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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2022年11月号

2022年11月2日

外国法人への支払に係る税務論点・年末調整 令和4年度の改正点・緩和された新たな水際対策

日頃よりお世話になっております。RSM汐留パートナーズです。

今月のニュースレターでは、税務より「外国法人への支払に係る税務論点」、労務より「年末調整 令和4年度の改正点」、行政書士法人より「緩和された新たな水際対策」について取り上げます。

行政書士法人にて取り上げる水際対策については、個人の外国人観光客の受け入れを含む大きな制限緩和です。円安の影響もあって、既に外国人観光客の爆買いがニュースにも挙がっていますが、具体的にどのような緩和措置となっているかについてまとめております。

労務で取り上げる年末調整に係る改正点は全ての企業に関係する内容ですし、会計で取り上げる外国法人への支払に係る税務論点に関しても商取引のグローバル化に伴って関係する企業も多い内容かと思います。本年の年末調整にむけて、是非今月のニュースレターをご活用ください。

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はじめに

グローバル化の進展に伴う国際取引の増加 によって、外国法人(非居住者)への報酬、 配当、利子等の支払は、増加し続けています。 今回は外国法人(非居住者)に対する支払が 発生した場合の支払法人側の税務論点を見て いきたいと思います。

支払者の源泉徴収義務

外国法人(*1)や非居住者(*2)(以下、非居 住者等)に対しても、「国内源泉所得(*3)」 については、日本の所得税や法人税が課され ますが、この国内源泉所得の中でも特定のも のについては、支払者側に源泉徴収義務が課 されます。その場合、源泉所得税は、原則と して源泉徴収した日の属する月の翌月10日 までに納付する必要があります。

(*1)外国法人:国内に本店も主たる事務所も有しない法人
(*2)非居住者:国内に住所も1年以上の居所も有しない人
(*3)国内源泉所得:日本国内に、その発生源泉がある所得

源泉徴収の対象となる国内源泉所

上述通り、非居住者等に対して支払う国内 源泉所得の種類によっては、所得税(及び復 興特別所得税)の源泉徴収が必要となります が、当該国内源泉所得の種類のうち代表的な もの、及び源泉徴収税率は、以下の通りです。

源泉徴収の対象となる国内源泉所得【代表的なもの】源泉徴収税率
①土地、建物等の譲渡対価10.21%
②人的役務の提供事業の対価(以下参照)
・映画、演劇の俳優、音楽家、その他芸能人、職業運動家
・弁護士、公認会計士、建築士、その他の自由職業者
・科学技術、経営管理、その他の分野に関する専門的知識又は特別な技能を有する者
20.42%
③不動産の賃貸料等20.42%
④預貯金・公社債等の利子15.315%
⑤配当金
・私募公社債等運用投資信託等の収益の分配、上場株式の配当等
・非上場株式の配当等
15.315%
20.42%
⑥貸付金の利子20.42%
⑦工業所有権や著作権当の使用料又はその譲渡による対価、機械装置等の使用料20.42%

源泉徴収が免除(減免)される場合

非居住者等への支払いにあたって、源泉徴 収義務が課される国内源泉所得においても、 以下の2つの場合、源泉徴収が減免されます。

① 源泉免除証明書の提示による免除
源泉徴収の対象となる国内源泉所得が、非 居住者等の日本支店などの恒久的施設に対し て支払われる場合、支払いを受ける非居住者 等が、支払者に対して「源泉免除証明書」を 提示した場合、その証明書の有効期間内に支 払う特定の国内源泉所得については源泉徴収 が不要とされます。

② 租税条約届出書の提出による減免
非居住者等が、日本と租税条約を締結して いる国又は地域の居住者であり、その租税条 約で定められた限度税率が国内法の税率より も低い(又は免税)場合には、「租税条約に関 する届出書」を、その国内源泉所得の支払者 を経由して、所得を支払う日の前日までに所 轄の税務署に提出することで、源泉徴収税率 の減免を受けることができます。

おわりに

今回取り上げた外国法人(非居住者)への 国内源泉所得の支払に関する源泉徴収義務を 含め、国際取引に係る税務論点には、恒久的 施設の有無、租税条約の活用、消費税のリバ ースチャージ、商品輸入時の関税など、実務 上判断が難しいものや、手続きが煩雑ものが 多く存在します。ご不明点等ございましたら、 弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。

 

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年末調整 令和4年度の改正点

今年も年末調整の時期を迎えましした。昨年の令和3年分と比べて大きな変更点はありませんが、毎年税務署から送付されていた「年末調整のしかた」、「源泉徴収税額表」及び「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」について、今年からは改正事項や国税庁ホームページなどを案内したリーフレットに代わりましたのでご注意ください。

年末調整のしかた

年末調整についての詳細については、国税庁がパンフレット「令和4年分 年末調整のしかた」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2022/01.htm)を公開していますので、ご確認ください。

令和4年の改正点 社会保険料控除および小規模企業共済等掛金控除に係る「控除証明書」の電子データによる提供

給与等の支払を受ける者が、年末調整において「給与所得者の保険料控除申告書」に記載すべき事項を電子データで提供する場合には、社会保険料控除または小規模企業共済等掛金控除に係る「控除証明書」の書面による提出又は提示に代えて、この証明書の発行者から受領した一定の電子データによる提供をすることができることとされました。

