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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2024年9月号

2024年9月3日

国外事業者の納税義務厳格化・マイナ保険証・ホテル、旅館業における在留資格

日頃よりお世話になっております。RSM汐留パートナーズです。今月のニュースレターでは、税務より「国外事業者の納税義務厳格化」、労務より「マイナ保険証」、行政書士法人より「ホテル・旅館業における在留資格」について取り上げます。

行政書士法人では、ホテル・旅館業で働く外国人でも様々な在留資格が混在していることもあり、外国人を雇う企業からどの在留資格を取得すべきかといった悩みへの一助となる情報を取り上げます。

さらに労務にて取り上げるマイナ保険証について、令和6年12月2日より健康保険証の新規発行が終了し、健康保険証とマイナンバーカードが一体化されます。これにより私たちの生活がどのように変わっていくのか、そのメリットや、準備すべき手続きについて解説していきますので、今月のNewsLetterを是非お役立てください。

 

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はじめに

令和6年度の税制改正において、消費税に関する国外事業者(非居住者である事業者又は外国法人)の納税義務を厳格化するいくつかの改正が行われました。特に、国外事業者に係る免税事業者の判定が厳格化され、国内事業者との公平性を確保が図られることとなりました。当改正は、国内事業者の海外子会社が国内で事業を行う場合や、外国法人の日本子会社に大きな影響を与えるものと考えられます。適用時期は2024年10月1日以降に開始する事業年度となっていますので、このタイミングで概要を整理したいと思います。

「新設法人に適用される特例」の適用拡大

従前、基準期間のある外国法人が日本で事業を開始する場合、基準期間はあるものの、その期間に国内取引がないため、課税売上高はゼロとなり、原則として2年間は免税事業者になることができました。今回の改正により、基準期間のある外国法人にも、新設法人に適用される「免税事業者になれない特例」が適用されることになりました。

「免税事業者になれない特例」とは、「①資本金1,000万円以上、又は②課税売上高5億円超の者に支配されている法人は免税事業者になれない。」というものです。これにより、従前は有利だった基準期間のある外国法人も、新設法人と同じ基準で判定されることになります。更に、上記「免税事業者にならない特例」のうち、②の支配者要件に「総収入50億円超」が追加され、国外売上が大きい外国法人の日本子会社の免税事業者判定がより厳格化されます。

以上をまとめると、国外事業者が国内で事業を開始する際には、基準期間の有無に関係なく、以下の「免税事業者にならない特例」が適用されることとなります。

国内で事業を始めた国外事業者が免税事業者にならない特例

資本金1,000万円以上の法人
資本金1,000万円未満の法人で、発行済株式や出資の50%超を保有する支配者が存在し、支配者が基準期間に相当する期間において課税売上高が5億円超
総収入金額が50億円超

特定期間の判定における給与支払額の使用制限

国外事業者は、免税事業者の判定において、特定期間の課税売上高の計算に給与支払額を使用できなくなりました。特定期間の判定とは、基準期間で免税事業者となっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合に免税判定が取り消されるもので、従来は課税売上高の代わりに給与支払額で判定することが可能でした。国外事業者は日本国内で居住者に給与を支払うケースが少ないため、この方法を認めると免税事業者になりやすい抜け穴となっていました。よって、国外事業者に対して特例が適切に機能するよう、給与支払額による判定を認めないこととされました。

おわりに

消費税制度の根幹は、国内取引を行う全ての事業者に対して公平な納税義務を課すことにあります。一方で、免税事業者制度は小規模事業者の事務負担軽減を目的としています。今回の改正は、この制度の趣旨に沿って、国外事業者に対する免税事業者判定を厳格化したものといえます。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

 

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マイナ保険証

令和6年(2024年)12月2日より、健康保険証の新規発行が終了します。健康保険証とマイナンバーカードが一体化され、利用者に新たな形での医療アクセスが提供されることになります。この記事では、健康保険証が廃止されることで私たちの生活がどのように変わっていくのか、そのメリットや、準備すべき手続きについて解説していきます。

①マイナ保険証とは

健康保険証を利用登録したマイナンバーカードを「マイナ保険証」といいます。

②私たちが準備すること

マイナンバーカードと健康保険証の紐づけ

健康保険証の新規発行が終了することに伴い、マイナ保険証を利用した医療機関等の受診方法へ仕組みが移行します。そのためには、まずマイナンバーカードと健康保険証の紐づけが第一優先です。紐づけ方法は、以下の3パターンがあります。詳細は厚生労働省HPを参照ください(マイナンバーカードの健康保険証利用方法|厚生労働省 (mhlw.go.jp))。

