汐留パートナーズグループ 沖縄事務所のブログ

賃上げ、過去最高を更新~厚生労働省の平成30年調査結果から

◆賃上げは過去最高を更新

厚生労働省が先月27日、平成30年の「賃金引上げ等の実態に関する調査結果」を公表しました。調査対象企業数は3,543社で、うち有効回答企業数は1,779社。有効回答率は50.2%でした。
これによると、定期昇給やベアによる1人平均の賃上げ額は月額5,675円で、前年から48円増え、比較可能な1999年以降で過去最高を2年連続で更新しました。賃上げ率としては2.0%で、前年比で横ばいでした。

◆賃金改定の実施状況

平成30年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は0.4%(同0.2%)、「賃金の改定を実施しない」は5.9%(同6.3%)でした。

◆賃金の改定額

平成30年中の1人平均賃金の改定額(予定を含む)は5,675円(前年5,627円)で、「1人平均賃金の改定率」は2.0%(同2.0%)でした。また、企業規模別にみると、「1人平均賃金の改定額」は、5,000人以上の企業で7,109円(同6,896円)、1,000~4,999人で5,645円(同5,186円)、300~999人で5,247円(同5,916円)、100~299人で5,039円(同4,847円)という結果でした。300~999人規模の企業で改定額が前年を下回りましたが、それ以外では前年比プラスの改定水準となっています。
(注) 1人平均賃金は、所定内賃金(諸手当等を含むが、時間外・休日手当や深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当を含まない)の1人当たりの平均額。

◆定期昇給等の実施

平成30年中の賃金改定が未定以外の企業(賃金の改定を実施しまたは予定している企業および賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」企業割合は、管理職69.7%(前年69.0%)、一般職80.1%(同77.5%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇しました。また、定期昇給制度がある企業のうち、平成30年中にベースアップを「行った・行う」企業割合は、管理職24.2%(前年22.9%)、一般職29.8%(同26.8%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇しました。
人手不足と景気の上昇を反映し、賃金の上昇傾向は調査結果にも表れているようです。

【厚生労働省「平成30 年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」(PDF)】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/18/dl/10.pdf(別ウインドウで開きます)

「つながらない権利」って? 勤務時間外のメール対応を考えよう

◆「つながらない権利」とは

「つながらない権利」をご存知でしょうか。労働者が、勤務時間外や休暇中に、仕事上のメール等への対応を拒否できる権利のことです。アメリカ・ニューヨーク市で現在、「勤務時間外のメール等への返信を労働者に強いることを禁じる」条例案が審議されています(日本経済新聞10月29日夕刊)。

◆先行する各国、各社の例

つながらない権利の法制化で先行したのがフランスです。2017年、従業員50人以上の企業を対象に、時間外のメールの扱いを労使で協議するよう義務づけました。またイタリアでも、2017年に成立したいわゆるスマートワーカー(働く時間・場所を特定しない労働者)を保護する法律において、つながらない権利を雇用契約に明記するよう義務づけています。
また、企業の独自の施策として、ジョンソン・エンド・ジョンソン(午後10時以降のメール禁止)や、ダイムラー(長期休暇中の社内メールを受信拒否・自動削除)の例が知られています。日本企業でも、三菱ふそうトラック・バス(ダイムラーの子会社)が、同様の措置をとっています。

◆「つながらない権利」で労使トラブル予防

日本では現状、法令などで「つながらない権利」が定義されているわけではありません。
とはいえ、使用者側が、明確な社内ルールや指示に基づき「つながる」ことを求めた場合や、過剰に「つながっている」状態を把握しながらも黙認していた場合などは、労働から離れることが保障されていない待機等の時間(いわゆる手待時間)として、労働時間とみなされるおそれがあります。後々、時間外労働分の割増賃金を請求されるリスクや、労災発生時に認定基準における労働時間としてカウントされるリスク等々がありますので、ある程度「つながらない権利」を意識することは、労使トラブル予防の観点から有効です。

