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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2023年1月号

2023年1月10日

税制改正大綱・給与のデジタル払い・外国人留学生の新卒採用

新年、あけましておめでとうございます。旧年中の格別のお引き立てに心よりお礼申し上げると共に、本年も一層のご厚情を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

さて、今年最初のニュースレターでは、税務より「税制改正大綱」、労務より「給与のデジタル払い」、行政書士法人より「外国人留学生の新卒採用」について取り上げます。税制改正大綱に含まれるインボイス制度に関する見直しは多くの企業に関係する論点ですし、給与のデジタル払いの解禁についても社会のデジタル化が進む中での新たな制度として注目されています。いずれも新たな制度故に様々な論点があり、特にインボイスについては年始からの課題として対応しているという企業も多いのではないかと思います。外国人留学生の新卒採用についても、管理の難しい外国人留学生のスケジュールについても確認しています。

是非本年の方針を確認しながら、各種論点をご確認ください。

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はじめに

2022年12月16日、2023年度税制改正大綱が公表されました。今回から2回に渡り、その中で注目度が高い論点を取り上げます。今回は法人に関わる注目論点を見ていきます。

【消費税】インボイス制度に関わる見直し

① インボイス発行事業者となる免税事業者の納税額軽減

免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を、売上に係る消費税額の2割に軽減する措置が、2023年10月1日から2026年9月30日の3年間講ぜられます。

② 中小事業者の少額取引に係る事務負担軽減

基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者は、2023年10月1日から2029年9月30日までの課税仕入れで税込価額が1万円未満の取引について、インボイスの保存を不要とし、一定の事項が記載された帳簿のみの保存による仕入税額控除が認められます。

③ インボイス発行事業者の登録申請手続の見直し

2023年10月1日からインボイス発行事業者の登録を受けるにあたって、2023年4月以降に登録申請書を提出する場合であっても、申請書に3月末までの申請が「困難な事情」を記載することが不要となりました。また申請書提出日から15日を経過する日以降の日を登録希望日として記載することで、当該登録希望日に登録を受けた者と看做されます。

【法人税】オープンイノベーション促進税制・DX投資促進税制の見直し

① オープンイノベーション促進税制

新規発行株式のみならず、発行法人以外の者からの購入により取得した特別新事業開拓事業者の株式も、その取得により議決権割合が過半数を有することとなるものについては、対象に追加され、5年以内に一定の要件を満たす場合には、特別勘定の取崩し不要となる仕組みへと見直されます。

② DX投資促進税制

令和3年度税制改正にて創設されたDX投資促進税制において、主務大臣の確認要件が見直され、適用期限も2年間延長されます。

【国際課税】グローバル・ミニマム課税導入

グローバル企業の法人税負担の最低税率を15%とする制度が2024年度から導入されます。直前4対象会計年度のうち、総収入金額が、7.5億ユーロ(1,000億円超)以上の年度が2年度以上あるグローバル企業に属する内国法人が対象となり、進出国の法人税の実効税率が15%を下回る場合に、差額分が親会社がある本国での税額に追加されます。

おわりに

法人に関わる税制改正論点としては、その他にも、研究開発税制の見直し、スピンオフ税制の拡充、株式交付制度に係る特例の見直し、暗号資産の評価方法等の見直し、電子帳簿等保存制度の見直し等、多岐に渡ります。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。

 

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2023年4月、給与のデジタル払いが解禁されます

給与のデジタル払いとは、スマートフォンの決済アプリや電子マネーなどを通じて給与を支払うことをいいます。

近年、キャッシュレス決済が普及しています。経済産業省の調査によれば、2021年度のキャッシュレス決済比率は32.5%となりました。今後もキャッシュレス決済は増加していくと思われます。そのような中で、2023年4月から給与のデジタル払いが解禁されることとなりました。今回は、デジタル払いの導入方法、基本的なルール、メリット・デメリットについてお伝えします。

給与のデジタル払いの導入方法

デジタル払いを導入するためには、次の事項について記載した労使協定を締結する必要があります。

  • デジタル払いの対象となる労働者の範囲
  • 取扱指定資金移動業者の範囲※

※厚生労働大臣が指定した資金移動業者の中から選択できます。2023年4月から順次指定が行われていく予定です。

労使協定を締結した上で、実際にデジタル払いをする対象者労働者からは同意書を提出してもらう必要があります。同意書には次の事項を記載します。

  • デジタル払いを希望する賃金の範囲及び金額
  • 労働者が指定する指定資金移動業者名、資金移動サービスの名称、指定資金移動業者口座の口座番号(アカウントID)及び名義人、その他口座特定に必要な情報
  • 開始希望時機
  • 代替口座※として指定する金融機関店舗名、預貯金の種類及び口座番号

