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景井 俊丞 Shunsuke Kagei

この記事の著者

景井 俊丞 Shunsuke Kagei

パートナー  / 申請取次行政書士

外国人が日本に滞在するための在留資格(ビザ)の種類と取得手続きの論点とは

2022年11月8日

外国人が日本に滞在するためには、出入国管理及び難民認定法(入管法)が定める在留資格を有することが必要です。また、在留資格には、永住者を除き、在留期間が付与されています。外国人は、在留資格・在留期間の範囲内で日本に滞在できます。つまり、在留資格を持たずに滞在している場合や、在留期間を経過して滞在している場合は、不法な滞在となり、刑罰や強制退去の対象になります。

外国人が適法に日本に滞在できるように、当ページでは、在留資格の種類についてご紹介致します。

在留資格の種類

入管法では大きく分けて29種類の在留資格を定めています(2020年9月現在の「在留資格一覧表」はこちら)。先に述べたとおり外国人は、在留資格の範囲内で日本に滞在できます。日本でどんな活動をするのか、「日本で働く」のか、「日本で学ぶ」のか等、その活動内容に該当する在留資格を得る必要があります。

在留資格の分類

29種類の在留資格を「就労(働いて収入や報酬を得ること)ができるか、できないか」という観点で分類すると、次のとおりになります。

(1)業務限定で就労可能な在留資格 19種類

外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習

これらは一定範囲に限って就労できる在留資格です。たとえば、翻訳・通訳業務を行う「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を有する外国人は、飲食店での調理業務を報酬を得て行うことはできません。

(2)制限なく就労可能な在留資格 4種類

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

これらは就労できる範囲に制限がない在留資格です。よく目にするのは「永住者」ですが、原則として10年間の在留が要件となっているため、取得するには非常に高いハードルがあります。また「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は、血縁や婚姻関係によるものですので、誰もが取得できる資格ではありません。

(3)就労不能な在留資格 5種類

文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在

これらは就労できない在留資格です。ただし、「留学」や「家族滞在」の在留資格を有する外国人が、別途、資格外活動の許可を受けることで、1週について28時間以内の就労が可能になります。
また、就労とは意味合いが異なりますが、「短期滞在」の在留資格を有する外国人は、日本国外で行われる主たる業務に関連して、従たる業務に従事する活動を短期間日本で行う場合など一定の事項に該当した場合、商用目的での在留が可能です。商談や会議・会合への参加などがこれに該当します。

(4)例外ケース 1種類

特定活動

「特定活動」の在留資格を有する外国人が就労できるか、できないかは、法務大臣が指定する活動内容によって決まります。
たとえば、インターンシップの活動を行う外国人学生が「特定活動」の在留資格を有する場合は、インターンシップ先となる受入機関で就労することができます。

在留資格を得るための手続きについて

在留資格を得るためには所定の手続きで申請を行う必要があります。大きく分けて下表のとおりに分類できます。

短期滞在 短期滞在以外 
査証免除国AC
査証免除国以外B

(※)「短期滞在」の在留資格とは、査証(ビザ)を必要としない(パスポートのみで入国可能)措置を実施している国のことです。本記事執筆時点では68の国・地域が該当します。なお、新型コロナウイルス感染症に対する水際対策のため、米国、カナダ等の9か国を除いて、査証免除措置が当分の間停止されています。

在留資格を得るための手続きは以下となります。

A
日本の空港等で上陸審査を受け、パスポートに許可の証印を受ける→「短期滞在」の在留資格を取得

B
在外日本大使館・領事館に対して、短期滞在査証の発給を申請する→査証を受けたパスポートを提示して、日本の空港等で上陸審査を受け、パスポートに許可の証印を受ける→「短期滞在」の在留資格を取得

C
出入国在留管理庁へ在留資格認定証明書の交付申請をする(※)在外日本大使館・領事館に対して、査証発給を申請する→査証を受けたパスポートを提示して、日本の空港等で上陸審査を受け、パスポートに許可の証印を受ける→「短期滞在」の在留資格を取得

(※)在留資格認定証明書の交付を受けずに、外国人が直接、在外日本大使館等に対して査証の発給を申請する方法もありますが、在留資格認定証明書の交付を受けた後の査証発給申請とは違い多数の資料を提出することになるうえ、処理に長期間(数か月)を要することになるため一般的には行われません。一方、Cの方法であれば、査証の発給が受けやすくなります。

たとえば、外国人が日本の会社で就労することになった場合は、上表のCに該当しますので、就労予定先の会社を通じて出入国在留管理庁へ在留資格認定証明書の交付申請をし、当該証明書が交付された後に、査証発給を受けて入国という上記の流れが一般的です。なお、在留資格認定証明書の交付申請に係る標準処理期間は1~3か月です。

在留資格の取得に関し、より詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。

入管法第22条の2の「在留資格の取得」とは?

おわりに

本記事では、外国人が日本に滞在するための在留資格の種類について紹介しました。まずは日本に滞在するための目的を明確化し、それに必要な手続きをすることが必要です。

もし日本人の在留資格に関してお困りでしたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。経験豊富な弊社スタッフが対応させていただきます。

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