業務管理体制の整備は、上場企業としての事業継続性を保証する上で不可欠です。
3. 労務リスクに対する適切な対応
多額のキャッシュアウトにつながる訴訟、風評被害、行政処分等は、株式上場において重要な「労務リスク」と見なされます。これらのリスクに対して適切に対応することは、株式上場において非常に重要です。
4. コンプライアンス対応
労務コンプライアンスに限らず、コンプライアンス全般に関する体制構築は、株式上場を目指す企業にとっては必須事項です。広義のコンプライアンス管理体制を推進し、「ビジネスと人権」を含む多様な領域におけるコンプライアンス対応が求められています。
株式上場の想定スケジュールにおける状況
直前々期(準備期間) N – 2以前
監査応答が可能となる人材確保など会社規模等に応じた必要な管理体制を構築します。労務コンプライアンス体制構築期間、未払残業代の精算を完了させる期間、賃金制度・評価制度など構築の準備期間のスタートです。
202X年00月期 直前々期 N – 2
上場会社と同様な管理体制の整備、運用の段階に入ります。労務コンプライアンス体制構築期間、未払残業代の精算を完了させる期間、賃金制度・評価制度など構築の準備期間については概ねこの期までとなります。
202Y年00月期 直前期 N – 1
上場会社と同様の管理体制を期首から運用します。整備した労務コンプライアンス体制による運用が開始します。また、賃金制度・評価制度など構築の適正な運用期間でもあります。
202Z年00月期 申請期 N
上場会社として運用を継続し、株主などの付託に応えることになります。引き続き、整備した労務コンプライアンス体制による運用、賃金制度・評価制度など構築の適正な運用を行っていきます。
労務監査・ショートレビューの調査項目例
労務監査・ショートレビューにおきましては、一例として以下のような項目について調査を行い、レポートにまとめご報告させていただきます。IPO関連での調査か、あるいは外国人雇用をしており在留資格(ビザ)関連の項目の調査が必要か等の状況により深度や範囲が異なりますがオーダーメイドでの対応が可能です。
1. 人事労務制度の整備及び運用状況
(1)賃金制度
(2)賞与制度
(3)退職金制度
(4)人事考課制度
(5)育児・介護休業制度
(6)定年後の再雇用制度
(7)変形労働時間制・フレックス制
(8)労働時間管理
2. 就業規則の整備及び運用状況
(1)絶対的記載事項と相対的記載事項
(2)付属規程との整合性・網羅性
(3)労働基準監督署への届出
(4)管理監督者の実態
(5)各種協定の締結・届出
(6)育児・介護休業
(7)定年後の再雇用
3. 法定帳簿類の整備及び運用状況
(1)労働条件通知書・雇用契約書
(2)賃金台帳
(3)出勤簿・タイムカード
(4)有給休暇管理簿
4. 労働安全衛生法関連
(1)安全管理者・衛生管理者
(2)産業医
(3)健康診断
5. 労災保険・雇用保険関連
6. 健康保険・厚生年金関連
IPO準備会社における労務の重要性はますます高まっております。そして、社会保険労務士によるショートレビュー(短期調査)の必要性についてもIPO関係者の間でも認識されるようになっています。「IPO準備会社におけるショートレビューと労務の論点」という記事にて詳しく解説しています。
今後の流れ
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労務監査・ショートレビューの料金体系
労務監査・ショートレビューの料金体系については想定業務範囲に基づく想定工数から算出した定額方式又はタイムチャージ方式にてお見積をさせていただいております。ご相談事項によっては、定額方式でのご支援が難しい場合もございますが、RSM汐留パートナーズはクライアントのご予算内で費用対効果抜群のサービスをご提供させていただくことをミッションとしています。まずはお気軽に当社コンサルタントまでご相談ください。