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日本における外国人の飲食店開業に係る論点

日本における外国人の飲食店開業に係る論点

日本進出, 外国人雇用・イミグレーション
2026年4月22日

日本食への世界的な関心の高まりやインバウンド需要の回復を背景に、日本国内で飲食店を開業しようとする外国籍の方は増加傾向にあります。しかし、日本でのビジネス展開には、特有の法規制や商習慣が存在します。

本記事では、外国人が日本で飲食店を立ち上げる際に直面する主な論点について、実務的な観点から解説します。

外国人が日本で飲食店を経営する場合、まず検討すべきは適切な在留資格の取得です。一般的には「経営・管理」の在留資格が必要となります。

①事業を営むための事業所(本件では飲食店舗)が本邦に存在すること。事業開始前においては当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。

②資本金の額等が3,000万円以上であること

③1名以上の常勤職員(日本人や永住者など)を雇用すること

④申請者⼜は常勤職員のいずれかが相当程度の⽇本語能⼒を有すること

⑤申請者が、経営管理⼜は申請に係る事業の業務に必要な技術⼜は知識に係る分野に関する博⼠、修⼠若しくは専門職の学位を取得していること、⼜は、事業の経営⼜は管理について3年以上の職歴を有すること

⑥申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

事業計画書を通じて、収益が見込める安定した事業であることを証明する必要があります。さらに経営・管理に関する専門的な知識を有する者による評価を受けた事業計画書が必要です。

飲食店開業において、物件選びと賃貸借契約は最大の難所の一つと言われています。特に外国籍の方の場合、以下のような課題が生じることがあります。

日本の不動産取引では、賃貸保証会社の利用が一般的ですが、外国籍の方の場合、緊急連絡先として日本居住者を求められるケースが多く見られます。また、オーナー(家主)によっては、言語の壁や文化的な違いから契約に慎重になる傾向も否定できません。

居住用ではなく「事業用(店舗用)」としての契約が必要となります。また、飲食店の場合は「重飲食(煙や臭いが出る調理)」が可能かどうかの確認が不可欠です。

在留資格「経営・管理」の取得を目的とする場合、原則として法人名義での契約が望ましいとされていますが、会社設立前は個人名義で仮契約を行い、設立後に法人へ名義変更を行うといったスキームが一般的です。

店舗物件が確保できたら、管轄の保健所から「飲食店営業許可」を受ける必要があります。

保健所が定める施設基準(手洗い場の設置、二槽シンク、扉付きの食器棚など)を満たす必要があります。内装工事を始める前に、設計図面を保健所に持参し、事前相談を行うことが推奨されます。

各店舗に必ず1名は「食品衛生責任者」を置かなければなりません。調理師免許を持っていない場合でも、自治体が実施する講習会を受講することで資格取得が可能です。

日本での飲食店開業には、多額の初期費用がかかる傾向にあります。

物件取得費用

保証金(敷金)、礼金、仲介手数料などで賃料の6〜10ヶ月分程度が必要になることもあります。

内装・設備費用

厨房機器や家具、内外装工事費です。居抜き物件を活用することでコストを抑える手法も一般的です。

運転資金

開業後数ヶ月分の原材料費や人件費、広告宣伝費を確保しておく必要があります。

自己資金に加えて、日本政策金融公庫(JFC)による融資や、各自治体の創業支援融資制度が検討対象となります。ただし、融資の審査においても、在留資格の期限や日本での実績が厳しく評価される傾向があります。

現在の日本の飲食業界は、大きな変革期にあると考えられています。

観光庁のデータによれば、訪日外国人による消費額において「飲食費」は大きな割合を占めています。多言語対応やキャッシュレス決済、ヴィーガン・ハラール対応など、多様なニーズに応える店舗が注目されています。

深刻な人件費の高騰と労働力不足への対策として、モバイルオーダーシステムや配膳ロボットの導入といったデジタル・トランスフォーメーション(DX)が進んでいます。

原材料費や光熱費の上昇により、適切な価格転嫁と付加価値の提供が経営の安定に直結する状況にあります。

日本での飲食店開業は、法的な手続き、不動産慣習、資金繰り、そして業界トレンドの把握など、多角的な準備が求められます。特に外国籍の方にとっては、在留資格の維持と事業運営の両立が重要です。

各ステップにおいて、最新の法令やガイドラインを確認し、必要に応じて専門家の知見を参考にしながら計画を進めることが、成功につながると考えられます。

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