不法就労者と知らずに雇用をした場合の雇用者側に課される罰則とは
2023年5月2日
当ページでは、不法就労者と知らずに雇用をした場合に雇用者側にも罰則が科されてしまうのかという点ついて事例を挙げてご紹介致します。
不法就労者とは?
日本で滞在している外国籍の方はその者が行う活動に応じて適法に在留資格が与えられ、在留資格で定められた活動内容・活動範囲で日本に滞在することが認められています。不法就労とは、日本で就労可能な在留資格をもっていない外国籍の方が日本で働くことをいいます。不法就労である外国籍の方が就労活動を行うことを不法就労活動といい、その者を不法就労者といいます。不法就労者による不法就労活動は退去強制事由に該当し、当該不法就労者は一定期間日本に再入国できなくなります。
不法就労者を雇用してしまった場合(不法就労助長罪)の罰則
不法就労者を雇用して働かせた場合、雇用者は不法就労助長罪に問われます。入管法(第73条の2)には、不法就労助長罪として以下の通り定義づけされています。不法就労者自身にも罰則が科されますが、善意の(うっかりしていた)場合を含め、その者を雇用している雇用者側にもペナルティーが科される仕組みです。
入管法(第73条の2)
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
- 二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
- 三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせん した者
また、不法就労助長罪の具体的な主な例としては、以下のパターンがあります。
- 1 不法滞在者・被退去強制者を就労させた場合
- 2 就労が認められていない在留資格の者を働かせた場合
- 3 在留資格で許可された範囲を超えて働かせた場合
1は、密入国者や在留期限切れなど、本来日本に滞在することが認められていない者を働かせた場合であり、2は、「短期滞在」「留学」「家族滞在」など本来就労をすることが認められていない在留資格者(ただし、「資格外活動許可」を得て定められた範囲で就労している者をのぞく)を働かせた場合です。3は、例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格保有者が、製造業の工場で単純労働を行う場合などです。なお、単純労働とは、一般的には、専門的な知識や技能を必要とせず比較的短期間の訓練で行うことが可能な労働をいいます。
雇用した外国人が不法就労者だと知らなかったら
雇用した外国籍の者が不法就労者であるということを認識していなくとも、状況から見て可能性があると十分に判断されれば、雇用者にも過失があるとされ、罰則は免れませんので、注意が必要です。ただし、雇用者に過失がない場合(精巧に偽造された在留カードを当該外国籍の者が意図的に雇用者に提示し、明らかに雇用者が騙されていた、または気が付くような要素が無いと判断された場合など)には、雇用者の責任問題は問われないとされています。