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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2024年11月号

2024年11月5日

2024年年末調整の定額減税対応・賃金デジタル払いの導入・在留申請の進捗確認不可の影響

日頃よりお世話になっております。RSM汐留パートナーズです。

今月のニュースレターでは、税理士法人より「2024年 年末調整の定額減税対応」、社会保険労務士法人より「賃金デジタル払いの導入」、行政書士法人より「在留申請の進捗確認不可の影響」についてお届けします。

税理士法人では、所得税と住民税の定額減税に関する年末調整のポイント、社会保険労務士法人では、キャッシュレス決済の普及に伴う賃金デジタル払いの導入方法、行政書士法人では、出入国在留管理庁の新通知が新卒採用などに与える影響について解説しています。

今月のニュースレターも、是非お役立てください。

 

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はじめに

11月を迎え、今年も年末調整の季節が到来しました。2024年の年末調整において、特に注目されるのは「定額減税」への対応である「年調減税事務」です。年調減税事務は、年末調整時に定額減税額及び年間の所得税額を計算し、源泉徴収税額との差額を精算する手続きです。今回は、定額減税及び年調減税事務のポイントを見ていきたいと思います。

定額減税制度の概要

定額減税とは、2024年6月から1年間実施される、所得税3万円と個人住民税1万円の計4万円を一律に減税する税負担軽減措置です。対象者は、納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族(16歳未満も含む)であり、適用要件は居住者であること、令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下であることです。基本的には2024年6月以降に支払われる給与の源泉徴収税額から定額減税額が控除されることにより減税が行われますが(月次減税事務)、年末調整で年間の所得税額に対して定額減税の適用額を精算し、月次の源泉徴収で生じた税額の過不足を調整します(年調減税事務)。

年調減税事務の流れ

① 対象者の確認

年調減税額を控除する対象者は、原則として年末調整の対象となる人です。ただし、給与所得以外の合計所得金額が1,805万円を超える見込みがある場合は、年調減税額を控除せずに年末調整を行います。

② 年調減税額の計算

扶養控除等申告書や配偶者控除等申告書を基に、同一生計配偶者の有無や扶養親族の人数を確認します。該当人数に3万円を乗じた金額が年調減税額となります。

③ 年調減税額の控除

算出した年調減税額を年末調整で計算した所得税額(住宅借入金等特別控除後の所得税額)から控除し、102.1%を乗じて復興特別所得税を含めた年調年税額を計算します。そして、求めた年調年税額と源泉徴収税額を比較し、過不足額の精算を行います。

④ 源泉徴収票への記載

給与所得の源泉徴収票には、実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額〇〇円」として摘要欄に記載します。

年調減税事務における留意点

国税庁が作成している「令和6年分給与所得に対する源泉徴収簿」の「年末調整」欄は、年調減税額の控除等の計算に対応していないため、年調減税額を正確に控除するためには、国税庁ホームページに掲載されている「令和6年分年末調整計算表」又は「年末調整計算シート(Excel)」を利用するとよいでしょう。

おわりに

2024年の年末調整では、今回説明した定額減税への適切な対応が求められます。給与支払者と納税者双方が正確な申告書を作成提出することで、年末調整プロセスをスムーズに進めることが可能となります。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

 

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賃金のデジタル払い:現代ビジネスの新常識

デジタル時代の進化に伴い、企業の給与支払い方法も変革を遂げています。キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、2023年4月に労働基準法施行規則が改正され、モバイル決済アプリ、デジタルウォレットなど資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(賃金デジタル払い)が可能になりました。

労働基準法のもとでは、賃金は現金払いが原則ですが、労働者が同意すれば、金融機関の口座への振り込みが認められてきた経緯があります。キャッシュレス決済の利用が広まり、多様な送金方法の必要性が高まる中、労働者の同意を得た上で、指定の資金移動業者の口座を利用した賃金の支払いも可能になったのです。

賃金の支払い方法については、労働基準法第24条で定められており、「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」とされています(通貨払の原則)。賃金の「通貨払い」とは、「現金」で支払うことを指しますが、多くの人は、銀行や証券総合口座への振込により、賃金を受け取っています。振込により支払う方法は、通貨払い原則の例外であるといえます。

この例外の方法については、労働基準法施行規則第7条の2において、(1)本人指定の預貯金口座も振り込む方法と(2)証券総合口座へ払込む方法が定められています。労働者からの同意を得た場合にのみ、例外方法で支払うことが可能です。

2023年4月の労働基準法施行規則改正により、(1)(2)の方法に加えて(3)「※指定資金移動業者の口座」が追加されました。2024年8月にはPayPayが資金移動業者の口座への賃金支払いについて厚生労働大臣の初の指定を受けています。

※資金移動業者: 資金移動業者とは、銀行以外の業者で、送金や振込といった為替取引を行うことができる業者を指します。これらの業者は、資金決済に関する法律に基づいて登録され、電子マネーや送金サービスを提供することで、ユーザー間での資金移動を行います。銀行とは異なり、特定の条件の下で業務を行うことが可能です。

