汐留パートナーズ・ニュースレター 2021年9月号

副業人材について

残暑も厳しい中、季節の変わり目が近づく季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今月のニュースレターでは「副業人材」について取り上げます。コロナ禍をきっかけとして、昨年来副業が大きなブームとなっています。

副業人材と企業をマッチングするプラットフォームの増加・成長や、大手企業の副業解禁といった社会的な後押しもあってか、「個人の時代」という言葉が方々で聞かれるまでになりました。日本社会において叫ばれて久しい人材不足という課題に対処すべく、副業人材との協業を始めたり、検討したりしている企業も増えているのではないかと思います。

副業人材との協業に際しては、これまでは注意する必要のなかった論点も生じる場合がありますので、副業人材への依頼を検討している際など、今回のニュースレターを是非ご参考ください。

 

はじめに

昨今、政府の働き方改革や、新型コロナウイルスの影響もあり、副業を行う人やフリーランスが増えています。今回は副業における個人側・会社側の税務上の留意点について見ていきたいと思います。

所得の種類

副業と一言でいっても、その内容によって、所得の種類が異なります。所得の種類には、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類があります。アルバイトであれば給与所得、ブログの広告収入やネット販売であれば雑所得、株式売却による所得は譲渡所得、不動産賃貸による所得は不動産所得というように、内容によって所得の種類、及び所得税の計算方法も異なります。

確定申告の要否【個人側】

副業収入がある場合、原則として確定申告が必要となりますが、以下の場合は申告不要とされています。

給与所得の受け取り先 1カ所
(本業からの給与所得、副業から給与所得以外の種類の所得を得る)
2カ所以上
(本業から給与所得、副業のうち少なくとも一つから給与所得を得る)
確定申告が不要な場合 副業による所得(売上-経費)が20万円以下 年末調整がなされなかった給与収入(*1)(所得ではなく支給金額)+給与収入以外の副業による所得(売上-経費)が20万円以下

(*1)年末調整は本業の会社で行われる

なお、副業により源泉徴収されている所得税が実際の所得税額よりも多い場合や、住宅ローン控除、医療費控除、寄付金控除などの所得控除がある場合は、所得税の還付がなされますので、確定申告するべきでしょう。

源泉徴収及び年末調整【個人側・会社側】

副業がアルバイト等で、本業と副業の両方から給与所得を得る場合の源泉徴収と年末調整の関係を、以下の通りまとめてみました。

本業 副業
本人から会社への「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出 提出 提出しない
会社が計算する源泉徴収額 源泉徴収税額表の「甲欄」で計算 源泉徴収額表の「乙欄」で計算
会社での年末調整 実施 実施しない

副業先では源泉徴収税表の「乙欄」にて源泉徴収額が計算されることから、高い税率で源泉徴収されることとなります。よって確定申告することで所得税の還付が受けられる可能性があります。

外注費or給与【会社側】

近年、アルバイト(雇用契約)としてではなく、外注(請負契約)として仕事を依頼するケースが増えています。アルバイト(給与)とするか外注とするかで、会社側では以下のように消費税と源泉徴収に違いが出ます。

外注費 給与
消費税 控除あり(課税) 控除なし(不課税)
源泉徴収 不要(*2) 必要

(*2)所得税法第204条第1項に該当する報酬・料金については、源泉徴収が必要

おわりに

副業収入は、その内容や金額によって、確定申告の要否や税金の計算方法が異なってきます。また外注費or給与の判断は、税務調査でも着目される論点です。ご不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

はじめに

働き方改革の一環として「副業」が注目され、20181月から政府の「モデル就業規則」が改訂され、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」の規定が削除されました。こうした流れの中、我が国で働く外国人の副業の制限や必要な手続きについてみていきましょう。

無制限就労可能資格の場合

日本で働いている外国人の方で「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」、「特別永住者」に該当する場合、本業・副業問わず無制限に就労可能です。また副業を始めたからといって入管法上、特に手続きや届出をする必要はありません。

「技術・人文知識・国際業務」の場合

就労可能資格のうち一定範囲に限って就労可能であるものが業務限定就労可能可能資格とされております。企業で企画事務やシステム開発等デスクワークに従事する在留資格の代表格である「技術・人文知識・国際業務」もここに分類されます。一定の範囲に限って就労可能なため、副業を行う場合にも注意が必要です。仮に「技術・人文知識・国際業務」で在留している外国人が勤めている会社が副業を許可している場合、週末起業家になり会社を設立して経営業務に従事することは「技術・人文知識・国際業務」の活動範囲を逸脱しており、資格外活動違反となってしまいます。この場合、資格外活動許可を受けて週末に経営業務に従事することが出来るか否かの許可を受けなければなりません。

また同様の在留資格で「翻訳・通訳」業務に従事する外国人が、他社で副業として「翻訳・通訳」業務に従事する場合、活動範囲を逸脱していないと考えられます。この場合は「資格外」とはならないため許可を受ける必要はなく、地方出入国在留管理局に新たな契約機関と契約を締結した場合の届出として「所属機関に関する届出」を契約の締結のあった日から14日以内に届出することとなっております。