◆4割以上の労働者が、勤務時間外も「つながっている」

実態として、勤務時間外や休暇中にメール・電話・LINE等で「つながる」ことは珍しくありません。調査によれば、43.9%の労働者が、「勤務時間外に電話・メール等で仕事関係の連絡をとる」ことが「よくある」「ときどきある」とのことです(労働政策研究・研修機構「裁量労働制等の労働時間制度に関する時間調査」(厚労省抽出分))。
現代は、テレワークをはじめとする多様な働き方の浸透や、ICT技術の普及により、昔より「つながる」機会が増えている時代といえます。「つながる」ことが良い結果を生む場合もあるでしょう。自社の実態を踏まえた「つながり方」を模索するべきではないでしょうか。

来年4月から労働条件の通知がFAXやメールでも可能になります!

◆労働条件通知書がペーパレス化に!

厚生労働省は、現在、労働基準法第15条で定められている労働条件の「書面」での通知について、来年の4月1日からFAXや電子メール等でも可能にし、規制を緩和させることを決めました。書面として印刷できれば問題ないと判断したことによるもので、企業にとっては印刷や郵送にかかるコストや手間の削減ともなり、利便性が高まることが期待されます。

◆労基法施行規則を改正

具体的には、今年の9月7日に公布された働き方改革法関連法に基づく省令で、労働基準法施行規則第5条第4項に下記の下線部分が追加されました(2019年4月1日施行)。
【労働基準法施行規則第5条】
第4項 法第15条第1項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。
① ファクシミリを利用してする送信の方法
② 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信の方法 (当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

◆本人の希望が条件

今回の規制緩和は、労働者がFAXや電子メール等での通知を希望することが条件となっています。本人に通知方法を確認し、FAXや電子メール等での受取りを希望しない場合は、今までどおり書面で通知しなければなりません。
また、電子メールで送信する場合の具体的なファイル形式(メールの本文または一定形式の添付ファイルに限られるのか、どちらでもよいのか等)や、本人が確実に受け取ったかどうかの確認の要否などについては、現時点では明らかになっていません。施行までになんらかの基準が示される可能性もありますので、注意が必要です。

定年延長の導入状況と課題

◆定年延長の状況

(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が「定年延長」に関して行った調査(定年延長実施企業調査)の結果等をまとめた資料が公表されており、定年延長への企業の対応状況がわかる内容となっていますのでご紹介します。
現時点では、60歳定年(+継続雇用)とする企業が7割以上となっていますが、65歳以上を定年とする企業も着実に増え、25,000社(2017年時点)を超えています。
定年延長をする場合、定年年齢を「65歳」とする企業が80%を超えています。また、95%の企業が全社員を対象にしていますが、特に人手不足な職種(運転手、薬剤師、介護職、清掃・警備色等)に対象を限定する企業も一部あります。
なお、定年延長に伴って「役職定年」を導入した企業は13%で、規模が大きいほど導入していますが、それでも20%程度です(30人以下:9.3%、301人以上:21.2%)。

◆仕事内容と賃金水準

引き上げられた定年年齢までの仕事内容は、それ以前と同じである企業が9割以上となっています(59歳以前とまったく同じ:53.8%、まったく同じではないが大体同じ:42.5%)。特に運輸業では、99.1%が同じ(まったく同じ・だいたい同じの計)となっています。仕事の中身が同じだとすると、賃金をどうしているのかも気になるところです。
定年延長にあたって社員全体の人事・賃金制度の見直しを行った企業は30.2%、行わなかった企業は67.1%でした。賃金についても、「59歳時点と変わらない」が61.5%でした。
一方、59歳時点の水準と異なる場合の決定のしかたでは、多いほうから順に「個別に決めている」「等級やランクなどで異なる」「全員一律で同じ水準」となっています。59歳時点の賃金水準を10割として65歳時点の賃金水準をみると、「10割以上」が58.3%を占めており、「9割」の8.5%と「8割」の10.4%も合計すると77.2%の企業で8割以上としていることがわかります。

