汐留パートナーズグループ 沖縄事務所のブログ

存在が認知されていないことも! 「産業医」、活用できていますか?

◆労務管理上の課題解決の要となる「産業医」

2016年の改正がん対策基本法により、企業はがんに罹患した労働者の就労への配慮が求められています。また、2017年に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針)では、働き方改革の1つとして、「治療と仕事の両立推進」が盛り込まれました。現在、病気になった労働者の就労継続は、労務管理上の大きな課題となっています。
両立の推進を行う上では、労働者を中心として、事業場(事業者、人事労務担当者、上司・同僚等、労働組合、産業医)、医療機関(主治医、看護師、医療ソーシャルワーカー等)、地域の支援機関(産業保健総合支援センター、保健所、社会保険労務士等)といった関係者が連携することが望まれます。中でも産業医は、労働者と事業者の間に立つ存在として、関係者間の調整機能を果たすことが求められる、重要性の高い存在です。

◆働く患者の75%が「産業医」の存在を知らない!

しかし、アフラック生命保険会社の調査で、企業における産業医の認知度・活用度は非常に低いことがわかりました。
同社の「がんと就労に関する意識調査」結果報告(2018年11月1日発表)によると、調査対象中、産業医を有すると推定される規模の企業に勤めている患者は65%と推定されるところ、「産業医がいる」と認知しているのは約25%にとどまりました。また、経営者においても、産業医または産業保健総合支援センターに相談していない経営者が約70%、がん患者の就労相談についても話し合ったことがない経営者が約60%と、産業医を活用することができていません。

◆「治療と仕事の両立支援」のために

病気になった労働者の就労継続には、産業医が関与することが効果的とされています。産業医について、その存在、日常的な健康管理や両立支援の要であることを労働者に周知するとともに、企業としても活用を図っていくことが大切です。産業医と上手に連携して、「治療と仕事の両立支援」に取り組んでいきましょう。

「過半数代表」に注意!~労働政策研究・研修機構の調査より

◆労使協定と過半数代表

労働組合の組織率は年々低下傾向にあるようですが、働き方改革法の成立・施行に伴い、労使協定の重要性が増す中、「過半数代表」については注意が必要です。36協定等の労使協定を締結する場合は、その都度、過半数組合か、過半数組合がない場合は過半数代表者との書面による協定が必要ですが、この度、「過半数労働組合および過半数代表者に関する調査」((独)労働政策研究・研修機構)の結果が公表されました。

◆「労働組合は1つ」が9割以上

この調査に回答した7,299事業所のうち、労働組合のある事業所(全体の12.6%)の93.8%は、組合が1つでした。2つ以上と回答したのは6.1%です。また、過半数組合があるのは65.5%となっています。
◆「過半数代表」の選出状況
調査によると、過去3年間に、「過半数代表者を選出したことがある」事業所は43.1%、「過半数代表者を選出したことがない」事業所は36.0%、「不明(選出したことがあるか分からない)」が10.1%であったとのことで、中には問題があるケースもありそうです。
「過半数代表(事業場における過半数労働組合または過半数代表者)」が「いる」のは全体の51.4%、「いない」が36.0%。事業所規模別にみると、「過半数代表」がいる割合は、「9人以下」35.7%、「10~29人」69.5%、「30~99人」85.5%、「100~299人」92.7%、「300~999人」94.3%などと、やはり規模が小さいと割合が低くなっています。

◆選出方法にも問題が…

過半数代表者を選出したことがある事業所における選出方法についての回答は、「投票や挙手」が30.9%となる一方、「信任」22.0%、「話し合い」17.9%、「親睦会の代表者等、特定の者が自動的になる」6.2%、「使用者(事業主や会社)が指名」21.4%などとなっており、問題のある事業所があるようです。過半数代表者は、労使協定の締結等を行う者を選出することなど、その目的を明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者である必要があります。
また、過半数代表者の職位について、「課長クラス」、「部長クラス」、「工場長、支店長クラス」、「非正社員」といった回答があり、こちらも問題があるようです。過半数代表者は、監督または管理の地位にある者でない必要があるからです。
適正な過半数代表者を選出していないことが労働基準監督署の調査などで判明すると、締結した労使協定等自体が無効なものとされてしまい、是正勧告や訴訟に大きな影響があります。今後、労働基準監督署によるチェックがさらに厳しくなることは確実と思われますので、再確認しておく必要があるでしょう。

