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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2024年12月号

2024年12月2日

税制適格SO制度の拡充・マイナ保険証の運用開始・非公開会社の募集株式発行と委任

日頃よりお世話になっております。RSM汐留パートナーズです。

今月のニュースレターでは、税理士法人より「税制適格ストックオプション制度の拡充」、社会保険労務士法人より「マイナ保険証の運用開始」、司法書士法人より「非公開会社の募集株式発行と委任」についてお届けします。

税理士法人では、令和6年度税制改正で拡充された税制適格ストックオプション制度と2024年12月31日適用期限の経過措置について、社会保険労務士法人ではマイナ保険証の本格運用に向けた取得方法や移行スケジュールについて、司法書士法人では非公開会社の募集株式発行における委任方法について解説しています。

今月のニュースレターも、是非お役立てください。

 

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はじめに

令和6年度税制改正により、税制適格ストックオプション(以下、SO)制度の拡充がなされました。これに伴い、一定の要件に関しては改正前(2024年3月31日以前)に締結された税制適格SO契約でも改正内容に即した契約変更を行うことで、新しい税制が適用される経過措置が設けられています。今回は、当該経過措置の適用期限が2024年12月31日に迫る中、今一度、税制適格SOに関する令和6年度税制改正の概要及び経過措置の内容と留意点について見ていきたいと思います。

税制適格SOに係る令和6年度税制改正

令和6年度税制改正では、スタートアップ企業を中心に人材獲得力を高めるための柔軟な運用を可能とすべく、以下のような変更が行われました。

①年間権利行使限度額の引上げ設立5年未満の会社:1,200万円→2,400万円
設立後5年以上20年未満の非上場会社又は上場後5年未満の会社:1,200万円→3,600万円
②株式の保管・管理に関する要件の緩和譲渡制限付株式に関して、発行会社が株式管理契約を締結することで、証券会社等への保管委託が不要となり、発行会社自身での株式管理が可能になった。
③社外高度人材の付与要件の緩和社外高度人材に対する要件が緩和され、より幅広い人材にストックオプション(OS)を付与可能になった。

 

経過措置の内容

2024年3月31日以前に締結された税制適格SOの契約に対して、以下の内容の契約変更をすることにより、改正後の制度が適用されます。

  • 年間権利行使価額限度額を、1,200万円から最大3,600万円へ引き上げる契約変更
  • 証券会社等への株式保管委託を不要とする発行会社自身による株式管理スキームを導入する契約変更

但し、経過措置を適用するには、2024年12月31日までに契約変更を行う必要があり、この期限を過ぎると、改正後の有利な要件を既存契約に適用することはできなくなります。

契約変更の留意点

契約変更に際しては「税制適格要件とは関係のない契約事項の変更」又は「税制適格要件を満たす範囲内での変更」で、変更後の権利行使についても当初の契約に従って行われるものについては、税制適格性が維持されます。しかし、「税制適格要件を満たす範囲内での変更」だとしても、上述の経過措置に即した変更を除き、当初の契約の範囲を超える変更は、原則として税制適格性を失うことにな る点に留意が必要です。例えば、当初契約の行使期間を「3~8年」から「2~10年」に変更することは、当初契約の範囲を超えた変更として、税制適格SOとして取り扱うことができなくなります。

おわりに

令和6年度税制改正によるストックオプション制度の変更は、多くの企業、特にスタートアップ企業の成長を支援する重要な施策といえます。経過措置の適用期限が迫っているため、契約変更を検討している企業は迅速に対応する必要があります。この改正は、人材確保や企業価値向上を目指し、自社に最適なストックオプション制度を考える良い機会ともいえます。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

 

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健康保険証廃止・マイナ保険証制度改革最前線

2024年12月2日より健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証が本格的に運用開始となります。社員への周知や手続きに不安を感じている方も多いのではないでしょうか?本記事では、資格確認書の取得方法、マイナ保険証移行スケジュールと各種保険証の使用期限などを具体的に解説していきます。

1. 健康保険証新規発行対象の期限

健康保険証の発行対象は、2024年11月29日(金)処理完了分までとなっています。よって、仮に入社日が11月中旬であったとしても、処理の完了が11月29日を過ぎてしまった場合は、健康保険証は発行されません。保険証の発行基準は、入社日には影響を受けませんのでご注意ください。また、扶養家族の健康保険証や紛失時の再発行についても同様となります。

2.マイナ保険証の利用登録について

マイナ保険証を利用するためには、マイナンバーカードを健康保険証として登録する手続きが必要です(会社ではなく、本人が行います)。登録方法は以下の3つがあります。

  • 医療機関・薬局にある顔認証付きカードリーダーから申請する
  • マイナポータルから申請する
  • セブン銀行ATMから申請する

マイナ保険証の利用登録を行っていないと、マイナンバーカードを健康保険証として利用することはできませんので、まだ利用登録を行っていない人は早めの登録をお勧めします。

3.健康保険証と資格確認書の発行

3‐1 資格確認書の発行

「資格確認書」は、マイナンバーカードを持っていない、またはマイナ保険証の利用登録をしていない場合に、保険診療を受けるために必要な書類です。

資格確認書の発行は、以下のとおりです。

新規加入者:

2024年12月2日以降、資格取得届などによる申請に基づき、事業所を経由して発行されます。新規加入時に申請がなかった場合は、申請によらず発行されますが、発行まで1か月以上かかる場合があります。

既存加入者:

