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森 祐子 Yuko Mori

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森 祐子 Yuko Mori

コンサルタント  / 申請取次行政書士

日本における国籍の概要と3種の取得方法~「出生」、「届出」及び「帰化」~

2023年8月3日

本日は、「国籍の定義及び国籍取得の三つの方法について」についてご紹介します。

国籍とは何か?

国家が成立するためには、国民と領域と政府(定義によっては、4つ目の要素として他国との外交力が加わることもあります)という要素が不可欠です。この「国民」について、どこの国の人なのかを明確にするため、個人と特定の国家を法的に結びつけられた特定の国家の構成員である資格を国籍といいます。(パスポートを所持している場合、Nationalityの欄がありますが、そこに記載されている国がその方の国籍を表しています)

国によってどの範囲の人をその国の国民として認めるかという考え方には違いがあります。国籍に関する具体的な考え方はその国の歴史や伝統、文化や政治・経済状況などによって異なっており、それぞれの国が自らの責任で国籍について決定することができるようになっています。

国籍という概念はどの国にもありますが、国そのものが、ある個人が他の国の国籍を有するかどうかまでを決めることはできません。そのため日本では国籍法によって、日本国籍の取得や喪失の原因について定めています。

国籍取得や喪失の手続きについて

日本国籍の取得・喪失の具体的な手続きや相談については、住所地を管轄する法務局や地方法務局や在外公館(日本大使館又は日本領事館)で行うことができます。

日本に住所がある人は住所地を管轄する法務局・地方法務局にて国籍の取得や離脱の手続きやそれらの相談が可能ですし、外国に住所がある人は在外公館(日本大使館又は日本領事館)で当該手続等ができます。

日本国籍を取得する方法について

日本国籍を取得する方法には、出生、届出、帰化の3つがあります。

(1)出生

出生については国籍法第2条に定められており、以下の三種類です。日本国籍を取得する方法としては最も一般的であるのが出生による取得です。

  • 出生の時に父または母が日本国民である時
  • 出生前に亡くなった父が死亡の時に日本国民であった時
  • 日本で生まれ父母が両方とも不明である又は無国籍の時

(2)届出

届出による国籍の取得は、一定の要件を満たす人が法務大臣に届け出て、日本国籍を取得する方法です。これには認知された子の国籍の取得や、国籍の留保(以下、詳細)をしなかった人が国籍を再取得する場合や、その他の場合の国籍の取得などがあります。

「国籍の留保」とは・・・外国で生まれた子で、出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した子は、一定の期間内に、日本国籍を留保(≒保持)する意思表示をしなければ、その出生の時にさかのぼって日本国籍を失うこととされています(国籍法第12条、戸籍法第104条)。子の日本国籍を失わせないためには、国籍の留保の届出をする必要があります。

(3)帰化

帰化については、国籍法第4条から第9条までの条文に定められています。帰化は、日本国籍の取得を望む外国人からの意思表示で、法務大臣の許可があった場合に日本の国籍が与えられる制度です。外国人の場合、日本に滞在する場合は何かしらの在留資格が必要となりますが、帰化後日本国籍を取得しますと、日本国民となりますので、在留資格を要せず日本に滞在することができます。

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