次年度以降の改正

給与等の支払を受ける者が、年末調整において「給与所得者の保険料控除申告書」に記載すべき事項を電子データで提供する場合には、社会保険料控除または小規模企業共済等掛金控除に係る「控除証明書」の書面による提出又は提示に代えて、この証明書の発行者から受領した一定の電子データによる提供をすることができることとされました。

(1)非居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用についての要件変更
令和5年1月以降、30歳以上70歳未満の非居住者である非居住者である親族で、下記のいずれにも該当しない人は、扶養控除の対象となる扶養親族の範囲から除外されます。

・留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
・障害者
・扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者

(2)住宅借入金等特別控除についての適用期限の延長等
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、適用期限が令和7年12月31日まで延長されるとともに、次の措置が講じられました。この改正は、住宅の取得等をして令和4年1月1日以後に家屋を居住の用に供する場合について適用されます。

①住宅の取得等をして令和4年から令和7年までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)、控除率および控除期間は以下の通りとされました。

・認定住宅等の場合

居住年借入限度額控除率控除期間
認定住宅令和4年・5年5,000万円0.7%13年
令和6年・7年4,500万円
ZEH水準
省エネ住宅
令和4年・5年4,500万円
令和6年・7年3,500万円
省エネ基準
適合住宅
令和4年・5年4,000万円
令和6年・7年3,000万円

②上記イ以外の場合

居住年借入限度額控除率控除期間
令和4年・5年3,000万円0.7%13年
令和6年・7年2,000万円10年

・適用対象者の所得要件が2,000万円以下(改正前:3,000万円以下)に引き下げられました。

・個人が取得等をした床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の用に供する家屋で令和5年12月31日以前に建築確認を受けたものの新築又はその家屋で建築後使用されたことのないものの取得についても、この特別控除の適用ができることとされました。ただし、その者の控除期間のうち、その年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用されません。

(3)東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等特別控除の控除額に係る特例についての適用期限の延長等
東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例について、適用期限(改正前:令和3年12月31日)を令和7年12月31日まで4年延長するとともに、住宅の再取得等をして令和4年から令和7年までの間に居住の用に供した場合のその住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)、控除率及び控除期間を次のとおりとするなどの措置が講じられました。この改正は、住宅被災者が令和4年1月1日以後に家屋を居住の用に供する場合について適用されます。

居住年借入限度額控除率控除期間
令和4年・5年5,000万円0.9%13年
令和6年・7年4,000万円13年

(4)住宅借入金特別控除の適用に係る手続の改正
年末調整の際に、令和5年1月1日以後に居住の用に供する家屋に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受けようとする者は、住宅取得資金に係る借入金の残高証明書を「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」へ添付することが不要とされました。

この改正は、令和6年1月1日以後に提出する「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」について適用されます。

 

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はじめに

令和4年9月26日、水際対策強化に係る新たな措置(34)による、令和5年10月 11日以降の水際対策の見直しが発表されました。これまで段階的に緩和してきましたが、 今回の緩和は度合いが大きいものとなってお ります。新たな措置(34)がどのようなものなのかみていくことにしましょう。

ERFS申請の廃止

新型コロナウイルス感染症水際対策の大きな制度改革の1つとしてERFS申請が設けられました。厚生労働省が所管する入国者健康管理センターに対して受入企業等が受入責任者となり外国人、受入責任者ともに一定の事項を遵守することを誓約し、受付済証の発行をうけるというものです。外国人が入国するフローにこのERFS申請が加っておりま したが10月11日以降は廃止となりました。 水際対策に関しては新たな措置が次々に発せられ、都度、制度の理解と対応を求められて きました。このERFSの申請も制度開始当初は企業様からの問い合わせが多く、混乱する様がみてとれました。

査証免除措置の再開

本来、国と国を行き来するには対象国の政 府から発給される査証(VISA)が必要ですが、短期滞在に限り、これを免除とする協定等を現在68の国・地域について日本国政府は締結しております。そのため、査証免除国 とされるアメリカや韓国などの国の方はパスポートのみで日本へ観光へ来ることができるわけです。新型コロナウイルス感染症の影響により、査証免除措置は停止されておりました。そのため、査証免除措置対象国であるアメリカの方もビジネス目的の短期滞在が緩和され入国できるようになってから、査証(VISA)申請が必要でした。また査証(VISA)申請の予約自体も非常に込み合い、 実際に申請するまでに時間がかかったり、中 国でロックダウンがあった都市は人の移動が 制限されていたので管轄の在中国日本大使館/領事館へ行けなかったりと細かいところで 問題は山積みとなっておりました。この査証免除措置が10月11日から再開されております。

その他について

パッケージツアーに限定して外国人観光客の 受入れを解除しておりましたが、個人の観光 客も制限が解除されました。円安の影響もあり、10月11日以降は外国人観光客が日本の観光地に多く見られるようになっていると 思います。

外国人個人観光客の受入れ

原則として、入国時検査を実施せず、入国後の自宅又は宿泊施設での待機、待機期間中のフォローアップ、公共交通機関の不使用等を求めないこととなっております。また日本国 政府が認めるワクチンを3回接種している方 は出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書が不要になっております。

おわりに

水際対策強化に係る新たな措置(34)により、ほぼ、新型コロナウイルス感染症発生前 の体制を取り戻しつつありますが、国際間の人の流動化はこれからますます活発になるでしょう。何かお困りごとがあれば、いつでもお問合せ下さい。