2025年12月2日以降、協会けんぽが必要と判断した場合(マイナ保険証の登録がされていない場合など)に発行されます。

資格確認書は、健康保険証と同様のプラスチック製のカード型で、有効期限は4~5年です。有効期限内に退職した場合は、会社へ返納する必要があります。

3‐2 資格確認書の発行手続き

資格確認書の発行については、以下の通りです。マイナ保険証の登録がされていない場合、職権で資格確認書が発行されますが、この手続きには約2か月ほどかかる見込みです。資格取得手続き時に「資格確認書を希望する」にチェックを入れた場合、数日で発行されます。

また、もしお急ぎの場合は、現行通り年金事務所等で発行される資格取得証明書を利用することもできます。

4.マイナンバーの提出について

資格取得手続時の影響

資格取得手続きの際にマイナンバーを提出していなくても、処理側が確認できる場合は影響はありません。ただし、過去に1度も提出していない場合は確認が取れない可能性があり、影響がないとは言い切れませんので、注意が必要です。

5.マイナ保険証移行スケジュールと保険証の種類・使用期限のまとめ

以下にマイナ保険証移行スケジュールと保険証の種類・使用期限をまとめましたので参考にしてみてください。

5‐1 制度移行スケジュール

  • 2024年12月2日: 健康保険証の新規発行終了
  • 2024年12月2日以降: マイナ保険証が正式に保険証として機能開始。マイナ保険証を所持している人は原則マイナ保険証のみで受診可能。
  • 2025年9月以降: マイナ保険証を未登録の人に対して、資格確認書が順次発行される予定。
  • 2025年12月1日:現行の健康保険証の有効期限

※退職等により健康保険資格を喪失した場合は、その時点までが有効期限となります。

5‐2 保険証の種類と使用可能期間

保険証の種類2024年12月1日以前2024年12月2日~2025年12月1日2025年12月2日以降備考
マイナ保険証発行不可使用可使用可カードリーダー故障時は「資格情報のお知らせ」が必要
資格情報のお知らせ発行不可使用可(マイナ保険証と併用)使用可(マイナ保険証と併用)マイナ保険証が利用できない場合の補助的な証明書
従来の健康保険証使用可使用可使用不可2025年12月1日まで有効
資格確認書発行不可発行可使用可マイナ保険証を持っていない人が医療機関を受診する際に使用する
限度額適用認定証使用可使用可使用可高額療養費制度を利用する際に必要
高齢受給者証使用可使用可使用可70歳以上の人が利用する制度に関連する書類

 

5‐3 マイナ保険証の有無による違い

マイナ保険証を所持している場合: 通常はマイナ保険証だけで受診できますが、カードリーダーが故障等の場合は、マイナ保険証と「資格情報のお知らせ」を併用します。

マイナ保険証を所持していない場合: 従来の健康保険証または資格確認書の提示で受診できます。限度額適用認定証や高齢受給者証も必要になる場合があります。

5‐4 資格情報のお知らせについて

「資格情報のお知らせ」は、マイナ保険証に記載されていない保険情報を記載したA4サイズの書類で、カードリーダー故障時などに、マイナ保険証と併用して保険資格を証明する補助的な書類です。マイナ保険証と併用して使用し、単独では保険診療を受けられません。

 

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はじめに

株式会社はその発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をすることができます。株主にとって自身の有する株式につきその発行会社における保有割合・議決権割合は重要な事項であるため、非公開会社においては募集事項の決定を株主総会の決議によって行います(以下、非公開会社を前提とします)。一方で、数カ月内に同じ条件にて複数回の株式発行を予定しているような場合、株式を発行しようとする度に毎回株主総会の承認を得ることは運営コストがかかります。そこで、そのようなケースでは募集事項の決定を取締役に委任することを検討します。

募集株式発行の一般的な手続き

総数引受契約方式を採用する場合(以下、総 数引受契約方式を前提とします)、募集株式発行は一例として次の流れで行います。

<取締役会設置会社>

①株主総会の決議(募集事項の決定)→②取締役会の決議(総数引受契約の承認)→③総数引受契約の締結→④出資の履行

<取締役会非設置会社>

①株主総会の決議(募集事項の決定、総数引受契約の承認)→②総数引受契約の締結→③出資の履行

同じ条件で複数回に分けて株式を発行する

一定の期間の中で複数回株式を発行する場合、例えば今月に投資家Aから出資、3カ月後に投資家B又はB+から出資、6カ月後に投資家C又はC+から出資を受けるようなケースでは、原則として出資を受ける前にその都度、前項①の株主総会の決議によっての募集事項を決定します。ところで、このラウンドでは1株○○○円にて最大で●●●●株まで発行するということを、発行会社、各投資家及び 既存株主との間で予め合意しているケースがあります。

募集事項の決定を取締役(会)へ委任する

募集株式発行における募集事項は、前述のとおり株主総会の決議で決定する必要があるところ、この決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができます。株主総会の決議によって、その委任に基づき募集事項の決定をすることができる(1)募集株式の数の上限及び(2)払込金額の下限を決定すれば、その条件の範囲内で、後は取締役会だけで募集事項の決定及び総数引受契約の承認を行うことができるため、募集株式発行に係る手続きの機動性が上がります。なお、この委任は払込期日又は払込期間の末日が当該委任をする株主総会決議の日から1年以内の日である募集についてのみ有効です。

取締役へ総数引受契約の承認権限付与

取締役会非設置会社においては、総数引受契約の承認は株主総会の決議によって行います。そのため、募集事項を取締役に委任したとしても、引受人が決まる度に総数引受契約の承認をするための株主総会の決議が必要となってしまいます。そこで、定款を変更して、定款に総数引受契約の承認機関を取締役と定めることが考えられます。株主総会の決議によって募集事項の委任及び総数引受契約の承認機関を取締役とする定款変更を行うことで、取締役会非設置会社においても、当該募集事項の委任の範囲内で、取締役の決定により機動的に募集株式発行の手続きを行うことができるようになります。