在留資格「高度専門職1号」に関するメリットや申請時の注意点
2023年1月26日
在留資格「高度専門職1号」は、取得条件が厳しい反面、多くのメリットを得られる在留資格です。本記事では高度専門職1号について詳しく説明すると共に、申請要件やメリット、注意点などについても説明いたします。
在留資格「高度専門職1号」とは
高度専門職とは、2015年4月に新たに施行された在留資格で、高度な学歴や経験、技術を有する外国人が該当する資格です。 高度専門職には様々な優遇措置が設けられています。高度専門職は高度専門職1号(イ・ロ・ハ)と高度専門職2号の4種類で構成されており、高度専門職2号は高度専門職1号で3年以上在留した外国人が対象となります。
高度専門職は他の在留資格とは異なり、ポイント計算表で自身のポイントを算出し、70点以上の場合のみに申請権利を得られるという在留資格です。ポイント計算表では、主に「学歴」「職歴」「年収」「年齢」の4項目が設けられています。例えば「学歴」の項目では、「博士号(専門職に係る学位を除く。)所得者」を30点、「修士号(専門職に係る博士を含む。)」を20点等として、ポイントを算出するようにしています。 また、これらに加えて3つの分野(高度専門職1号のイ・ロ・ハ)それぞれに応じた特性により、ボーナス点が加算されます。
尚、申請には、該当するポイントのすべての証明資料が必要となります。例えば、日本語能力試験のN1を持っていてポイントを加算したとしても、N1の合格証明書を紛失したなどで証明資料を用意できなければ、そのポイントは加算が認められません。ポイントは満たしているものの、証明資料を用意できないために申請することができないというケースも少なくないため、注意が必要です。
「高度専門職1号」の申請要件
高度専門職を申請する際は、次のいずれの要件にも該当しなければなりません。
① 申請人が行おうとする活動について、高度専門職の1号イ・ロ・ハの活動の何れかに該当すること。
② 高度専門職ポイント計算表で、70点以上であること。
③ 年収が、最低300万円以上であること。
高度専門職1号は、学歴や職歴要件について明示されてはいませんが、学歴が高く実務経験が長いほど高いポイントを得ることができることから、実質的には在留資格「技術・人文知識・国際業務」以上の高い学歴と実務経験があることが要件のひとつになっていると言えるでしょう。
「高度専門職1号」のメリット
「高度専門職1号」を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?「高度専門職1号」にはいくつかの優遇措置がありますが、その中でも以下の3点は外国人の方にとって魅力が大きいように思われます。
(1)永住申請要件の緩和
(2)5年の在留期間
(3)短い審査期間
まず(1)についてです。一般的には永住申請を行う場合、10年以上継続して日本に居住し、直近5年以上引き続き日本で働いているという要件を満たす必要があります。しかし、「高度専門職1号」の場合は、80点以上の状態が1年間続いていれば永住申請を行う権利が発生し、70点以上の状態が3年間維持されていれば、永住申請を行うことが可能となります。
次に(2)です。ほとんどの在留資格で5年、3年、1年、3ヶ月のようにいくつかの在留期間が設けられていますが、長期間の在留期間を認められることは稀です。特に5年が認められることは極めて少ないため、通常1年ごとまたは3年ごとに在留資格の更新が必要となります。外国人や企業はその都度、申請手続きを行わなければならず、大きな負担となります。しかし、「高度専門職1号」では全員5年が認められるため、手間が減らせるという点に魅力を感じているようです。
最後に(3)についてです。法務省のサイトには、10日間以内を目途に審査する旨、記載されています。一方、新規で在留資格を申請する場合、出入国在留管理局の所在地や時期にもよりますが、東京入管では審査に3~4ヶ月ほどかかることが一般的です。
外国人は在留資格を得てからでなければ日本で働くことができないため、申請後、結果が出るまでずっと待っていなければならず、その間は働くことができません。しかし「高度専門職1号」の場合は10日ほどで結果が出るため、申請から就労までがスムーズかつスピーディーなものとなります。
「高度専門職1号」の注意点
一般的な就労資格である「技術・人文知識・国際業務」を持っている外国人が転職する場合、オンラインなどで転退職に関する届出を提出すれば良いだけのケースもあります。しかし、「高度専門職1号」を持っている外国人が転職する場合は、上記の転退職に関する届出と合わせ、必ず、改めて在留資格の変更申請をしなければいけません。
これは、在留期限までの残存期間に関係なく必要な手続きとなりますので、申請漏れがないようにしなければなりません。 高度専門職(高度人材)のポイント計算表や優遇制度の詳細については、法務省のサイトより確認が可能です。
おわりに
本記事では、在留資格の1つでである「高度専門職1号」について紹介いたしました。取得条件が厳しい在留資格ですが取得できれば多くのメリットもあるため、条件を満たしているのであれば検討してみると良いでしょう。
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