シンガポール進出の形態 | RSM汐留パートナーズ

シンガポール進出の形態

進出形態

シンガポールに進出することを考えた場合、どのような進出形態を選択するかを検討することになります。現在、シンガポールで事業進出する形態として大きく5つの方法が考えられます。

1.現地法人

シンガポールの会社法(The Company Act)の規定により設立された会社をいいます。現地法人は親会社から法的に独立した存在になります。現地法人が進出形態の中では一般的な方法です。

2.支店

シンガポールへの進出形態は、法人設立が一般的ですが、建設会社や金融機関、商社などで日本の親会社を主体とした方が有利と判断される業種・企業の場合には支店設置の形態を選択することもあります。
支店には代理人が必要です。代理人は支店に関するあらゆる事項に責任を有し、外国企業の代理として送達される書類を受領する権限を有します。代理人は支店に課せられる罰則に対する責任を個人的に負うことになります。

3.駐在員事務所

駐在員事務所が実施できる業務内容は販売促進活動と連絡業務に限定されています。マーケティングや広告、市場調査などの本社のために行う販売促進活動や情報収集、市場調査などの連絡業務は行えますが、契約交渉、受注、請求、支払金の徴収などは認められていません。支店や現地法人の設立の事前準備としての進出形態として使われることがあります。

4.パートナーシップ

2名以上20名以下の個人または法人により所有・登録された法人格を持たない事業体をいいます。パートナーシップの運営は事業登録法(Business Registration Act)により規制されています。

5.個人事業

1名の個人または法人により所有・登録された法人格を持たない事業体のことをいいます。個人事業体の登録を行えるのは、シンガポール国籍を持つ個人、または永住権保持者、エントレパスを保有する外国人、シンガポールで登記された法人に限ります。

個人事業やパートナージップの形態は、外国人のシンガポール進出形態としては、就労ビザの取得が難しく一般的ではありません。
したがって、一般的にシンガポールへの進出形態は、シンガポール現地法人又は、支店の形態が多くとられています。

メリット・デメリット

一般的な進出形態である現地法人(株式会社)と支店についてのメリット・デメリットを紹介します。

1.現地法人

⇒メリット
シンガポールの居住者として、シンガポールと他国の税法が適用されます。
現地法人は親法人から法的に独立しているため、名称も親会社と関連性をもたせる必要はありません。

⇒デメリット
親会社からの送金は、資本金もしくは借入金として扱われ自由に行うことができません。
事業の終了の際には、解散手続きが必要となり、そこに時間とコストを要します。

2.支店

⇒メリット
事業の終了の際は、登記の抹消を行えばよく、解散手続きは必要ありません。
本社からの送金や、本社への送金は、同一会社の資金の移動とみなされ、自由に行うことができます。

⇒デメリット
本社決算書の英訳を毎年、定款の英訳を変更の都度、その他登記事項に変更がある場合には随時会社登記所に提出しなければならないなど、維持管理に手間がかかります。
シンガポールの低い税率およびその他税務面のメリットを利用することが出来ません。

項目現地法人支店
営業活動可能可能
設立・登記シンガポール会社法に準拠した定款を作成して登記する必要があります本店と同一の会社名を登記する必要があります。
本社の設立証明書、定款、取締役を登記する必要あります
業種の制限大半の業種は現地法人として営業可能です。大半の業種は支店として営業可能です。ただし、一部の業種では支店での営業が出来ないケースがあります。
責任者・取締役が会社の経営責任を負います。・代理人が支店の経営の責任を負います。
居住者の必要性取締役のうち最低1名は設立時点でシンガポール居住者である必要があります。代理人(ローカル エージェント)2名は両名ともシンガポール居住者である必要があります。
監査一定の場合、会社の決算書、連結決算書は、シンガポール公認会計士の監査を受ける必要があります。一定の場合、支店の決算書はシンガポール公認会計士の監査を受ける必要があります。
決算自由に決算期を決めることができます。本社と別の法人格のため、独自に決算処理を行います。本社の一部のため、本支店会計のため本社との連携作業が必要です。
本店所在地での
法人税
(日本法人の場合)
なし
タックス・ヘイブン対策税制の規定
本店所得に合算して申告

参考:シンガポールの法人税率

2008賦課年度及び2009賦課年度の法人税率は居住法人・非居住法人ともに18%です。2010賦課年度より、法人税率は居住法人・非居住法人ともに17%に引き下げられました。
2008賦課年度に部分税額免除制度が導入され、通常の法人課税所得のうち最初のS$10,000の75%および次のS$290,000の50%が免税となります。2005賦課年度に税額免除(新スタートアップ会社)制度が導入され、新たに設立された法人で適格とされるものについては、設立から3年間、通常の課税所得のうち最初のS$100,000の100%および次のS$200,000の50%が免税となります。2010賦課年度からは、新会社に適用される免税措置に有限責任保証会社(company limited by guarantee)も含まれることとなりました。

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