【(独)労働政策研究・研修機構「過半数労働組合および過半数代表者に関する調査」】
https://www.jil.go.jp/institute/research/2018/186.html(別ウィンドウで開きます)

中小企業の半数が「継続雇用65歳超義務化」に反対~日商・東商調査

◆中小企業の「リアル」を調査

日本・東京商工会議所は、「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」と併せ、「高齢者雇用の拡大に関する調査」の結果を公表しています(調査対象:全国の中小企業2,881社、調査期間:2018年10月22日~12月3日)2019年1月9日、日本・東京商工会議所は昨年10~12月に中小企業2,881社(従業員規模300人未満の企業が約9割)。
その概要をご紹介します。

◆高年齢者雇用安定法の対応状況は?

現行の対応状況は、「希望者対象の継続雇用制度導入」が72.7%、「65歳までの定年制導入」が19.2%、「定年制の廃止」が5.1%でした。
定年前・後における給与水準の変化について、「職務内容と責任の水準が変わるため給与水準を下げている」が53.9%に上る一方、「職務内容と責任の程度は同程度だが給与水準を下げている」が16.3%で、こうした企業は今後、同一労働同一賃金に向け対応が必要です。
給与水準を下げている企業の定年後の給与水準は、「定年前の7~8割程度」が57.3%、「定年前の5~6割」が24.0%で、「5割未満」は3.0%でした。

◆7割超が65歳超を雇用する一方、半数が「義務化」に反対

65歳超を雇用する企業の割合は73.7%で、2016年調査結果より2.6%増えました。
「65歳超への義務化」には、「影響はない」が44.0%だった一方、「雇用しているが義務化には反対」29.7%、「65歳までは雇用できるがそれ以上の対応は難しい」20.8%で、義務化に反対する割合が50.5%でした。しかしながら、2016年調査結果の57.2%に比べて下がっており、中小企業において高齢者雇用が進んでいる実態がうかがえます。
義務化された場合の対応については、「不明」が28.5%ながら、「定年は60歳のまま、希望者を65歳超まで再雇用する」32.4%、「65歳を定年とし、希望者を65歳超まで再雇用する」26.0%で、定年引上げも視野に入れている企業が一定数あります。

「働き方改革関連法」実際の認知度はまだ低い?~日商・東商調査

◆働き方改革関連法の実際の認知度はまだ低い?

本年4月から順次施行される働き方改革関連法の施行に向けて、企業でも対応への取組みを始めているところは多いでしょう。一方で、法律の内容や施行時期を知らないという企業もまだ多いようです。
日本・東京商工会議所が公表した「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」(調査対象:全国の中小企業2,881社、調査期間:2018年10月22日~12月3日)によれば、 法律の内容について「知らない」と回答した企業は、「時間外労働の上限規制」が39.3%、「年次有給休暇の取得義務化」が24.3%、「同一労働同一賃金」が47.8%、「中小企業への月60時間超の割増賃金率の猶予措置廃止」が51.7%、「労働時間等に係る管理簿の作成義務」が53.0%を占めたそうです。

◆50人以外の企業で「同一労働同一賃金」の内容を知らない企業は約6割

その中でも、働き方改革関連法の目玉の1つである「同一労働同一賃金」については、「時間外労働の上限規制」、「年次有給休暇の取得義務化」に比べて認知度は低く、50人以下の企業では、法律の内容や施行時期について「知らない」と回答した企業は約6割を占めたそうです。

◆対応済み企業は半数に満たない

「時間外労働の上限規制」、「年次有給休暇の取得義務化」、「同一労働同一賃金」について、「対応済・対応の目途が付いている」と回答した企業の割合は、いずれも半数に満たないという結果も出ています。「法律の名称・内容を知っている」と回答した企業に限っても、「対応済・対応の目途が付いている」と回答した企業の割合は6割に満たず、特に「同一労働同一賃金」については36%という結果になっています。

◆企業は早めの対応を

「働き方改革」については、ニュースでも盛んに取り上げられているところですが、関連法について対応できていない企業や、そもそも内容を知らないという企業はまだ多いことがわかります。施行日は近づいていきます。取組みを始めてすぐ対応できるわけではありませんので、早めの対応が求められるところです。

インターンシップに参加する学生が増加しています!

内閣府から、平成30年度卒業・修了予定の大学生および大学院生を対象にした調査「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査(平成30年度)」の結果が出されました。今回は、その中のインターンシップについて、取り上げます。

◆「インターンシップ」とは?