  1. 顔認証付きカードリーダーからの申請
  2. マイナポータルからの申請
  3. セブン銀行ATMからの申請

③マイナ保険証が使えない場合の「資格確認書」

各保険者から順次発送される健康保険の「資格情報」のお知らせを切り取って保管をしておきましょう。事業主の皆さまは必ず従業員への配布をお願いします。

「資格確認書」には、被保険者情報、記号番号、生年月日、資格取得年月日や保険者名称などが記載されています。なお、健康保険証は令和7年12月1日まで使用することができますが、退職等で健康保険の資格を喪失した場合は、退職日の翌日以降は使用できませんのでご注意ください。

④マイナ保険証を使用するメリットその1

マイナ保険証で受診をすることで、初めての医療機関等でも特定健康診査や薬剤・診療情報が医師等と共有され、より適切な医療が受けられると言われています。これまでの自身の健康データに基づいた適切な診断を受けられたり、投薬の重複を避けられたり、旅先での医師等の情報連携に役立つなどと言われています。

⑤マイナ保険証を使用するメリットその2

これまでは「高額療養費制度」により「限度額適用認定証」の提示をすることで、医療機関等での窓口負担を一定額まで抑えることが可能となっていましたが、マイナ保険証で受診をすると、「限度額適用認定証」の提示が不要で、窓口負担を低減することができます。つまり手続きが大幅に簡略化され、高額療養費制度を受けられるようになります。これは大きなメリットでしょう。

いかがでしたでしょうか。2024年12月の健康保険証廃止まであと数ヶ月。今回の記事ではマイナ保険証への移行とそのメリット、準備すべき手続きについて解説しました。マイナ保険証は医療の質向上や手続きの簡略化に寄与し、より効率的な医療アクセスを実現します。早めの準備を進めていきましょう。

 

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はじめに

令和5年10月末時点の全外国人労働者に対する技術・人文知識・国際業務の割合は17.9%、特定技能は6.8%、技能実習は20.1%と、この3つの在留資格が実に全外国人労働者の44.8%を占めている。昨今、この3つの在留資格がリンクする職場が多く、外国人を雇う企業の方からどの在留資格を取得するべきかという悩みを多く聞くようになりました。今回はホテル・旅館業(宿泊分野)におけるそれぞれの業務を比較し理解を深めていければと思います。

技術・人文知識・国際業務

技術・人文知識・国際業務は専門的・技術的分野の業務を行う在留資格です。そのため、一定水準以上の業務を行うことが必要とされています。宿泊分野では外国人の宿泊が多いホテル・旅館にて外国語を用いたフロント業務、本国からの観光客が多く利用するホテル・旅館業にて集客拡大のための本国旅行会社との交渉に当たっての通訳・翻訳業務、従業員に対する語学の指導、宿泊客の多くを外国人が占めるホテルにおいてフロント業務や宿泊プランの企画立案業務、空港に隣接するホテル・旅館にて集客拡大のためのマーケティングリサーチ、外国人観光客向けの宣伝媒体(HP)作成などの広報業務などがあげられる。申請人である外国人には大学等での専攻や実務経験と日本で行う業務と関連性が求められます。

技能実習

技能実習は2024年6月14日の参議院議員本会議において育成就労制度に代わることが可決され、2027年までの導入が予定されております。目的が移転による国際協力の推進から特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することに改正されたことにより、特定技能1号の人材育成と人材確保のための制度と位置付けられました。

宿泊分野では以下の業務を行うこととされております。技術・人文知識・国際業務と違い単純労働に従事することができます。

  • 一定の宿泊施設における宿泊、飲食、会合等での施設の利用客に対する、到着時・出発時の送迎
  • チェックイン・チェックアウト作業
  • 滞在中の接客作業や料飲提供作業
  • 施設の準備・整備
  • 利用客の安全確保・衛生管理のための作業

関連業務:

  • ポーター等玄関周辺の接客作業
  • 客室への案内業務
  • 客室の清掃・整備作業

周辺作業:食器洗浄作業

特定技能

特定技能は深刻化している人手不足を解消するために創設された在留資格です。相当程度の知識又は経験を必要とする技能に従事する外国人向けの在留資格です。宿泊分野における業務は以下の通りです。

  • 宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供

関連業務:

  • 館内販売、館内備品の点検・交換等

おわりに

おなじ宿泊分野で働く外国人でも様々な在留資格が混在していることがわかりました。在留資格に関してお悩みがあれば是非一度弊社へご連絡いただければ幸いです。