指定の資金移動業者の口座を利用して賃金を支払うには、以下の手順が必要です。

1. 労使協定の締結

企業は労働組合や労働者の過半数を代表する者と協議し、対象とする労働者、賃金の内容とその金額、開始時期について合意する労使協定を結ぶ必要があります。

2. 支払い口座の選択肢の提供

賃金のデジタル払いはあくまでも賃金の受取方法の選択肢のひとつであるため、資金移動業者の口座のみを案内するのは禁じられており、銀行口座や証券総合口座への支払等、デジタル払い以外の選択肢も提供しなければなりません。

3.労働者への説明と同意取得

企業は、資金移動業者のサービスが銀行とどのように異なるか、口座の上限や破綻時の保障、アカウントの有効期限などの詳細について労働者に説明する必要があります。この説明は、資金移動業者が行うことも可能です。労働者は賃金のデジタル払いの留意事項に関する説明を受け、理解をした上で使用者に同意書を提出することが求められています。デジタル払いを希望しない労働者に強制することはできません。

この手順を通じて、企業は労働者と合意の上で新たな賃金支払いの方法を導入できます。

決済サービスの多様化が進む中、賃金のデジタル払の給与に対するニーズは高まっていくものと考えられますが、賃金のデジタル払い導入には労使協定の締結など、法律や規制の理解が欠かせません。日本国内では労働基準法などに基づき、給与の支払い方法や労働者の同意が必要です。国際的にも、各国の法的枠組みに従う必要があります。企業はこれらを遵守し、各種手続きを適切に行うことが求められます。

また、デジタル支払いにおけるセキュリティとプライバシーの確保も重要な課題です。データ漏洩や不正アクセスのリスクを防ぐため、常に最新のセキュリティ技術を導入し、従業員と企業の双方にとって安全な環境を整えることが求められます。

今後、ブロックチェーン技術やAIの活用により、さらなる進化が期待されます。これら先進技術を用いることで、支払いプロセスの透明性や効率性が一段と高まり、企業の競争力強化につながるでしょう。

 

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はじめに

2024年10月16日、出入国在留管理庁から「在留諸申請を行っている皆様へのお知らせ」というタイトルで重要な案内が発せられました。内容はいくつかありますが、その中でも着目したいのは「個別の申請に関する審査の進み具合、審査終了時期や処分結果の見通しをお問合せいただいても、回答することはできません。(なお、オンライン申請の場合は、在留申請オンラインシステムにおいて、ご自身で審査の進み具合が確認できます。)」というものです。これがどの程度インパクトのあるものなのか、これから始まる4月入社の新卒採用の手続きと絡めてご紹介いたします。

審査の進み具合等が確認できない

今までは東京出入国在留管理局であればWカウンターにて直接審査の進捗を確認することができました。その際の職員の回答は「審査中」もしくは「審査が完了しました」の二通りが原則でした。それでも「同じ日に申請した別の案件も審査中ですか?」などと聞いて少しでも情報を得ることはできましたが、今後は審査の進捗が全くわかりません。出入国在留管理庁もホームページで四半期ごとの在留審査処理期間を公表してきましたが、これを受けて月1回の更新頻度になりました。ただ、出入国在留管理庁が発するものは全国の出入国在留管理局の平均であり、それぞれの管轄で審査期間は異なります。またカテゴリー別にはなっていないのでやはり精緻にそれぞれの状況に当てはめるのは難しいところです。

このため、今後は雇用開始日に至っても審査がおりず、この先の見通しも全く立たないという状況が予想されます。雇用サイドにとっては事業部との調整や申請人のケアなど、対応すべきことが多くなりそうです。また、これから新卒採用の申請時期が始まろうとしておりますが、昨年起こった問題について注意を払っていただければと思います。

昨年の4月採用申請時に起こった問題

4月の新卒採用の申請は東京出入国在留局であれば例年12月中には受付が開始されます。1月中に申請をすれば4月1日雇用開始には間に合うスケジュールです。ただ、昨年はオンライン申請を行い在留カードの郵送受領を選択した際に問題が生じました。オンライン申請をした際には許可後、在留カードを郵送で受領することができるのですが、申請件数が多く、在留カードの発行から郵送に3週間から1カ月ほどの期間を要しました。雇用開始日である4月1日には新しい在留カードを有していなければならないところ、これが叶わないという状況が生じました。また、採用遅れて申請も遅くなってしまった場合は、雇用開始日ギリギリになっても進捗確認ができませんので、新卒採用に関する申請にもインパクトがあります。

まとめ

進捗確認ができないことは非常に多様な問題が生じます。RSM汐留パートナーズ行政書士法人ではイミグレーション(入管)業務をメインに行っており、審査がスムーズに行われるよう書類の細部に気を配り、場合によっては理由書を提出して対応しております。何かお困りごとがあった際にはお気軽にお問合せ下さい。