「高度専門職」の場合

高度専門職の方は仮に会社で副業が認められていても法務大臣により就労場所が指定されているため、本来他の就労場所で業務に従事することが出来ません。このため同様の活動範囲であれば届出による副業はできないと考えられます。この場合は「個別の資格外活動許可」を申請することとなります。しかし、高度専門職の優遇措置として「関連する事業を経営する活動」を行うことができるとされております。経営を行う場合にはこの優遇措置を使うことができるかもしれません。資格外活動許可には「個別」と「包括」があり、「包括」は一般的には留学生や家族滞在などで在留する方がアルバイトなどに従事するもので包括的に許可されます。一方、「個別」とは文字通り、個別に審査される資格外活動許可です。

おわりに

このように副業を行うにしても在留資格別に手続きや注意点が異なります。また上記であげた例はあくまでも原則であり例外もありますので、不明な点等がございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

 

はじめに

副業・兼業を希望する人は年々増加しています。政府は働き方改革の一環として副業・兼業の普及促進を図っており、副業・兼業を認める企業も増えてきました。最近ではコロナ禍での収入減少や自由時間の増加により副業・兼業を始めた・増やしたという方もいます。

今後も副業・兼業を希望する人が増えていくと思われます。今回は、そんな副業・兼業の基本的な考え方、メリット、労務管理上の注意点などをお伝えいたします。

副業・兼業を認めないことは法的リスクになる

副業や兼業に対して否定的な企業も少なくありませんが、従業員が勤務時間外に何をするかは本人の自由ですから、副業・兼業は原則として認めるべきとされています。副業・兼業を禁止できるのは、同業他社での就業や、社会的信用を損なうような場合、過重労働により職務専念義務が果たせない場合など、会社での業務に支障があるような場合に限られます。

現在は副業・兼業を希望する人も増えていることから、一律禁止としてしまうことのリスクも増加しています。企業としては、副業・兼業に対応できるように備えておいたほうが良いでしょう。

副業・兼業容認のメリット

副業・兼業のメリットは様々ですが、主なものには「人材確保」と「雇用の維持」があります。

人材確保

副業・兼業を希望する人材が増えているので、それを容認すること自体が企業の魅力となります。副業・兼業ができないことによる離職を防止するリスクも軽減することができます。また、自社を副業・兼業先として入社してもらうこともできるようになり、幅広い人材にアプローチすることができるようになります。

能力向上

副業・兼業を通してスキルを身につけることができ、会社での業務に活かしてもらうことも期待できます。様々なところで働くことで視野も広がりますから、企業のイノベーションに繋がることもあります。

雇用の維持

コロナ禍による経営悪化などで、従業員の雇用維持が課題となっている企業も少なくありません。休業や労働時間の短縮を実施した場合に、副業・兼業によって従業員自身が収入を確保できるような仕組みにしておくと、人材流出の抑制に効果があります。

副業・兼業に関する労務管理上の注意点

副業・兼業は会社で把握・管理すること

副業・兼業を容認するとしても、必ず会社の承認を得てから行わせるようにしましょう。誰がどのような副業・兼業を行っているのか把握できていないと想定外のトラブルが発生する可能性がありますし、会社の業務に支障を来すようなものを未然に防ぐことができません。

就業規則等でルールを定めておくこと

副業・兼業は会社の承認を得るべきことのほか、禁止できる場合についてもあらかじめ定めておくと、トラブルを予防することができます。当然のことではありますが、次のようなルールは明確にしておいたほうが良いでしょう。

  • ・競業避止義務(同業他社での就業や、競業にあたる副業の禁止)
    ・秘密保持義務
    ・職務専念義務(副業・兼業により会社への労務提供に支障がないようにすること)

副業・兼業先、業務内容、所定労働時間などの確認

副業・兼業時の労働時間管理については、厚生労働省が公開している「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を十分に確認し、副業・兼業時に問題なく対応できるように準備しておきましょう。

ガイドラインでは、労働時間は本業と副業・兼業の通算が原則とされています。あらかじめ所定労働時間を申告させたうえで、定期的に実労働時間を報告させるなどの対応が考えられます。なお、労働時間は本人の自己申告を基準とするので、他事業所の出勤簿等を提出させるなどの対応は原則不要です。

労働時間は通算することが原則ですが、より簡単な「簡便な労働時間管理の方法」(管理モデル)による労働時間管理も可能です。副業先の合意が必要ですが、これを用いれば労働時間管理は簡便なものとなります。ただし、副業先の労働時間は所定内外問わずすべて時間外労働となり割増賃金が必要となるため、管理モデルはフルタイムで働く従業員に対して使用することが想定されます(もともとフルタイムの場合、どちらにしても副業先の労働時間はすべて時間外労働となり、あまりコストが変わらないためです)。

なお、自営業・フリーランス・他の会社の役員として副業・兼業をする場合などは、労働時間の通算は不要です。

詳細についてはガイドラインをご確認ください。下記ページからガイドラインや様式例などを確認することができます。

厚生労働省『副業・兼業』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

おわりに

副業・兼業は年々希望者が増えていることもあり、企業として対応する必要性が増しています。副業・兼業の容認には手間がかかりますが、人材確保などのメリットもあります。

他の事業場で労働者として雇用される場合は労働時間管理の課題があり、いきなりの容認は難しいかもしれませんが、自営業・フリーランスであれば比較的手間はかかりません。副業・兼業の容認が難しいと考えられる場合は、まずは自営業などから段階的に容認してみてはいかがでしょうか。

 

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