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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2023年7月号

2023年7月3日

信託型ストック・オプションの概要・年金制度の概要・在留資格のオンライン手続き

日頃よりお世話になっております。RSM汐留パートナーズです。

今月のニュースレターでは、税務より「信託型ストック・オプションの概要」、労務より「年金制度の概要」、行政書士法人より「在留資格のオンライン手続き」について取り上げます。

税務にて確認する信託型ストック・オプションについては、5月30日に国税庁が公表し、注目を集めました。信託型ストック・オプションは、会社が発行したストック・オプションを、信託銀行等を経由して従業員や役員に交付するスキームです。メリットとして、交付時点で誰にどれだけ付与するかを決定しないで良いことや、会社への貢献度を考慮して付与者を決定することができることなどが挙げられます。一方で従業員への税負担の少ない税制適格とする要件が今回の公表で定説より厳しく定義され、信託型ストック・オプションから通常の税制適格ストック・オプションへの切り替えを検討する企業も増えると見込まれています。

注目の本論点について、是非詳細をご確認ください。

 

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はじめに

2023年5月30日、国税庁は「ストックオプションに対する課税(Q&A)」を公表し、ストックオプション(以下、SO)に関する税務上の一般的な取扱いについて、質疑応答形式にて示しました。その中で、信託型の税制非適格SOにおいて、権利行使時に生じた経済的利益は給与所得に該当するとの見解が示され、既に信託型SO導入済みの企業等を中心に波紋が広がっています。今回は信託型SOの概要、及び課税関係について従来の定説と国税庁の見解を比較しつつ、見ていきたいと思います。

信託型SOの概要

信託型SOとは、会社が発行したSOを、信託を経由して役員や従業員等に交付するスキームです。通常のSOでは、会社は役職員等に対して直接SOを発行し、SOを有する役職員等が権利行使し、株式を取得することになります。しかし、信託型SOでは、会社のオーナー等(委託者)が信託銀行等(受託者)に金銭を信託し、当該金銭により受託者が会社のSOを取得し、その後、会社貢献度等を考慮して指定された役職員等(受益者)に当該SOを交付することになります。SO発行時に誰にどれだけ交付するか決定する必要があり、その後の会社貢献度等をSOの交付に反映できない通常のSOの課題を解決すべく登場したのが信託型SOであり、スタートアップ企業を中心に導入企業が増加しました。

従来の定説と国税庁の見解

信託型SO(税制非適格)について従来の定説と今回の国税庁が示した見解について下表にて数値例も入れつつ、比較してみました。

発行会社の株価等
SOの購入時:200
SOの付与時:600
SOの行使時:800(権利行使額200)
株式譲渡時:1000

従来の定説国税庁の見解
SO発行者信託銀行発行法人(信託と発行会社を一体のものとして看做す)
有償SO or 無償SO信託銀行が有償でSOを取得したため、信託に対する有償SO実質的に役職員が会社から労務の対価としてSOを取得し、役職員に金銭の負担がないことから無償SO
SO行使時有償SOであり、SO行使時の課税なし無償SOであり、税制適格SOとして認められない限り、経済的利益(*1)は給与所得者として累進税率にて課税

(*1)経済的利益=行使時株価(800)-権利行使価額(200)-取得価額(50)=550

株式売却時株式譲渡益(*2)は、譲渡所得として税率20%にて課税

(*2)譲渡所得=株式譲渡時株価(1,000)-権利行使価額(200)-取得価額(50)=750

株式譲渡益(*3)は、譲渡所得として税率20%にて課税

(*3)譲渡所得=株式譲渡時株価(1,000)-行使時株価(800)=200

また国税庁の見解は、従来から変更されたものではないとされ、既に信託型SOの行使が行われ、給与所得としての源泉徴収税の納付がなされていない会社は、遡って源泉所得税を納付する必要があるとされています。但し、信託型SO導入後、未だSOの行使がなされていない場合には、一定の要件を満たすことで権利行使時に給与課税されない、いわゆる税制適格SOへの移行も可能といわれています(税制適格SOの主な要件について、ストックオプション税制(METI/経済産業省)参照)。

おわりに

国税庁は、今後税制適格SOの権利行使価額要件である付与契約時の時価の算定ルールを明確化することも公表しています。SO導入予定の企業や信託型SO導入後で税制適格SOへの移行を考慮している企業等にとっては、最新情報が気になるところです。SOの会計税務上の取扱い等、ご不明点がございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。

 
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年金制度の概要について

今回は年金制度について、公的年金である老齢年金制度の概要、在職中の老齢年金受給の在り方、公的年金以外の年金制度についてご説明いたします。

1.老齢年金制度の概要

老齢年金は、高齢者が生活を維持できるように支給されるものです。老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。老齢基礎年金は原則全員が受給するもので、老齢厚生年金は会社員などの厚生年金保険に加入にしていた方が受給できるものです。

(1)老齢年金の受給要件
老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した「受給資格期間」が10年以上ある場合に受給することができます。

老齢厚生年金は、老齢基礎年金を受給できる方で、さらに厚生年金の加入期間がある場合に受給することができます。

(2)受給開始年齢
基本的に65歳から受給権が発生しますが、60歳から75歳までの間で受給開始時期を調整することができます。繰り上げて受給する場合には、年金額×1か月あたり0.4%※が減額されます。繰り下げて受給する場合には、年金額×一か月あたり0.7%が増額されます。
※昭和37年4月1日以前生まれの方は0.5%