学生が夏休みなどを利用し、企業や官公庁、非営利団体などに行って一定期間就業体験し、実際にどのような仕事をしているのだろう、会社の雰囲気はどんな感じか、といった経験を積むことのできる制度です。
インターンシップについては、参加したことがある者の割合が年々増加している実態が明らかとなっています。下記、調査結果をご紹介します。

◆インターンシップ参加経験の有無

2019年度は7割以上がインターンシップに参加したことがあると回答(複数回参加50.7%、1回参加22.5%)しており、2015年度(複数回参加25.5%、1回参加25.6%)以降、増加していることがわかりました。

◆インターンシップ参加時期

インターンシップ参加の時期は、大学3年生・大学院1年生の「1月~3月」の参加割合が最も高く、次いで大学3年生・大学院1年生の「7月~9月」、大学3年生・大学院1年生の「10月~12月」の割合が高くなっていることがわかりました。大学1年生、2年生、4年生、大学院2年生の参加率にくらべ、圧倒的に高い状況でした。
インターンシップは1日から数カ月間に及ぶものまで様々で、内容も多様化しているようで、就業体験を伴わないものもあります。

◆1日間のインターンシップの参加状況

インターンシップに1回のみ参加したことがある場合で参加日数が「1日」であった割合は約5割に上っています(2015年度以降この回答割合は増加)。インターンシップに複数回参加したことがある場合で1日間のインターンシップに参加したことがある割合は9割以上でした(上記と同様に2015年度以降増加)。
インターンシップへのすべての参加回数のうち、1日間のインターンシップへの参加回数が占める割合を集計すると、約7割が1日間のインターンシップであったこともわかりました。

◆1日間のインターンシップの就業体験等との関係性

参加した1日間のインターンシップのなかで、就業体験等を伴っていなかったものの割合を集計すると、約4割が就業体験を伴わないものであったことがわかりました(2017年度と同程度)。

組合数は減少、組合員数はパート労働者で大幅増加~厚労省基礎調査

◆労働組合数と組合員数

厚生労働省が公表した平成30年「労働組合基礎調査」の結果によると、平成30年6月30日現在、単一労働組合は24,328組存在しており、組合員数は1,007万人で、前年と比べると組合自体は137減っているのに対し、組合員数は8万8,000人増えています。過去5年間の調査結果をみても、組合数は減少の一途に対し、組合員数は増加し続けています。
□また、労働組合員(単位労働組合)のうち、パートタイム労働者は129万6,000人で、前年より8万9,000人増えていて、全組合員に占める割合は13.0%となっています。この割合は、過去5年間、毎年1%ずつ増加しています。

◆産業別の実態

産業別にみると、「製造業」が全体の26.3%と最も多く、次いで「卸売業、小売業」が14.7%、「運輸業、小売業」が8.4%と続きます。逆に、組合がほとんどない業界として、「農業・林業・漁業」が0.1%、「鉱業、採石業、砂利採取業」0.1%、また「不動産業、物品賃貸業」が0.3%となっています。
◆企業規模別の実態

民営企業の労働組合員数(単位労働組合)は865万3,000人で、前年に比べて10万4,000人増えています。これを企業規模別にみると、1,000人以上規模が全体の65.4%を占めています。300~999人規模は全体の13.3%、100~299人規模は7.0%と、組合員数は企業規模の大きさに比例しています。
◆主要団体への加盟

主要団体別に、産業別組織を通じて加盟している労働組合員数(単一労働組合)をみてみると、組合員が増えている団体は、連合(日本労働組合総連合会)が686万1,000人(前年比0.9%増)、インダストリオール・JAF42万7,000人で前年比1.2%増。一方で、横ばい、もしくは減少している組合は、全労協(全国労働組合連絡協議会)が9万7,000人(前年比1.0%)、全労連(全国労働組合総連合)が53万6,000人(前年比1.2%減)となっています。
労働組合の用語の定義
・単位組織組合:規約上労働者が当該組織に個人加入する形式をとり、かつ、その内部に独自の活動を行い得る下部組織(支部等)を持たない労働組合
・単一組織組合:規約上労働者が当該組織に個人加入する形式をとり、かつ、その内部に下部組織(支部等)を有する労働組合をいう。このうち最下部の組織を「単位扱組合」、最上部の組織を「本部組合」という。
・単位労働組合とは、「単位組織組合」および単一組織組合の下部組織である「単位扱組合」をいい、単一労働組合とは、「単位組織組合」および単一組織組合の最上部の組織である「本部組合」をいう。