◆定年延長の提案は経営層から

大半の企業で、定年延長に向けて検討を開始してから実際に定年を引き上げるまでの期間は、半年から1年程度です。また、定年延長の提案は圧倒的(77.5%)に社長などの経営陣によるものです。

◆社員の納得を得るには

社員の満足度が9割を超える定年延長。導入にあたっては、高齢社員の賃金、組織の若返り、健康管理、モチベーションが大きな課題になってきますが、賃金など社員をみて個別に対応するのでなく、きちんとしたルールを策定し、それに基づいて行うことが社員の納得感を生むことにつながるでしょう。

【(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構「定年延長、本当のところ」】
https://www.jeed.or.jp/elderly/topics/2018/q2k4vk000001sibn-att/q2k4vk000001sigk.pdf(別ウインドウで開きます)

パワハラ防止対策、厚生労働省は法制化を検討

◆労使の主張は依然平行線だが…

11月6日の第10回労働政策審議会雇用環境・均等分科会で、職場のパワハラ防止対策について、厚生労働省は3つの案を示しました。
案のうち、(1)パワハラ行為を禁止して加害者への損害賠償請求をできるようにする、(2)事業主にパワハラ防止措置を義務づける、の2つは法制化に関するもので、もう1つが指針の策定(法的強制力を持たせる案とそうでない案の2案)です。労働者側と使用者側で意見が対立していますが、公益委員からは社会的情勢を考えると法制化は当然との意見も出ています。
これらは年内にまとめる報告書に盛り込まれ、来年中に関連法案を国会に提出する方針とされています。

◆事業主にはどんな防止措置が求められるのか

6日の分科会では、今年3月30日公表の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書」より抜粋して、(1)事業主の方針等の明確化、周知・啓発、(2)相談等に適切に対応するために必要な体制の整備、(3)事後の迅速・適切な対応、(4) (1)~(3)の対応と併せて行う対応としてプライバシー保護や相談・協力者の不利益取扱い禁止、という4つが示されました。

◆労災認定件数にみるパワハラ問題

2017年度の精神障害に関する労災補償状況をまとめた資料によれば、請求件数は1,732件で前年度比146件増、支給決定件数は506件で前年度比8件増です。このうち、出来事別の決定件数は「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が186件、うち88件が支給決定され最も多くなっています。対人関係では、「上司とのトラブルがあった」も320件と決定件数が多く(支給決定は22件)なっています。
6日の分科会での公益委員の意見も、こうした資料を踏まえたものと考えられます。

◆相談体制の強化も図られている

厚生労働省の「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によれば、相談、助言・指導の申出、あっせん申請に係る件数のすべてで「いじめ・嫌がらせ」が72,067件で最も多く、同省は2019年度より都道府県労働局の相談員を増やし、夜間や休日も対応する相談窓口を設けて相談体制を強化するとしています。
企業においては、行政がパワハラ問題防止に力を入れていることだけでなく、採用や定着に影響することも踏まえ、対策を検討する必要があると言えるでしょう。

平成30年就労条件総合調査の結果より

◆平成30年就労条件総合調査

厚生労働省は、平成30年就労条件総合調査の結果を公表しました。この調査は、企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的として実施されているもので、今回公表されたものは、平成30年1月1日現在の状況等について1月に行われた調査結果です(調査対象:常用労働者30人以上の企業6,370社(有効回答3,697 社))。

◆平成29年の年次有給休暇の取得率は51.1%

調査によると、平成29 年(または平成28会計年度)1年間の年次有給休暇の付与日数は18.2日(平成29年調査18.2日)、そのうち労働者が取得した日数は9.3日(同9.0日)で、取得率は51.1%(同49.4%)となったそうです。付与日数、取得日数共に、企業規模が小さいほど下がる傾向にあります。年休の取得については2019年4月施行の労基法の改正事項もありますので、気にしていきたいところです。

