日本における「居住者」「非居住者」と税務に関する取扱いの論点
2023年4月27日
税金に関して、税金を納めなければならない人(納税義務者)を確定させることは重要です。それは、確実に税金を徴収することはもちろん、二重取りを防止することになるからです。納税義務者について、日本の法律ではどのように規定されているのでしょうか?また、国際間の取り決めでは、どのように規定されているのでしょうか?詳しくご説明いたします。
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国内法による納税義務者の取り扱い
日本では、所得税法によって、納税義務者(個人)を居住者(さらに永住者、非永住者)と非居住者に分けています。居住者は、基本的に国内外全ての所得に課税されますが、非居住者は、国内で生じた所得(国内源泉所得)に対して課税されます。
所得税では、非居住者は「居住者以外の個人」、居住者は「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人」と定義されています。
このことから、所得税における居住者と非居住者を分けるポイントは、「住所」と「居所」の定義だということが分かります。
まず「住所」ですが、これは「人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは、客観的事実によって判定する」とされています。もっと分かりやすく表現すれば、長い間留守にすることはあっても「いずれはそこに帰ってくる場所」ということです。また、「居所」とは、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
実際問題として、居住者・非居住者の違いは非常に難しいものですが、上記の条件を総合的に判断し、居住者であるのか、非居住者であるのかを判断することになります。
なお、法人については、本店所在地がどこにあるかによって、内国法人又は外国法人の判定が行われます。これを一般に「本店所在地主義」といいます。
租税条約による取り扱い
国際間の取り決めである租税条約では、日本と異なる定めをおいている国との間での二重課税を防ぐため、個人・法人を含めた居住者の判定方法を定めています。一般的には、個人については、次の順序で「居住者」の判定を行います。
(1)恒久的住居の場所
(2)利害関係の中心的場所
(3)常用の住居
(4)国籍
また法人の納税地についてですが、相手国が法人を実質的に管理する場所がどこにあるかによって、内国法人か外国法人かの判定を行っている方法(「管理支配地主義」といいます)を取っている場合には、前述の本店所在地主義と矛盾するものになってしまいます。
つまり、双方居住という「二重課税」の恐れが生じることになります。そこで、このような場合には、その法人を実質的に管理する場所のある国の「居住者」とみなすなどの措置を取り、租税条約を適用することによって、この問題をクリアできる場合があります。
おわりに
日本における納税義務者は法律で定義が決まってはいるものの、非常にややこしく、個人の判断だけでは大きなミスを犯してしまうことが多々あります。そのため、心配な方は一度、自分が居住者にあたるのか、もしくは非居住者にあたるのかを確認しておくとよいでしょう。
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