【平成30年労働組合基礎調査の概況(PDF)】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/18/dl/gaikyou.pdf(別ウィンドウで開きます)

「勤務間インターバル制度」普及率10%目標へ~厚労省報告書

◆「働き方改革実行計画」に基づき検討

厚生労働省は先月21日、「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」の報告書を公表しました。この検討会は、平成29年5月から平成30年12月までに5回にわたり開催され、勤務間インターバル制度の導入メリットや課題、普及に向けた取組みなどについて検討されてきたものです。

◆導入の意義と導入に向けた課題・プロセス・事例を紹介

報告書ではポイントとして、①「勤務間インターバル制度」は、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るために重要な制度であること、②制度の普及に向けた課題として、制度の認知度が低いことや中小企業等が導入する際の手順が分からないことが挙げられること、③普及促進に向けて、検討会報告書の別添の「勤務間インターバル制度導入に向けたポイント」や導入事例集の周知、助成金による支援を進めていくことが重要であること――を示し、以下のような点についてまとめています。
《導入によるメリット》

  • ①健康維持に向けた睡眠時間の確保につながる
  • ②生活時間の確保によりワークライフバランスの実現に資する
  • ③魅力ある職場づくりにより人材確保・定着につながる
  • ④企業の利益率や生産性を高める可能性が考えられる

《普及に向けた課題》

  • ①制度の認知度が低い
  • ②制度導入の手順がわからない
  • ③就業規則の整備等に係る経費負担
  • ④突発的な業務が発生した際の代替要員の確保

《普及に向けた取組み》

  • ①導入事例集を活用し、行政機関、地域の関係団体等と連携して制度の周知を行う
  • ②制度導入の手順をまとめた「導入に向けポイント」を参考に、さらなる導入促進を図る
  • ③助成金による導入支援、労務管理の専門家による相談支援を実施する
  • ④関係省庁が連携を図りながら、取引環境の改善に向けた取組みを一層推進する

報告書ではこのほか、制度導入までのプロセスを示すとともに、導入に当たって参考となるよう、20の導入企業例を掲載しています。

◆2020年までに導入企業10%へ

政府は、制度の導入の予定も検討もしていない企業が89.1%にのぼり(平成30年就労条件総合調査)、その理由として「当該制度を知らなかったため」が29.9%となっていることから、認知度の向上に向けた取組みを推進し、2018年1月1日現在で1.8%にとどまっている導入企業の割合を、2020年までに10%以上とする目標を掲げています。

【厚生労働省「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」報告書(PDF)】
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000462016.pdf(別ウィンドウで開きます)

国の障害者雇用水増しの再発防止策と障害種雇用促進法の改正動向

◆国の障害者雇用率は1.22%

厚生労働省は、昨年6月時点の国の機関(行政・立法・司法の43機関)の障害者雇用状況を公表しました。障害者雇用率は1.22%で、国の法定雇用率(2.5%)を達成した機関はわずか8機関でした。昨年、中央省庁が長年にわたり雇用率を水増ししていたことが発覚したため、法定雇用率を大きく下回っていることが判明したものです。また、雇用障害者数は3,902.5人(短時間労働者は0.5人分とする)で、行政機関では3,875人が不足していることが明らかになりました。
一方、都道府県の機関での障害者雇用率は2.44%で、雇用障害者数は8,244.5人でした。法定雇用率をわずかに下回るだけで、国との格差が浮き彫りになりました。
なお、毎年、同時期に公表になる民間企業の障害者雇用状況については、3月にずれ込むことになっています。

◆再発防止策は?

障害者雇用の水増し問題を受け、政府は昨年10月、再発防止策や今後の雇用確保策の基本方針をまとめました。再発防止策には、各機関で働く障害者の名簿の作成、障害者手帳の写しなどの保存や関係書類等のチェック機能の強化等を盛り込み、雇用確保策として、障害者の働きやすさを考慮し、フレックスタイム制や早出遅出勤務を利用できるようにして勤務時間を柔軟化する方針を固めました。
また、政府は年末までに障害者を約4,000人雇用し法定雇用率を達成する目標を掲げました。さらに、人事院は2月に国家公務員試験を実施し、障害者の常勤職員を採用することを明らかにしました。