◆勤務間インターバル制度の導入状況

また、政府が導入を推進している勤務間インターバル制度については、導入状況別の企業割合をみると、「導入している」が1.8%(平成29年調査1.4%)、「導入を予定または検討している」が9.1%(同5.1%)、「導入予定はなく、検討もしていない」が89.1%(同92.9%)となっています。昨年より若干増加していますが、まだ普及は進んでいない状況のようです。
また、1,000人以上規模の企業では導入割合は5.1%であるのに対し、30~99人規模の企業では1.4%と、母数が小さいながらも差が大きくなっています。導入しない理由として「当該制度を知らなかったため」との回答が3割近くもあることから、制度の周知も求められるところでしょう。

◆退職給付(一時金・年金)制度

退職給付(一時金・年金)制度がある企業割合は80.5%となっています。企業規模別にみると、1,000人以上が92.3%、300~999人が91.8%、100~299人が84.9%、30~99人が77.6%となっています。退職年金制度がある企業について、支払準備形態(複数回答)別の企業割合をみると、「厚生年金基金(上乗せ給付)」が20.0%、「確定給付企業年金(CBPを含む)」が43.3%、「確定拠出年金(企業型)」が47.6%となっており、平成25年の調査と比べると、厚生年金基金の割合は半分未満となり、その分、確定給付企業年金、確定拠出年金の割合が増えています。
平成30年就労条件総合調査の結果は、厚生労働省のホームページにも掲載されています。会社の状況と比べながら、会社が全体でいまどの位置にいるのか把握してみるのもよいでしょう。

【厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」】
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html(別ウインドウで開きます)

中業企業の人手不足対策と課題

人手不足が言われて久しいですが、企業にとっては、採用難や売上減少など、企業経営に及ぼす影響は決して小さくないと思われます。そのような中で、企業はどのような人手不足対策を行っているのか、「中小企業の人手不足に対する意識調査(2018年7月)」(商工中金)の結果からみてみます。
※商工中金取引先中小企業10,150社を対象に実施、有効回答数は4,764社。

◆他社はどのような人手不足対策を行っているのか?

人手不足対応として行っている対策としては、「従業員の能力向上」が46%と最多で、次いで、「職場環境の改善」(35.1%)、「賃上げ等の雇用条件の改善」(31.8%)、「高齢者の採用拡大」(29.7%)、「外注(アウトソーシング)の拡大」(27.5%)、「業務プロセスの効率化」(27.2%)、「定着率向上」(25%)、「機械設備導入による省力・省人化」(22.9%)、「従業員の兼任化」(18.4%)、「女性の採用拡大」(17.8%)、「定年延長・廃止」(13.7%)、「外国人の採用拡大」(11.8%)、「パート・非正規の正社員化」(10.1%)といった対策を行っています。
特に、業種別でみると、製造業で「機械設備導入による省力・省人化」(42.1%、非製造業では13.2%)や「外国人の採用拡大」(21.2%、非製造業では7.0%)が目立っています。
その他にも、「IT、IoTの活用による省力、省人化」や「販売単価の引上げ」、「過剰品質・過剰サービスの見直し」、「他社との提携(経営資源の共有等)」、「残業増加」、「業務の縮小・廃止」、「納期の変更」、「海外拠点の新設・拡大」、「他社の買収」といった対策を行っている企業もあります。

◆対策実施上の課題は?

人手不足対策を実施するうえでの課題としては、「対策を行える人材が不在」(25.2%)、「労働法規や規制」(22.5%)、「資金が不足」(12.5%)、「取引先との交渉が難航」(6.7%)、「対策の仕方が分からない」(5.1%)、「従業員との交渉が不調」(1.7%)、「相談相手がいない」(1.4%)などがあります。
業種別でみると、金属製品製造業では、「扶養や社会保険制度でのパートタイマーの年収制限があり、特に時給の高い人は長時間働けない」(勤続製品製造業)、「外国人研修制度を取り入れ、数年前より一定人員を確保しているが期間が短期のため大幅増員が難しい」(窯業・土石業)といった声が上がっています。

外国人労働者受け入れ拡大で社会保険制度はどう変わる?

