ホーム/コラム/人事・労務/年末調整について:平成30年分からの変更事項についても紹介
シェア
関口 智史 Satoshi Sekiguchi

この記事の著者

関口 智史 Satoshi Sekiguchi

パートナー  / 社会保険労務士

年末調整について:平成30年分からの変更事項についても紹介

2018年11月23日

企業が年末に実施すべき業務の1つが年末調整です。本記事では、年末調整とはそもそも何かについて詳しく説明すると共に、平成30年の主な変更点について紹介します。

年末調整とは

年末調整とは、源泉徴収として毎月支払った税額と、実際に支払う必要がある税額を比較し、過不足額を徴収または還付し、清算する手続きです。もう少しわかりやすく説明します。

会社員であれば、毎月の給料から所得税が源泉徴収として差し引かれています。しかしながら、この源泉徴収額はあくまでも試算された額であって、個人が支払うべき税を確実に反映したものではありません。個人が支払うべき税とは、給与に控除額を加味した上で算出した額のことです。つまり、源泉徴収では控除が加味されていないため、実際の徴収額とは異なります。

そこで、1年間の給与総額が確定する年末に、源泉徴収した税額と実際に支払うべき額を比較し、必要に応じて追加支払いを行ったり、申請により還付を受けたりします。これが年末調整です。要件を満たす企業であれば、年末に必ず実施しなければならない業務のため、しっかりと理解した上で行いましょう。

年末調整の対象となる人とは?

年末調整の対象となるのは以下の条件を満たす人です。

  • 一年を通じて勤務している人
  • 年の途中まで就職し、年末まで勤務している人

一方で、年末調整の対象とはならないのは以下の条件を満たす人です。

  • 主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
  • 災害減免法の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予又は還付を受けた人
  • 非居住者
  • 日雇労働者

対象となる給与は?

その年の1月1日から12月31日までに支払うことが確定した給与が年末調整の対象となります。実際には支払われていなくても、給与が確定したものであればその年の年末調整の対象となります。

配偶者控除または配偶者特別控除

年末調整に適応できる主な控除の1つが「配偶者控除」です。納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に申請できます。一方で「配偶者特別控除」は、配偶者に38万円を超える所得があるが、設定された上限は超えない場合に申請できる控除です。詳しくは後述します。

年末調整に関する平成30年分の主な変更点

平成30年分の年末調整から様々な変更が加えられています。

控除申告書が2枚に

控除申請書類に変更がありました。平成29年分は控除申告書が1枚でしたが、平成30年分からは以下の2種類の申請書を提出する必要があります。

  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書

控除証明書の電子的交付が可能

平成30年分より、生命保険料控除および地震保険料控除に関する証明書が電子データで提出できるようになりました。

配偶者控除及び配偶者特別控除の適用範囲

平成30年分より、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用範囲が変更されました。

まず、合計所得金額が1,000万円を超える所得者は、配偶者控除および配偶者特別控除の適用を受けられなくなります。また、配偶者特別控除が適用できる配偶者の所得額が76万円未満から123万円以下に引き上げられました。これまで配偶者特別控除が受けられなかった人も申請できる可能性があるため、しっかりと確認するとよいでしょう。

おわりに

本記事では、年末調整について詳しく説明すると共に、平成30年分より変更された内容について紹介しました。今回の変更により、配偶者特別控除が申請できるようになった人も多くいると思いますので、早め早めの準備を心がけましょう。

お問い合わせ