◆障害者雇用促進法の改正動向

政府は、障害者雇用促進法の改正案として、厚生労働省が国の機関や自治体に立入り検査できる権限を新設し、水増し問題の再発を防ぐとしています。
また、積極的に障害者を雇う中小企業を認証する制度の創設や、法定雇用率に算定されない週20時間未満で働く障害者を雇用する企業に対し給付金を支給することなどを検討しており、今通常国会に改正案を提出し早期導入を目指すとしています。

悪質なクレームはハラスメント! 企業向け対策指針、策定へ

◆悪質クレームはハラスメント

顧客や取引先から従業員への悪質なクレーム(「クレームハラスメント」「カスタマーハラスメント」などとも。以下「悪質クレーム」といいます)が社会問題となっています。企業向けの悪質クレーム対応マニュアルがベストセラーとなっていますし、報道を目にする機会も増えています。

◆悪質クレームに関する調査結果

UAゼンセン「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査分析結果」(2018年9月公表)によると、「業務中に来店客から迷惑行為に遭遇した」従業員は70.1%とのことです。迷惑行為の内訳(複数回答)では、「暴言」が最多の66.5%で、以下「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」(39.1%)、「権威的(説教)態度」(36.4%)などとなっています。
注目すべきは、迷惑行為を受けた従業員の91.3%がストレスを感じているほか、「精神疾患になった」という回答もあった点です。同調査は、対象に離職した人が含まれていないため、悪質クレームにより精神疾患を患ったり離職したりした人は潜在的に少なくないとしています。悪質クレームには、従業員を疲弊させ、休職や離職をさせてしまうリスクがあるということです。

◆厚労省も悪質クレーム対策を議論中

こうした中、厚生労働省は11月、悪質クレームを「職場のパワハラに類するもの」と位置づけ、企業が取り組むべき対策を指針にまとめる方針を明らかにしました。セクハラ・パワハラ対策の法制化などとあわせて労働政策審議会で議論し、来年の通常国会に関連法改正案を提出する見通しです。

◆悪質クレームから従業員を守るには

では、企業としてどのような対策・取組みが考えられるでしょうか。この点について、上記調査では「迷惑行為への対応を円滑にする企業の相談体制の整備」が最多の40.8%(複数回答)となっています。悪質クレームに対峙する多くの従業員は、セクハラやパワハラなどの対策と同様、自社が親身に相談にのってくれることを望んでいるといえます。悪質クレーム対応を現場まかせとするのではなく、企業として従業員をサポートする姿勢が大切です。

私立高校の教員の労務管理の実情と学校の働き方改革の動向

◆4割強が36協定未締結

公益社団法人「私学経営研究会」は、昨年6~7月に全国の私立高校の約8割にあたる約1,100校を対象に「私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査」を実施し(うち332校が回答)、その結果、4割強の151校が36協定を結んでいなかったことが明らかになりました。さらに、直近5年間で78校が労働基準監督者の立ち入り調査を受け、24校が是正勧告・指導を受けていたことが判明しました。
また、出勤簿に教員の出勤時刻を記入していない高校は208校、退勤時刻は67校に及びました。今回の調査は、今までは勤務実態が見えにくかった私立高校の教職員の労務管理について、十分に把握されていないという現状が初めて明らかになりました。

◆公立校の教員の違いとは?

私立校の教員は、民間企業の社員と同様に労働時間や残業代について、労働基準法が適用されます。つまり、労使間で協定を結ばず法定労働時間を超えて残業や深夜労働、休日出勤した場合は労働基準法違反となります。
今回の調査では、177校が「調整手当」といういわゆるみなし残業代として一定金額を支給している現状も明らかになりました。公立校では、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」に基づき、残業代を支払わない代わりに、基本給の4%の支給(「教職調整額」)をすることが認められています。
そのため、多くの私立校では、公立校にならって残業代の代わりに「調整手当」として一定の金額を支払っているのですが、残業時間がその手当の相当分を超えた場合は違法となります。

◆学校の働き方改革についての議論が進行中

現在、中央教育審議会では、給特法の改正を含めた学校の働き方改革について議論をしています。12月6日に示された指針案では、教員の残業の上限を原則月45時間、年間360時間を超えないようにすると明記しました。これは民間企業の時間外労働の上限を定めた働き方改革関連法に沿った内容であり、また、いじめ問題への対応など特別な事情があっても月100時間未満、年720時間までとする制限を設けました。パブリックコメントを踏まえて年明けにも指針案を正式決定するとしています。