※指定資金移動業者口座の受入上限額(100万円)を超えたときに超過額を受け取る場合や、資金移動業者の破綻時に保証機関から弁済を受ける場合などに利用が想定されます。

また、同意書については厚生労働省から参考様式が公開されています。下記URLをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001017091.pdf

基本的なルール

デジタル払いの基本的なルールを列挙します。

  • デジタル払いへの対応は義務ではなく、必ずしも導入する必要はありません。
  • デジタル払いを導入する場合、労使協定が必要です。
  • デジタル払いは労働者が希望しない場合は実施できず、同意書が必要です。
  • 利用できる資金移動業者は、厚生労働省が指定した業者に限ります。
  • 現金化できないポイントや仮想通貨での支払いは認められません。

給与のデジタル払いのメリット

デジタル払いは、銀行口座振込に比べて振込手数料が安くなるというメリットもあります。手数料が減ることで、例えば日雇労働者に対して、1日分の給与を即座に入金するといったことも実施しやすくなるでしょう。外国人労働者にとっては、海外の家族に送金しやすくなるというメリットもあります。

銀行口座開設が難しい労働者に対する給与支払いに活用できるとも言われていますが、前述のように代替口座を用意することが前提となっており、銀行口座を持たずにデジタル払いを利用することは、現時点では想定されていないようです。

給与のデジタル払いのデメリット

給与振込の作業負担の増加がデメリットになります。デジタル払いの対象者に対しては、銀行振込とは別に作業をしなければならないからです。

資金移動業者のツールや給与計算システムも順次対応していって、ある程度は効率的に運用できるようになるとは思いますが、解禁後からしばらくの時間を要するかもしれません。

おわりに

2023年4月に解禁されるといっても、資金移動業者の審査・指定などに時間がかかるようで、デジタル払いを導入できるようになるのはもう少し先になるでしょう。

現時点では分からないことが多く、コストを見積もることも難しい状況です。各資金移動業者のツールや給与計算システムが給与のデジタル払いに対応してから、具体的な検討ができるようになるかと思います。

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はじめに

外国人留学生の新卒採用についての申請は概ね12月から申請を受け付けております。人事としては4月1日雇用開始に向けてのタイムスケジュールに苦労している方も多いと思います。そこで今回は外国人新卒採用者の入管申請手続きのスケジュールや注意点についてご説明させていただきます。

申請の時期/管轄

申請の時期は管轄の出入国在留管理局で異なりますが、概ね12月中に申請を行うことが可能です。海外の大学を卒業していない方は「卒業証明書」の代わりに「卒業見込証明書」を提出することとなります。申請の管轄は申請人の住居地を管轄する地方出入国在留管理局とされておりますが、申請人の実際の勤務地を管轄とする地方出入国在留管理局でも受け付けてもらえる可能性もありますので、最寄りの地方出入国在留管理局へお問合せ下さい。またオンライン申請を利用すれば管轄の出入国在留管理局に赴く手間も時間も削減することが可能です。オンライン申請の利用 には登録が必要になりますので、予め準備を進めておくことをお勧めいたします。

外国人留学生のスケジュール管理

審査が終了しただけでは受入機関で就労を開始できず、新しい在留カードを受領した時点から就労開始可能です。外国人留学生が新しい在留カードを受領するには卒業証明書の原本提示などが求められます。そのため、外国人留学生のスケジュール管理も大切です。なぜなら2月~3月にかけて本国に帰省をする外国人留学生が多く、なかには就労開始日の前日である3月31日に入国予定の方もおります。当日に卒業証明書の原本を受け取り出入国在留管理局で新しい在留カードを受領するのは困難ですので、外国人留学生のスケジュールを管理し、余裕をもって対応することをお勧めいたします。

また、行政書士等取次権限がある者に申請を依頼したとしても、申請時には外国人留学生が日本に在留していることが必要です。帰省のために出国して海外から在留カードなどを送ってくることがないように申請時にも注意が必要です。

注意点

繰り返しになりますが就労の在留資格は卒業証明書の原本等を提示することにより取得することができます。そのため、無事に卒業することが大前提です。

また、大学での履修科目と受入機関での業務内容との関連性や在学中に週28時間以上のアルバイトをしていなかったかなど、事前にチェックすることは数多くあります。せっかく採用したのにこれらのチェックを怠り、申請中に問題が露見して申請を取り下げざるを得なかったという受入機関も中にはありました。

おわりに

外国人新卒者を数十名採用する受入機関もあり、里帰りのための出入国の管理も含めてプロジェクト管理は難しいものです。もし、これらの点でお困りのことがあれば、弊社のバイリンガルスタッフが直接採用者とやり取りをしてスケジュールやプロジェクト全体を含めて管理いたしますので、お問合せ下さい。