◆治療のために来日する医療保険のただ乗り問題

日本の医療保険は「国民皆保険制度」といって、保険証があれば誰でも1~3割の自己負担で受診できる手厚い制度です。ところが昨今、留学や技能実習制度を利用して、治療のためだけに来日する外国人の問題が指摘されています。低額な自己負担で、がん治療など高額な保険給付を受けようというのです。また、国内に住む外国人労働者の保険証について、母国の家族が来日し、本人と偽って利用する「なりすまし受診」も報告されています。来年4月から外国人労働者の受け入れを拡大するなかで、こうした外国人の医療保険の不正利用をどうすべきかが議論されています。

◆医療保険で母国の家族を除外

現在、日本に住む外国人労働者が生計を支える3親等以内の親族については、日本に住んでいなくても扶養家族として扱われます。母国で医療機関を利用した場合でも、申請すれば、医療費は協会けんぽや健康保険組合など日本の医療保険者が負担します。
政府・自民党は、外国人労働者の受け入れ拡大にあたり、膨らむ医療費を考慮して、この仕組みを改める方針を固めました。日本で働く外国人が母国に残した家族について、日本の公的医療保険制度の適用対象から原則として除外するのです。ただ、外国人に対する差別的な取扱いにならないよう、日本人労働者の家族が生活拠点を海外に移して日本国内に生活実態がない場合、扶養家族から除外することも検討しています。

◆社会保険料を長期滞納する外国人の在留を認めない方針

また、政府は外国人労働者の受け入れ拡大で、国民健康保険や国民年金の滞納を警戒しています。保険に加入しないまま病院で受診し、医療費を踏み倒すなどの事態が想定されるためです。そのため、政府は社会保険料を長期滞納している外国人の在留を認めない方針を固めました。法務省と厚生労働省が保険料滞納に関する情報を共有するほか、法務省が在留を許可するにあたっての運用指針で、社会保険料をきちんと支払っていることを新たな要件として追加する方針です。

◆年金でも第3号被保険者に国内居住要件

政府は、年金についても医療保険と取扱いを合わせる必要があると判断しました。現在、厚生年金の加入者が扶養する配偶者(国民年金の第3号被保険者)は、自身が保険料を納めていなくても年金を受け取れますが、年金の受給資格を得るには国内の居住を要件とする方向で検討に入りました。2019年度中にも、国民年金法を改正する方針です。これにより、海外で生活する外国人労働者の配偶者には年金が支給されなくなりますが、日本人の従業員の配偶者が海外に住んでいる場合の対応が、検討課題になります。

留学生の日本企業への就職事情(平成29年度法務省発表資料より)

◆外国人労働者の市場

現在、日本国内で働く外国人は128万人にのぼり、労働力の50人に一人が外国人であるといわれています。今回は、在留資格のひとつ「留学生」について、平成29年度における留学生の日本企業への就職事情が法務省の入管局より発表されましたのでまとめます。

