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高度な外国人材獲得新制度「J-Find」「J-Skip」の概要、要件及び優遇措置

高度な外国人材獲得新制度「J-Find」「J-Skip」の概要、要件及び優遇措置

外国人雇用・イミグレーション
2025年12月4日

2023年4月、日本政府は海外からの優秀な人材を呼び込むため、新たな在留資格制度の運用を開始しました。それが、「J-Skip(特別高度人材制度)」と「J-Find(未来創造人材制度)」です。 

これらは、従来の「高度専門職」などのポイント制とは異なるアプローチで設計されており、世界的な人材獲得競争に対応するための重要な施策とされています。本記事では、これら2つの新制度の概要、申請要件、および付与される優遇措置について、最新の規定に基づき解説します。

J-Skip(ジェイ・スキップ)は、高度な専門知識や技能を持つ外国人材に対し、従来の「高度専門職」ポイント制よりも簡素化された要件で在留資格を付与する制度です。正式名称は「特別高度人材」となります。 

これまでのポイント制では、学歴、職歴、年収、年齢などを点数化し、合計70点以上が必要でしたが、J-Skipでは「学歴または職歴」と「年収」という2つの基準を満たせば、高度専門職としての在留が認められる仕組みとなっています。
 

J-Skipの対象となる活動類型と要件 

J-Skipは、以下の3つの活動類型において、それぞれの要件を満たす必要があります。
 

① 高度専門・技術活動(研究者・技術者など) 

アカデミックな分野や技術開発に従事する人材が対象です。以下のいずれかの要件を満たす必要があります。 

  • 修士号以上の学位を取得し、かつ年収が2,000万円以上であること 
  • 従事しようとする業務に10年以上の実務経験があり、かつ年収が2,000万円以上であること 


② 高度経営・管理活動(経営者・企業幹部など) 

企業の経営や管理に従事する人材が対象です。

  • 事業の経営または管理について5年以上の実務経験があり、かつ年収が4,000万円以上であること 


J-Skipの主な優遇措置 

J-Skipとして認められた場合、「高度専門職1号」の在留資格が付与されるとともに、通常の高度専門職よりもさらに拡充された優遇措置が適用される可能性があります。

  1. 「高度専門職2号」への移行期間短縮
    通常、高度専門職1号から無期限の在留資格である「2号」へ移行するには3年の活動が必要ですが、J-Skipの場合は1年で移行が可能となります。
  2. 配偶者の就労要件の緩和
    一般的な在留資格では配偶者の就労に制限がありますが、J-Skip認定者の配偶者は、学歴や職歴などの要件を満たさない場合でも、「研究」「技術・人文知識・国際業務」などの活動が可能となる場合があります。
  3. 家事使用人の帯同要件の緩和
    世帯年収要件(3,000万円以上)などの一定条件下で、最大2名までの外国人家事使用人の雇用が認められるケースがあります。
  4. 大規模空港等における優先レーンの使用
    プライオリティレーンを使用できるため、出入国の手続きがスムーズになります。

J-Find(ジェイ・ファインド)は、優秀な海外大学を卒業した若手人材が、日本での就職活動や起業準備活動を行うために滞在できる制度です。正式名称は「未来創造人材」となります。 

これまでの「短期滞在」や「特定活動(就職活動)」とは異なり、世界トップレベルの大学卒業者を対象に、最長2年間の滞在を認めることで、日本社会への定着を促進する狙いがあります。
 

J-Findの申請要件

J-Findを利用するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があるとされています。
 

① 対象大学の卒業 

世界大学ランキング(QS、THE、上海ランキング)のうち、2つ以上で100位以内にランクインしている大学を卒業していること、またはその大学院の課程を修了していることが求められます。 

※対象大学リストは出入国在留管理庁により定期的に更新されます。
 

② 卒業からの期間 

対象となる大学・大学院を卒業・修了してから5年以内である必要があります。
 

③ 生計維持能力 

滞在当初の生計維持費として、20万円相当額以上の預貯金を所持していることが求められます。
 

J-Findの主な特徴と優遇措置 

J-Findの大きな特徴は、活動の自由度と滞在期間の長さにあります。

  1. 最長2年間の滞在が可能
    在留期間は「1年」または「6ヶ月」が付与され、更新により最長で2年間まで滞在が可能です。これにより、じっくりと就職先を探したり、起業の準備を進めたりすることができます。
  2. 家族の帯同が可能
    配偶者や子どもの帯同が認められています。家族とともに日本での生活基盤を築く検討が可能です。
  3. 活動資金を補うための就労が可能
    就職活動や起業準備を行いつつ、そのための資金を補う目的であれば、就労が認められています。これまでの就職活動ビザに比べ、経済的なハードルが低いといえます。

新たに導入された2つの制度と、従来の高度人材制度の違いを整理すると以下のようになります。
 

項目 J-Skip(特別高度人材) J-Find(未来創造人材) 従来の高度専門職(ポイント制) 
主な対象 すでに高収入・高スキルの実績がある研究者・経営者 将来有望なトップ大学卒業者(ポテンシャル層) ポイント計算で一定基準に達する人材 
主な要件 学歴/職歴 + 高額年収(2,000万円〜) 指定大学卒業 + 卒業後5年以内 + 資金力 ポイント70点以上 
目的 即戦力の確保・定着 就職・起業の促進 高度人材の確保 
永住・2号への道 最短1年で移行可能 就職・起業後に在留資格変更が必要 最短1年または3年で移行可能 

「J-Skip」と「J-Find」は、日本のイノベーションを加速させるための重要な制度です。 

J-Skipは、すでに世界で実績を上げているトップレベルの研究者や経営者にとって、日本での活動開始をスムーズにし、生活環境を整えやすくするメリットがあります。一方、J-Findは、優秀な若手人材が日本というフィールドを選び、キャリアをスタートさせるための大きなインセンティブとなるでしょう。 

これらの制度はまだ開始されて間もないため、運用の細則や解釈については、個別のケースごとに慎重な判断が求められる場面も想定されます。申請にあたっては、出入国在留管理庁の最新情報を確認し、要件への適合性を十分に精査することが推奨されます。

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