2.在職中の老齢年金

老齢厚生年金を受給されている方が厚生年金保険の被保険者であるとき、受給されている老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じて年金額の一部または全部が支給停止となる場合があります。

なお、平成19年4月以降に70歳に達した方が、70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務されている場合も、支給停止となる場合があります。

(1)支給停止となる条件
基本月額(加給年金額を除く老齢厚生年金の月額)と総報酬月額相当額の総額が48万円を超える場合、支給停止の対象となります。総報酬月額相当額の計算式は以下の通りです。

総報酬月額相当額=(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12か月)
※70歳以上の場合は、それぞれ「標準報酬月額に相当する額」、「標準賞与額に相当する額」となります。

(2)支給停止となった場合の年金支給額の計算
支給停止となった場合の年金支給月額の計算方法は次の通りです。計算結果がマイナスになる場合は、老齢厚生年金は全額支給停止となります。ただし、老齢厚生年金が支給停止になった場合でも、老齢基礎年金は全額支給されます。
調整後の年金支給額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額―48万円)÷2

3.公的年金以外の年金制度

老齢基礎年金・老齢厚生年金といった公的年金だけでは不安と感じる方や、さらに安定した老後生活を送りたいと考える方は、保険会社の個人年金保険に加入したり、確定拠出年金制度を利用したりする場合があります。

(1)個人年金保険
個人年金保険は、自己負担で積み立てを行い、将来一定の年金を受け取ることができる制度です。払込期間や年金受給開始年齢などは契約時に決定します。個人年金保険料は所得控除の対象となり、税制上の優遇があります。

(2)確定拠出年金
確定拠出年金制度は、個人型(iDeCo)と企業型が存在します。いずれも、自分で積立金額や投資先を選ぶことができ、運用成果によって将来受け取る年金額が決まります。個人型は自己負担で、企業型は事業主が積立てを行うか、または事業主と従業員が共同で積立てを行います。いずれのタイプも所得控除の対象となるため、税制上の優遇があります。

4.おわりに

年金制度は、高齢になり職場を退いた後でも安定した生活を維持し、安心して晩年を過ごすための重要な制度です。従業員が安心して働ける環境を目指すため、年金制度についての理解を深め、適切な情報提供や、制度設計の検討を行っていきましょう。

 

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はじめに

2023年3月から在留申請のオンライン手続きの運用が改正され、実際に管轄の出入国在留管理局で行う窓口申請とオンラインシステムを利用するオンライン申請を選択できることとなりました。多くのクライアントが一日でも早く在留資格の取得を希望される中、オンライン申請の活用や現在の審査期間の状況をからめてリードタイムの観点からお知らせできればと思います。

オンライン申請の利点

オンライン申請の利点は何といっても時間と工数の短縮にあるのではないでしょうか。「技術・人文知識・国際業務」の在留期間更新許可申請を例にあげてみると、行政書士が取次ぎするケースにおいて窓口申請を選択した場合、在留カードやパスポートなどの原本書類のお預かり、それに伴う預かり証の発行、申請書(申請人作成用)への署名(提出の際はその原本)が必要とされ、これらの準備には通常2日から5日程度かかることからクライアント側、行政書士側双方に工数とそれに伴う時間がかかります。これに対してオンライン申請は基本的に上記の手続きを省略できますので、申請時には2日から5日の日数の削減となり、クライアントへの負担も減ります。また、オンライン申請導入前までは申請管轄が遠方の場合、管轄の出入国在留管理局へ出張しておりましたが、オンライン申請を活用すれば出張もなくなり、今まで出張費を負担していたクライアントはコストを抑えられ、また行政書士は工数を削減でき、双方にとってメリットがあると考えられます。

現在の審査期間の状況

弊社が主に申請をしている東京出入国在留管理局は申請件数が群ぬいて多い局です。弊社の実績によるとひところはカテゴリー1、2の企業であれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書交付申請は3週間前後で完了していたところ、現在(2023年6月時点)はオンライン申請の場合8週間前後かかっているところです。そのため出入国在留管理局に結果が出ない審査の進捗をお伺いすることも多いのですが回答は「現在申請が非常に混みあっている」というものに徹しております。その中でも貴重な意見として「オンライン申請の方が窓口申請よりやや遅れがみられます」との回答もいただき、事実、窓口申請の方がやや審査期間は短いということも現在点では確認されております。しかしながら、オンライン申請は前述のように申請までのタイムを削減できるメリットもありますので、その辺を加味しながらどちらかを選択することとなります。また、在留資格認定証明書は電子化され、メールでの受領となりましたが、在留期間更新許可申請などは許可のメールを受領後、その原本を出入国在留管理局に送り郵送されてくるまでの時間もかかることに注意が必要です。

おわりに

入社のスケジュール管理は会社にとって非常に大きなものである一方、申請人である外国人にとっても審査がなかなかおりないことによる不安や内定の取消しにつながりかねません。この点、オンライン申請などのツールを選択でき、審査期間の現状を熟知してる行政書士に依頼することにより、入社のスケジュール調整や申請人に対する事前説明などの対策をすることが可能となり、「まだ審査がおりないのか」という焦りを削減するお手伝いをすることが可能です。