◆留学生の日本企業への就職実態

「留学」等の在留資格から、日本国内企業への就職を目的とした在留資格の変更は、22,419人が許可されています(前年比15.4%増)。変更後の資格は「技術・人文知識・国際業務」が全体の91.4%を占めています。
主な国籍・地域としては、約半数が中国で10,326人(46.1%)、次いでベトナム、ネパール、韓国、台湾となっており、アジア諸国だけで全体の95.5%を占めています。
就職先の業種としては、非製造業が81.1%、製造業が19%となっています。非製造業では、商業・貿易(9.5%)およびコンピュータ関連サービス(7.7)が上位を占めており、製造業では一般機械および電気(共に3.1%)が上位を占めています。
職務の内容としては、翻訳・通訳が最も多く23.8%で、販売・営業(14.1%)、海外業務(9.5%)、技術開発・情報処理(6.3%)と続きます。
月額報酬については、20~25万円未満が47.3%と最も多く、次いで20万円未満(34.6%)、25~30万円未満(10.3%)の順となっています。
就職先の企業等の資本金については、最も多いのが資本金500万円超1,000万円以下の企業等で4,282人(19.1%)、そして500万以下の企業への就職が4,077人(18.2%)で、全体の半数以上が1億円以下の企業へ就職しています。
就職先の企業等の従業員数については、従業員数50人未満の企業等に就職した者が8,275人(36.9%)と最も多く、これを含め100人未満の企業等への就職数が10,356人と全体の約半数を占めています。
留学生の最終学歴については、大学卒業者が10,196人(45.5%)と半数近く、次いで大学院卒業者が5,477人(24.4%)の順となっており、両者で全体の約70%を占めています。他に多かったのは、専修学校卒業者で4,869人(21.7%)となっています。
就職先企業等の所在地については、東京都9,915人(44.2%)と圧倒的に多く、大阪府2,228人(9.9%)、神奈川県1,278人(5.7%)と続きます。

◆総 論

留学生が日本企業等へ就職する割合は年々増加し、5年前と比較すると約2倍以上に増えています。そして、出入国管理法の改正により、来年4月から新しい在留資格が生まれ、今後ますます外国人の雇用市場は活発になることが予想されます。外国人労働者の受け入れを検討している企業は、制度改正の動向に注目することはもちろん、受け入れ後の管理体制の準備にも注意が必要です。
【法務省「平成29年における留学生の日本企業等への就職状況について」】
http://www.moj.go.jp/content/001271107.pdf(別ウインドウで開きます)

「平成30年版過労死等防止対策白書」のポイント

◆「教職員」「医療」「IT」等を重点業種・職種として分析

厚生労働省が先月30日、今後の過労死対策の議論の土台となる「平成30年版過労死等防止対策白書」を公表しました。3回目となる今回の白書では、特に過労死などが多いとされる「教職員」「医療」「IT」について労働実態などを重点的に分析しています。

◆政府の取組み、重点業種の調査結果、自治体や民間の活動を報告

白書では、以下のような内容が調査・報告として掲載されています。
1 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成30年7月24日閣議決定)の概要および「働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)の定める長時間労働の是正等に関するポイント
2 過労死等が多く発生していると指摘のある教職員、IT産業、医療を中心とした重点業種・職種に関する労災事案等の分析など、企業における過労死等防止対策の推進に参考となる調査研究結果
3 労働行政機関等における長時間労働削減等の対策や国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組みを中心とした施策の状況の詳細
4 過労死等防止対策に取り組む民間団体、国、地方公共団体および学校の活動

◆業界特有の働き過ぎやストレスの要因が浮き彫りに

教職員の調査では、回答者3万5,640人の1日の平均勤務時間は11時間17分でした。残業の理由では、「自分が行わなければならない業務量が多い」との回答が7割弱と最多で、ストレスの要因では、「保護者・PTAへの対応」と答えた人が4割弱いました。
医療では、1,078の病院への調査で、月の残業時間が100時間を超える医師がいる病院が12.3%ありました。
また、ITの調査では、システムトラブルへの緊急対応や厳しい納期を強いられるなど、発注者からの要望が過重労働の主因となっていることがわかりました。
それぞれ、業界特有の働き過ぎや精神的ストレスの要因が浮かび上がったものとなっており、白書では、昨年重点業種として調査した「自動車運転」「外食」を含め、業種ごとの特徴に応じた対策を講じ、過労死などの根絶につなげる必要があるとしています。今後は、業種の特性に応じた配慮や取組みが一層求められることになるでしょう。

【厚生労働省「過労死等防止対策白書」ダウンロードページ】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html(別ウインドウで開きます)